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映画・演劇のレビュー

原田ひ香『財布は踊る』

2022-09-19 17:39:41 | その他
『三千円の使いかた』で大ブレイクした原田ひ香の最新作。今回もお金にまつわるお話で短編連作スタイルで一応は長編というよくあるパターン。最初のエピソードは面白い。リボ払いで大変なことになる若夫婦の話。ルイ・ヴィトンの財布が欲しい、というところからお話は始まる。毎月3万円の返済設定にしていたことで借金がすごいことになるのんきな夫に愛想をつかす妻。この先どういう展開になるのか、と楽しみにしていたら2話目で . . . 本文を読む
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巨匠対決 今井正VS市川崑

2022-09-19 09:06:57 | 映画
優秀映画鑑賞会によるこの企画上映でなんと今井正監督の『純愛物語』がニュープリントで上映された。こんなことがあっていいのかと思う。驚くべきことだ。そんなうれしいことがあるのかと大喜びする。あの映画は僕のバイブルだ。中学3年の頃、平日の朝9時半からやっていたTV「あなたの映画劇場」で見た。あの枠で見た数々の映画が今の僕を作っているといっても過言ではない。日本映画の魅力を教えてもらえた。満喫させてもらえ . . . 本文を読む
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大阪新撰組『やつらは花に手錠をかけた』

2022-09-19 08:11:27 | 演劇
久しぶりでドキドキするような芝居に出会えた。こういうアングラ芝居は最近ない。大がかりな芝居ではない。いつも通り彼らの地下にある小空間(スタジオガリバー)が舞台だ。まぁ、最近彼らはほとんどここで公演しているけど(それくらいにここはここちよい)今回はここでいつも以上に贅沢な作り方をした。実はこの作品の前に、彼らはもう1本ここで芝居をするはずだった。近年の彼らの最高傑作となった『短編まつり』シリーズの4 . . . 本文を読む
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『彼女来来』

2022-09-17 10:54:23 | 映画
アマゾンプライムにはこの手の「どこで上映されてきたのだろうか?」というような「マイナーな、でも一応商業映画なのかレベルの、自主映画もどき」がたくさん入っていて、おもしろい。 1時間31分の劇場用長編作品である。主人公も無名の素人新人というわけではなく、『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』で主演した前原滉と最近いろんな映画で大活躍の奈緒。劇団子供鉅人にもいたという山西竜矢という人がオリジナル脚本で撮りあ . . . 本文を読む
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『サマリタン』

2022-09-17 10:17:09 | 映画
『ロッキー4』が今ひそかにスマッシュヒット中のシルベスター・スタローン。監督が不本意な編集で公開された映画を再編集して完全版として公開する、なんていうことは今までもたくさんあったが、今回のスタロ-ンはちょっとパターンが違うようだ。なんと95分ほどの映画の40分以上を差し替えてまったく新しい映画として作り替えたのだ。だから未公開シーンを追加して上映時間が長くなるというのではなく、上映時間はほとんど変 . . . 本文を読む
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高橋弘希『音楽が鳴りやんだら』

2022-09-17 09:52:13 | その他
ひとりの男がミュージシャンとして成長していく姿を描く。無名の青年がロックミュージシャンとして武道館に行きつくまでの軌跡を描くなんていう「音楽もの」なら今までも枚挙に暇がないはずの作品だ。だがこれは成功するまでの苦難の道が描かれるというお決まりのパターンではない。 4人組のバンド。大手音楽事務所にスカウトされ、メンバー変更を強いられるが、それを受入れデビュー。あっというまにスターになる。順風満帆。 . . . 本文を読む
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濱野京子『空と大地に出会う夏』

2022-09-16 08:45:09 | その他
たまたま児童書の新刊の棚を見て、これを発見した。濱野京子の新作だ。「見てよかったよ」さっそく貸出手続きした。読みかけていた本を閉じて(ごめんなさい!)、読み始める。もちろん一瞬で読める。でも、もったいないから2度にわけて読む。途中休憩を挟み余韻を楽しむ。思った通りだ。素晴らしい作品だった。 ずっと彼女の本を(気がつくと)読んでいる。児童書やYA小説が多いし、歴史もの(これは少し苦手)なんてのもあ . . . 本文を読む
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『ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブル』

2022-09-15 10:55:04 | 映画
こんな地味な映画がちゃんと劇場で公開されるなんて、すごい時代だと思う。しかもアート映画なら一部の好事家が食いつくのかもしれないが、これは娯楽映画だ。それも「スウェーデンでは国民的人気を誇るコメディ映画シリーズ」の新作ということらしい。だから本国では大ヒットしたのかもしれない。だけど、今の日本では、これはまるでセールスポイントのない作品だ。だから、それなりには面白くても興行は不可能。ふつうなら公開は . . . 本文を読む
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『LOVE LIFE』

