ロルカのこの作品は以前映画で見ている。カルロス・サワラの作品だ。今から30年ほど前の事で、あの頃サワラの映画は一世を風靡した。あれはドキュメンタリータッチの作品でロルカの作品を舞台化するバックステージものだった。しかもストレートプレイではなく、舞踊としてだ。だから、あれは実際のこの戯曲の映画化ではない。ただ、あの頃、『カルメン』を始めとしてサワラの映画の熱い情熱のようなものに囚われた。
今回初めてこの戯曲を舞台化したこの作品に触れて、なんだかとても懐かしい気分にさせられた。ギリシャ悲劇のような骨太の作品で、大仰な芝居はこの作品の意図をしっかりと汲む。舞台化としては王道を行く作劇だろう。この悲劇を立体的に捉えてある。的確な演出だと思う。2時間、緊張感を孕んだまま、ラストまで安心して見ていられる。
そんな中に、いつも見慣れた条あけみさんの芝居がとても上手く嵌まっていて、心地よかった。いささか引き気味の演技で、テンションの高い全体のタッチの中で、異彩を放つ。それは船戸香里さんも同じだ。小劇場の芝居で顔なじみの彼女がこういう新劇系の舞台でも、自分らしさと、今、自分が求められているものをちゃんと理解したうえで、出しゃばることなく、でも、ちゃんと自分のこの芝居での立ち位置を踏まえて的確な演技しているのを見ると、それもまたうれしい。2人は母と娘として、この作品をサイドから支えた。
正面に立つ主役のふたりは、オーバーアクトすれすれで耐える。難しいところだ。それはもうひとりの主役である花婿の母親である金子順子さんも同じだ。この芝居のテイストを担う重要な役回りだ。過剰な芝居で作品世界を組み立てる。
人間の本能と、理性がどうぶつかり合い、どんな暗い道へと陥ることになるのか。男と女のドラマであることは当然の話だが、そこに家族、社会のしがらみが複雑に絡み合い、この人間ドラマを形作る。とてもよく出来ている。ただし、いささか単調すぎて、肩が凝る。見ていて、疲れてしまうのだ。直球勝負の力作であることは認めるけど、もう少し緩急が欲しい。でも、この題材ではそれは難しいことだろうけど。
今回初めてこの戯曲を舞台化したこの作品に触れて、なんだかとても懐かしい気分にさせられた。ギリシャ悲劇のような骨太の作品で、大仰な芝居はこの作品の意図をしっかりと汲む。舞台化としては王道を行く作劇だろう。この悲劇を立体的に捉えてある。的確な演出だと思う。2時間、緊張感を孕んだまま、ラストまで安心して見ていられる。
そんな中に、いつも見慣れた条あけみさんの芝居がとても上手く嵌まっていて、心地よかった。いささか引き気味の演技で、テンションの高い全体のタッチの中で、異彩を放つ。それは船戸香里さんも同じだ。小劇場の芝居で顔なじみの彼女がこういう新劇系の舞台でも、自分らしさと、今、自分が求められているものをちゃんと理解したうえで、出しゃばることなく、でも、ちゃんと自分のこの芝居での立ち位置を踏まえて的確な演技しているのを見ると、それもまたうれしい。2人は母と娘として、この作品をサイドから支えた。
正面に立つ主役のふたりは、オーバーアクトすれすれで耐える。難しいところだ。それはもうひとりの主役である花婿の母親である金子順子さんも同じだ。この芝居のテイストを担う重要な役回りだ。過剰な芝居で作品世界を組み立てる。
人間の本能と、理性がどうぶつかり合い、どんな暗い道へと陥ることになるのか。男と女のドラマであることは当然の話だが、そこに家族、社会のしがらみが複雑に絡み合い、この人間ドラマを形作る。とてもよく出来ている。ただし、いささか単調すぎて、肩が凝る。見ていて、疲れてしまうのだ。直球勝負の力作であることは認めるけど、もう少し緩急が欲しい。でも、この題材ではそれは難しいことだろうけど。