NGRの新作が今回もウイングフィールドに登場する。最近は完全にここが主戦場になった。昔はアトリエでの小さな芝居、テントでの大きな芝居(テント芝居をやめてもう10年になる)と並行してここでの普通クラスの芝居と3本立だったけど、今はこのスペースをベースにして、さまざまな試みをする。30年以上劇団を維持してして、しかも浦部さんを中心にしたオリジナルメンバーが抜けることなく劇団運営をしている。それだけでも凄いことだ。浦部さんはマイペースで今の自分の思いを、筆が(気持ちが)赴くままに書いている(たぶん)。
今回は「作品の改変」をテーマとして取り上げた。ただ、この内容で90分は少し短かすぎる。だからいろんなところが中途半端なまま終わってしまった気がする。スケールの大きな、以前ならテントで取り上げたような芝居をウイングでするから空間と内容の間に齟齬が生じている。さらにはお話がよくわからないまま終わったのも残念である。ここから先にあるものを描くべきなのに、その手前でいきなり終わる。テンションの高い芝居はケレン味たっぷりでテント芝居にぴったりだが、ウイングでこれは少し場違いで厳しいと思う。
カフカの『変身』から初期の『仮面ライダー』に。変身つながりで、お話の改変へと。昔の記憶と今の想いを交錯させながら、書けない作家の呻吟に落とし込む。70年代から現代に。子どもの頃遊んだ原っぱ(ヒロッパ)は原風景として今もあるが、それはもう記憶の底で改変されたものになった。
物語作者と作品内の主人公。ふたりの同一人物が向き合うまでの90分。悪くないけど、僕は思ったほどにはこの話に乗れなかったのが少し残念。