2022-09-15 10:12:44 | 映画
深田晃司監督が、木村文乃の主演で贈るある家族の愛の物語。今年の第79回ベネチア国際映画祭でコンペティション部門にエントリーされたが、今回は残念ながら受賞に至らなかったが悔しい。こんな凄い映画はなかなかないはず。もちろんこれはこれまでの彼の最高傑作なのだ。なのに。怒濤の前作『本気のしるし』(これも衝撃の映画だったが)でもコンビを組んだメーテレの制作。前作は一応TVドラマだったが、今回は最初からちゃん . . . 本文を読む
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おやすみのじぎく『もしかしなくてもラブゲーム』

2022-09-13 18:44:48 | 演劇
脚本公演(通常の芝居)とインプロ公演(即興芝居)の2本立てで見せる女の子4人によるお芝居。台本公演も4人のエチュード(とは今は言わないらしいが)で作った作品のようだ。今年のウイングカップで最優秀作品賞を受賞した「餓鬼の断食」に出演していたぬまたぬまこによる脚本公演が見たかったのだが、諸事情からインプロ公演を見ることになった。 でも、まぁこれはこれで楽しめた。彼女たちの瞬発力が素晴らしい。凄いもの . . . 本文を読む
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『激怒』

2022-09-13 18:12:25 | 映画
なんと、瀬々敬久の傑作『雷魚』や『汚れた女(マリア)』を作ったピンク映画でおなじみの国映が制作する、なんとアクション映画なのだ。でも、ピンク映画のようなまがまがしさ。当然低予算だけど、やりたい放題している。主演はなんと川瀬陽太。一般映画での主役は初めてではないか。脚本、監督は高橋シゲキ。彼も初監督。設定や見せ方にはかなりの無理があるけど、やりたいようにやる、という想いを貫く。ある種潔い。でも、映画 . . . 本文を読む
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『靴ひものロンド』

2022-09-13 17:50:01 | 映画
これもまた不思議な映画だ。最近この手の映画や小説が続く。ことさら不思議を強調することはない。それどころか、さりげない。なんてことないよ、というようにこんな不思議なタッチで最後まで貫く。あざとさはない。どちらかというと自然体だ。なのに、この調子。時系列をごちゃごちゃにして提示するから、見ているほうはいささか混乱する。しばらくは誰が誰だかわからない。やがてわかるけど、説明はなし。不意打ちのように見せる . . . 本文を読む
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小池真理子『アネベル・リイ』

2022-09-13 17:08:21 | その他
こんな単純なお話だけで、400ページ近くに及ぶ長編が書かれるのか、という小さな驚きもある。これはある女性の告白だ。自分が体験した不思議なできごとをそこに綴る。1978年。彼女はまだ20代半ばだった頃。バーでアルバイトをしながら一応生計を立てていた。本業にしたいと思うイラストで小さな仕事を見つけることもあったがささいなことだ。バーにやってくる常連飯沼に恋心を寄せていた。ある日彼が連れてきたのが女優の . . . 本文を読む
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『グッバイ・クルエル・ワールド』

2022-09-11 09:40:41 | 映画
久々に骨のあるアクション映画を見れると楽しみにして劇場に行く。大森立嗣監督が、ヤバい映画を作っていると評判の一作だ。派手で、狂おしいアクション巨編を期待させる。今は亡き深作映画の再来のような。主演が西島秀俊、三浦友和、斎藤工、他,他。銀行ギャングの話かと思ったが、銀行ではなくヤクザからその売上金を奪う強盗団。5人組がお金が集まるホテルの一室を襲い、7000万円ほどの現金強奪。それは先の3人を含む5 . . . 本文を読む
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椰月美智子『きときと夫婦旅』

2022-09-11 09:11:54 | その他
まさかこれがあの椰月美智子の新刊だとは表紙のイラストを見た時には思いもしなかった。しかもこの内容である。主人公を50前の夫婦にしているのだ。椰月美智子自身の実年齢に近い主人公だなんて、初めてではないか。デビュー作『12歳』から(ほぼ)一貫して子供を主人公にして、彼らの目線から小説を綴ってきたはずだ。ジャンルとしては基本は青春小説、あるいは児童文学になるだろう。そんな彼女がずっと冷戦状態にある倦怠期 . . . 本文を読む
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