今回の遊劇体はとても軽い。90分というコンパクトな上演時間もこの内容にぴったりだ。この、キタモトさんによる「遊劇体×泉鏡花オリジナル戯曲全作品上演シリーズ」の第9弾は、鏡花の最晩年の作品で、肩の力の抜けたコメディタッチの作である。いつものように幽霊や魑魅魍魎が出てきてのドロドロではない。それはそれでちゃんと出てくるけど、なんだか軽い。なんと笑える作品になっている。善悪入り乱れての大団円といういつもの究極のパターンなのだが、それを作者が余裕を持って楽しんで描いている気がする。だから、キタモトさんも堂々とこのパターンをなぞって見せる。
遊劇体としては4年半振りの五條會館だ。この空間はこの作品にふさわしい。この戯曲の≪初演≫の会場としてぴったりだ。(たぶん、今回の上演が初めてのことになる、ということらしい) 昭和11年に書かれた作品の初上演である。それだけに上演は風格のある場所であるべきだ。そういう意味でも、ここはふさわしい。さらには「お化け屋敷探検」という、このお話自身にもこの古い建物はふさわしい。
もちろん、そこにはへたな仕掛けは無用だ。オリジナルの通りに見せようとするのも、いつもと同じ。いや、今回はいつも以上にオーソドックスだ。それはこの作品が特別な意匠を必要としないからだろう。
今回の完成度の高さは、台本の出来がいいからではないはずだ。この平板なお話を楽しませることは難しい。それを、肩の力を抜いて、無理なく見せた。これは演出の手柄だろう。キタモトさんはとても丁寧に、台本に描かれた作品世界をなぞっていく。そうすると、こんなふうにきちんとした作品になる。結果的に、まず、とてもよくできたエンタメ芝居になっている。しかも、古典の風格が漂う。これはそんな作品なのだ。お見事。
遊劇体としては4年半振りの五條會館だ。この空間はこの作品にふさわしい。この戯曲の≪初演≫の会場としてぴったりだ。(たぶん、今回の上演が初めてのことになる、ということらしい) 昭和11年に書かれた作品の初上演である。それだけに上演は風格のある場所であるべきだ。そういう意味でも、ここはふさわしい。さらには「お化け屋敷探検」という、このお話自身にもこの古い建物はふさわしい。
もちろん、そこにはへたな仕掛けは無用だ。オリジナルの通りに見せようとするのも、いつもと同じ。いや、今回はいつも以上にオーソドックスだ。それはこの作品が特別な意匠を必要としないからだろう。
今回の完成度の高さは、台本の出来がいいからではないはずだ。この平板なお話を楽しませることは難しい。それを、肩の力を抜いて、無理なく見せた。これは演出の手柄だろう。キタモトさんはとても丁寧に、台本に描かれた作品世界をなぞっていく。そうすると、こんなふうにきちんとした作品になる。結果的に、まず、とてもよくできたエンタメ芝居になっている。しかも、古典の風格が漂う。これはそんな作品なのだ。お見事。