この夏休み20冊くらい本を読んだ。でも、時間がなくて、ほとんどの本について、ここに書いていない。そこで、ほんの少し、おもしろかった本のことを紹介しよう。20冊のうち、4,5冊は書いたけど、ほかにも面白い本がたくさんあった。
20冊は別に多くはない。夏は40日くらいあったから、いつもと変わらない。だが、夏休みは授業がないから、忙しい。普通に授業があれば空き時間にのんびりできるけど、そうじゃないから、のんびりする時間は素少ない。クラブや、補習、懇談で7月は終わり、8月に入ると、試合が始まり、毎日試合会場に行き、(大会は2週間近くに及ぶ。暑い中、夏の体育館は異常な暑さで、呼吸困難になる。二酸化炭素しかない世界で必死になり呼吸する。40度以上のクーラーなんかない、足の踏み場もない場所で何時間も試合を待つ。)そうして試合が終わると、新学期が始まる。たった5週間の夏休みはそうして終わる。
普通の会社員とは違い、お盆休みはない。お盆は毎日試合をしているからだ。(まぁ、しているのは自分ではないけど。)8月9日から20日くらいまで。僕は体が弱いから、すぐに頭が痛くなる。そんな中での読書なのだ。かなり過酷なので、集中力を書くから難しい本は読めない。(というか、いつも難しい本なんか読まないけど)
ただ、今年は、試合の最後のほうを抜けさしてもらって、台湾に行ったから、人並の休暇が取れた。それでも7日だ。ほんとなら、2週間くらい休みたい。旅の途中は一切本を読まないから、30日で20冊くらい、ということになる。試合会場でも待ち時間はずっと本を読んでいた。それが大きい。でも、快適な環境で本を読みたい。
夏川草介の『神様のカルテ 0』について、ここに書いていない。シリーズ3作品の前の話だ。こういうビギニングはヒット映画が得意だけど、これも同じパターン。主人公たちの学生時代のお話だ。
久々の椎名誠は、『孫物語』。息子とのお話である『岳物語』の孫ヴァージョン。おじいさんになった椎名さんがかわいい孫たち(岳の子供)とのお話をここに綴る。
先に書いた『さいとう市立さいとう高校野球部』の続編も読んだ。甲子園に行く話なのだが、甲子園より有馬温泉、というスタンスがいい。今からずっと昔、イチローや野茂なんかよりもずっと前。たった3が月だけど夏休みにメジャーリーグでプレイした19歳の少年を描く堂場瞬一『黄金の時』も夏休みの読書にぴったりだった。
奥田亜希子『透明人間は204号室の夢を見る』もやばい小説だったが、おもしろかった。こういう妄想少女と関わりたくはないけど、彼女の視点からのお話は興味津々。
この夏一番の拾いものは、会川いち『座卓と草鞋と桜の枝と』。これってコバルト文庫の時代劇って感じ。藤沢周平のジュニア版。泣ける。
月村了衛『土漠の花』はエンタメだけど、それだけではない。12名の自衛隊隊員がソマリアでサバイバルする。自衛隊が人殺しをすることになる。というか、まず、自衛隊員が殺される。救援活動だったはずなのに、戦場で、遭遇するとんでもない出来事。でも十分にあり得る。今の時代に読むべき本。
三島賞を取った上田岳弘『私の恋人』もやばい。こういう危ない小説はドキドキして楽しい。3つの時代を3度生きた男の話。生まれ変わりだけど、前回の記憶がある、というのがみそ。しかも、まるで違う時代を体験する。石器時代とか、ナチスドイツ時代のユダヤ人とか。3度目は現代日本だけど。終わらせ方がつまらないから、少し減点。惜しい。
そんなこんなで夏は終わる。