こんなにも凄い映画を見逃すな。B級アクション映画だと、スルーしたらもったいない。これは半端じゃないから。92分の上映時間と知らないオヤジが主人公のアクション映画だと、バカにしていたら大火傷をするよ。脚本が『ジョン・ウィック』を書いた人(デレク・コルスタッド)だと知って、「もしかしたらこれは、」と甘い期待を寄せたのだが、そんなものじゃない! とんでもない大当たりで、こんなホームランが待ち受けているな . . . 本文を読む
西加奈子のこの小説が映画になる。それだけでも驚きなのに、アニメーション映画である。ありえない。だけど、あり得た。しかも、肉子ちゃんがトトロである。大竹しのぶがボイスキャストを演じる。明石家さんまがプロデュースしてるって。だから製作は吉本興業だし。冗談のような映画なのに、冗談ではない。というか、本気である。中途半端な映画ではない。
これはありえないような冒険がなされたアニメ映画なのだ。この小説を実 . . . 本文を読む
最終章というより、これはスピンオフという感じの作品。番外編。だけど、これをどうしてもやりたかったという作り手の気持ちがしっかりと伝わってくる力作。ファイナルの後にビギニングがくるという構成での2部作というありえないような展開を見せる。お話自体は前作で終わったのだが、本作はすべてのお話の前日譚である。剣心の十字傷の秘密を描く。
第1作から更に遡り、幕末が舞台だ。人斬り抜刀斎時代の剣心を描く。だから . . . 本文を読む
いつものように時間調節で見た1本なのだが、少しだけは期待した。まるで事前情報もないまま、偶然見た作品がとても面白いというパターンだったらいいな、と虫のいいことを思ったからだ。もちろん、そんな偶然はなかなかない。そして今回も、だ。
一時期ブームになった「キラキラ青春映画」はもう完全に廃れた。にもかかわらず、まだその手の映画が量産される。そこにはもう夢の残滓しかない。でも、作り手は過去の秀作を作った . . . 本文を読む
こんな凄い小説があったのか。新刊でおもしろそうな本をみつけた。『スモールワールズ』。図書館で予約したついでに彼女の他の本を1冊と思いこの本を予約したら、すぐに届いた。さっそく読んだのだが、あまりのおもしろさに一瞬で読み終えてしまった。最後は少し、減速する(スピンオフは悪くはない)けど、そこまでが素晴らしすぎた。時空を超えたふたりの少女(と、少年)の夏休みというたった40日の旅。ささやかなお話なのだ . . . 本文を読む
先週母が亡くなり、慌ただしい1週間を過ごした。1月に突然倒れて、脳梗塞で痙攣が止まらず、その日が山だと言われた。それからはずっと入院していた。面会にも行けず、状況もわからず、毎日不安な日々を過ごした。病状が安定したので救急病院から転院したとき、移送時と、新しい病院で少しだけ、顔を見ることができた。話ができる状態ではなかったが、僕の顔をみつめていた。話しかけることもできた。
ひとりぐらしで、寂しい . . . 本文を読む
なんとも言い難い。とても苦しい映画だった。主人公であるふたりの男女によるラブストーリーなのだけれど、それはよくあるような甘いお話ではない。実にシビアな現実を踏まえて、そんななかで彼らなりに戦う姿が描かれる。読者モデルからなんとかして芸能界でデビューを目指すヒロインは、お金もないし、特別かわいいわけでもない。もちろん、キュートだし、タレントとしてブレイクできてもおかしくはないけど、彼女のようなタレン . . . 本文を読む
NICU(新生児集中治療室)を舞台にした人生模様が描かれる。ロンド形式での短編連作だ。ここに集う患者、医者や看護師、臨床心理士、さらには掃除スタッフ。それぞれが自分の抱える問題と向き合い、ここで起きる出来事とも向き合う。読みながら涙が止まらなくなる。命の現場を描く小説は多々あるけど、ここに描かれる生まれたばかりの赤ちゃんを救うために戦う人たちの姿がこんなにも胸に痛い。何の疑いもなく今を当たり前に生 . . . 本文を読む
ようやく大阪でも映画が見られるようになったのだが、平日のみの上映で働いている人は残念ながら、見られない。ただ夜の上映もあるので、早く帰れる人は6時台の上映になんとか駆け込めるか、という感じ。
僕は4月23日から1か月自粛したけど、5月下旬からは兵庫まで行って見ていた。6月からは堰を切ったように見に行っている。凄い映画がどんどん封切られている。
ということで、とりあえずこの6月6日現在のベストテ . . . 本文を読む
こんなにも強烈な映画だとは思いもしなかった。ドキュメンタリーなのだけれど、50年前の真実を伝える、ということより、この熱気にまず心打たれる。1000人の敵のただなかにたったひとりで戦いに挑む三島、という図式のバトル映画。タイトルだってまさにそんな感じだろ。東大駒場900番教室。1969年5月。日本で革命が起こせることを夢見た時代。右翼の権威三島に挑む東大全共闘の学生たち。
この映画は、政治的な問 . . . 本文を読む
映画の中でどんどん人が死んでいく。(出てきた人たちが病いと向き合う姿を描くにもかかわらず)看取りを描くのだけど、だから仕方ないことだろうけど、シビアだ。これは在宅医療看護の現場を描くヒューマン映画なのだけど、情け容赦ない。吉永小百合主演で描く心優しい医者と看護師たちによる心温まる映画を期待したなら少し驚くだろう。現実から目を背けない。甘い映画ではない。
ラストだって一度は父親の安楽死を受け入れる . . . 本文を読む
チームオクヤマ25周年映画なんて銘打たれているけど、一世を風靡した奥山プロデューサーは今でも自分らしい作品を作っている。こんな地味な映画を作り、ちゃんと全国公開しているのは立派だ。なんと『おだやかな日常』や『ふゆの獣』の内田伸輝監督作品なのである。これは一応商業映画なはずなのだが、そこに彼を担ぎ出してくるなんて大胆すぎる。今回も普通の商業映画のようなわかりやすさはない。
『おだやかな日常』では1 . . . 本文を読む
今年一番の期待作が実はもう公開されていた。椰月美智子の同名小説の映画化。椰月美智子が映画になるのは初めてではないか。彼女の描く世界と瀬々敬久監督が真摯に取り組む秀作である。コロナのせいで大阪地区は映画館が休業していたので、気が付かなかったけど、見れてよかった。5月28日公開で、でも、小さなマーケットでの上映で1日の上映回数も少ない。昨日知ったので、今日大急ぎで見に行ってきたかいがあった。必見の傑作 . . . 本文を読む
ようやく大阪でも映画が見れるようになった。公開が延期されていた映画も順次公開されていく。この映画もそんな1本。1年間も待たされた。橋本一監督作品なので、あまり期待はしてなかったけど、今、北斎をどう描くのか、楽しみでもあった。映画を見て驚いた。
橋本一監督の最高傑作だろう。今まで東映の御用監督で言われるままにプログラムピクチャーを撮り続けていた。だから、自分の本当に作りたい映画はほとんど作れてなか . . . 本文を読む
先日見た『山のトムさん』があまりに素敵だったので、それに先立つこの作品を見てみようと思い見始めたのだが、期待(というか、実はあまり期待もしてなかったのだけど)を遥かに凌ぐ作品だった。50分4話からなるミニシリーズ。今まで見た小林聡美によるこの手の映画、ドラマの最高傑作ではないか。今までは忙しかったので無駄に時間を食うTVドラマはあまり見ない主義だったのだけれど、これからは食わず嫌いにならずよくでき . . . 本文を読む