習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

ビカラスル『サクラファイヤー』

2007-08-27 21:24:27 | 演劇
 2時間以上の上演時間を使ってこんなにも単純な話を、取り留めもなく見せてしまうのは、ちょっとあんまりではないか。エンタメ芝居として絢爛豪華な世界を、自分たちにできる範囲でやろうとしている気持ちはわかるが、まず必要なのは、台本自体の面白さではないか。そして、魅力的な役者たちのキャラが生かされること。その2点に尽きる。

 全く意味を為さない回り舞台とかはいらない。花魁たちの衣装はなかなか煌びやかで悪くないが、それだけでは困る。

 1人で、何役もこなすのは、どこの劇団でもしていることだが、その場合もう少し、役の差異をしっかり見せる必要がある。それは衣装とかではなく、役者の演技力の問題ではないか。

 ここまで、テンポが悪く、繰り返しが多く、そのくせ説明が雑、というのではいいところが全くない。吉原の裏金を狙う強盗団と、そうはさせまいとする遊郭側との攻防とかをもっと上手く見せてシンプルだが、話に仕掛けがいっぱい施されたエンタテインメントに仕立てられなかったものか。

 死んだ遊女たちの幽霊が邪魔をするから、彼女たちを成仏させるなんていう馬鹿な話を、何度となく見せられて、その一人ひとりの幽霊たちの事情を丁寧に語られても、我々観客は、なんの興味も持てない。個々の話が面白かったなら、まだしも、どうでもいい話を延々とストーリーの流れを淀ましてまで、見せてしまうのはどうだか。ミステリ仕立てにはなっているが、その謎自体がこんなにあほらしくて、つまらないようでは意味をなさない。

 だいたい、まず、4人組のキャラをもっとしっかり生かして、ストーリーを作らなくては面白くはならないはずだ。『ルパン3世』なんかを、一応は参考にしているようだが、如何せんお話ともリンクしないし、話も弾まないから、すべる。

 楽しめる芝居を作ろう、という意気込みは買うが、それが空回りしてしまったようだ。スタイリッシュなフライヤーや、盛りだくさんな趣向を生かすだけの演出と台本が欲しい。

 

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