レディー・ガガ主演の映画である、とかいうことは僕には関係ない。4度目の映画化になる。なぜ、今これを再映画化するのか、そちらのほうが気になる。バーバラ・ストライサンド主演の前回からももう何十年も経つ。今更これを映画にしてどうなるのか、とそこから疑問符。なんで今、これを、という興味から映画を見ることにした。
映画はとてもよくできている。2時間16分と少し長い映画だけど、飽きさせない。彼女の魅力に引き込まれる。でも、彼女のスター映画ではない。ひとりの女の子がスターになっていくサクセスストーリーなのだが、そして、ラブストーリーでもあるのだけども、見終えてやはり、なんで、今これを?という想いは拭えない。アイドル映画のようなアプローチで、これだけ感動的な映画を作り上げたブラッドリー・クーパー(監督主演を兼ねる)は立派だけど、それでも、今これを見る意味は、と問われると僕にはよくわからない、と答えるしかない。
同じ音楽映画ということで、11月から大ヒットを飛ばしている『ボヘミアン・ラブソディー』を続けて見たけど、(別に続けて見る必要なんかなかったのだけど、たまたま時間が合ってそういうことになった)こちらも、僕はあまりピンとこなかった。なぜ、今、クィーンなのか。よくわからない。もちろんそんなこと、どうでもよくて、ただ映画が圧倒的に素晴らしかったなら、それだけで十分なのだが、こちらも、よくできていることは認めるけど、今、これを見る意味を感じさせられない。
映画はなまものだ。だから今の息吹を感じさせないと、意味をなさない。もちろんいつの時代になろうとも輝きを失わない古典的名作もあるのはある、だが、そんな映画であってもリアルタイムで見るのは格別のことであることは否めない。この瞬間この映画と共に時を過ごしているという興奮が映画の醍醐味だ。この日見た2本の映画からはそれが感じられない。2本で4時間半。同じような音楽映画。充分に楽しませてもらえたのだから文句なんかない。だけど、なんだか物足りないという事実だけは拭えない。