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映画・演劇のレビュー

原田ひ香『財布は踊る』

2022-09-19 17:39:41 | その他

『三千円の使いかた』で大ブレイクした原田ひ香の最新作。今回もお金にまつわるお話で短編連作スタイルで一応は長編というよくあるパターン。最初のエピソードは面白い。リボ払いで大変なことになる若夫婦の話。ルイ・ヴィトンの財布が欲しい、というところからお話は始まる。毎月3万円の返済設定にしていたことで借金がすごいことになるのんきな夫に愛想をつかす妻。この先どういう展開になるのか、と楽しみにしていたら2話目では別のお話になる。つまらないことはないけど、軽い。さらりと流すパターンだ。

でも、今回のお話は「お金を巡る話」なので、なんとなくつまらない。お金を巡る話がつまらないというのではなく、そこをテーマにしたらどうしてもあまり(僕には)興味のない話になってしまったというだけのことで、関心のある人は趣味と実益を兼ねていて便利でお得。

しかも後半詐欺の話とかになり、読んでいて後味も悪い。金儲けの話とかもなんか興味ないから、つまらないし。いろんなパターンでお金の運用にまつわる話が描かれるけど、だからどうした、という気分にさせられる。でもきっとこういう小説が今の時代は人気なのだろう。『三千円の使いかた』なんて予約がすごくついていて読むのを諦めた。文庫本なので買えばいいけど、そこまでして読みたいわけではないし。(三千円という設定には興味があったのだけど。)僕はお金を稼げないし、だからそれを使わない(使えない)人だから、3千円というスケールがちょうどいい。原田ひ香は3千円で何を書く(書いた)のだろうか、少し気になるけど。

ただ、本作を読んでいると、この題材はちょっとなぁ、と僕は思う。いつもの彼女の作品のほうが好き。衣食住をテーマにしてそこから展開するお話が楽しい。今回のお金も確かにその流れに沿うものだろうけど。それにしても原田ひ香。次から次へとどんどん新刊が出るのには驚く。


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