このタイトルで目黒蓮、今田美桜主演の映画なら青春恋愛映画だろうとたぶん思うはず。だがフライヤーや予告編を見ると、少し想像してたイメージとは違う。なんだか予想がつかない映画で少し気になった。今田美桜は先日見た『カランコエの花』で主人公を演じていた女の子だ。目黒蓮は言わずと知れたスノーマンの人。今絶賛ブレイク中。
映画はなんと『帝都物語』風のSF時代劇アクションだった。時代背景は大正ロマン風で架空の世界。お話の入り口は『シンデレラ』。最初は「これはファンタジーなのか、なかなか目黒が出ないけど、」と戸惑ってしまう。(まぁ僕は彼が出なくても構わないけど)華やかな『シンデレラ』というよりこれは惨めな『はいかぶり姫』。(まぁ、同じだけど)要するに継子いじめものだ。なんじゃこれ、と思う。先がなかなか読めない。ようやく目黒登場。いかにもな感じ。『美女と野獣』的な展開。(まぁ目黒は見た目ではなく性格が野獣ですね)
異能という能力を巡る抗争、それが戦争に繋がっていく予感。謎のウィルスの蔓延とか、まるで恋愛映画ではない。今田美桜が儚いイメージを体現して、目黒蓮もひたすら美しく、そんなふたりを見守っているだけでファンは堪能できるだろう。だが、映画としてはなんだか焦点が定まらず、僕は少しイライラさせられる。そしてそれが最後まで続いていくのだ。
変な映画だった。悪くはないが、よくわからない。原作はコミックか、ライトノベルなのだろう。人気がありチラシには500万部の売り上げとか書いてあった。映画はここで完結してないから、ヒットしたら続編を作るつもりだろうが、ちゃんと1本の映画としても独立した作り方をして欲しい。ずるい。
もう少ししっかりとした世界観の提示が必要だ。その中で運命に翻弄されるこのふたりのラブストーリーをしっかり見せて欲しかった。意外なタイトルがしっくりとくる、そんな映画だった、と思えたならばこれはきっと成功したはずだ。だから悔しい。塚原あゆ子監督、菅野友恵脚本という女性コンビの作品だからこそしっかり女の子に寄り添った繊細な心情を表現できたはず。そうすると素敵な映画だと胸を張って人に紹介できるのだが。