加藤陽子「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」

               

 日本の歴史、特に近現代史に関する教科書問題が起こるたびに、どうせ現場の授業は大政奉還して明治が始まったところで時間切れで終わり、昭和に入ることはないんだから(最近のことは不知ですが)どう記述したって関係ないよと皮肉な見方をしてしまいます。

 だからといって国の教育のせいにするのは責任転嫁なのですが、我々の世代は昭和のことをほとんど知りません。勿論よく勉強されている方は別でしょうが、普通の人々はそうではないでしょうか。昭和のことを全く知らなかったことを知った、気付いたのは半藤一利さんの「昭和史」を読んでからです。昭和ってこういう時代だったんだ。戦争ってこういうことで起きたんだと目から鱗です。

 東大文学部教授の加藤陽子さんの「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」です。新聞の読書欄で推薦してあり手に取りました。
 加藤教授が行った神奈川県の栄光学園での5回に亘る講義をまとめた本です。日清戦争から第2次世界大戦までの近現代史が生徒とのやり取りも含めて分かり易く解説されています。

 書名から、昭和の戦争は軍部の暴走ではなく結局は日本人、国民が選択した結果なんだということが明かされるのかとワクワクしながら読み進めますが、そういう内容ではありません。また、冒頭に歴史を学ぶ意義として、同じような過ちが繰り返されること、歴史から誤った教訓を導き出すことの危険が示されますが、本編(戦争勃発の経緯)でそれが検証される訳でもありません。

 あれっと頭の片隅にクエッションマークは残りますが(書名は営業担当者が販売用に名付けたキャッチフレーズでしょう)、最新の研究や資料で明らかにしていく近現代史の読み物としてはとても面白いです。特に朝鮮半島や満州の位置づけとアメリカ、ソ連、中国、イギリス、ドイツとのやり取り、展開がすっきりと提示されます。
 半藤一利さんの「昭和史」はもっともっと情報量が多くて、話しがいろんなところに飛ぶので複雑、混沌とした歴史ですが、この本の内容は学生向け、時間の制約があったからか枝葉を落として外交という幹を説明していきます。その分理解しやすい。

 結局は自説を裏付ける日記なり、資料なりを引用するので、これが真実かと単純に信じることは出来ないのですがある程度の説得力はあります。
 悪者として描かれることの多い山縣有朋や松岡洋右にもいい面があるという紹介、解釈や中国の胡適という外交官の「日本切腹、中国介錯論」などは興味深かったです。

 いろんな見方があるので日本の近現代史の本はいくつか読んでみればよいのだと思います。「昭和史」と並んでこの本も読む価値ありです。以前、読売新聞が戦争責任を検証した本を読みましたが、前提としての歴史の事実をまだまだ知らな過ぎることを改めて感じました。堅苦しいことは抜きで歴史は面白いです。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

「ぱん工房 うらら」(日吉/下田町)

          

 日吉駅前商店街の中央通りをまっすぐ進み、ずっと先にあるサンヴァリエ日吉という集合住宅の近くにあるパン屋さんです。ネットで紹介されていて良さそうだったので行ってみました。自転車だと5~10分でしょうか。途中からゆるやかな登り坂になるのでちょっと疲れました。次回は電動自転車にします。

 ビル1階の角にある小さな店です。2~3畳くらいのスペースにびっしり色んな種類のパンが並べられています。しばらく眺めても取りたいものがないパン屋もありますが、ここのパンはどれも食べてみたいです。見た目の上品さよりも実際に食べたいパンを作っているようです。家族のために甘いのと甘くないのと半々バランスよく買わなければならなくてよく迷いますが、ここはバラエティに富んでいて簡単に選ぶことができました。
 女性オーナーが一人で作って売っているようです。HPにはこの7月1日に産休明けで再オープンしましたと載っていました。
 





          

 こちらが甘いパン。






          

 こちらが甘くないパン。

 どれも美味しいです。200円台が多く値段は少し高めですが満足できます。地元の馴染みらしいお客さんがどんどん入ってきていました。日吉商店街側には街のいいパン屋がなくて皆さん登場を待ち望んでいます。徒歩圏内ではありませんがいいなあと思えるパン屋です。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

「第58期王座戦 五番勝負第1局」

          

 注目の将棋タイトル戦が始まります。王座戦は藤井九段が10年ぶりのタイトル戦登場です。藤井システム以後、長らく試行錯誤の時期が続いていましたが、居飛車も含めた新藤井流で挑みます。ただ、18連覇中の羽生王座には相性がものすごく悪いです。先日の竜王戦決勝トーナメント一回戦での穴熊に深く囲ったままでの投了はびっくりでした。さてどうなるか。

 10月からは第23期竜王戦七番勝負です。挑戦者決定三番勝負での羽生名人の強さが光りました。絶好調の久保二冠をうまく捌いて、何だこの将棋はとため息出ます。何度か棋譜を並べてみましたが一体何手先まで読んでいるんでしょうか、一手の隙もない差し回しです。昨年くらいからの羽生名人の強さは異常です。もともと異常に強いのですが、40歳を前にして更に深み、幅が増しているようです。
 6連覇中の渡辺竜王もさすがに棋界ナンバー2ポストへの集中力は強烈です。昨年はあまりにも強くて森内九段を一蹴したような印象でした。
 名人戦同様にBS2で生中継があると思うのでじっくり観戦できるのも楽しいです。NHKへのお願いは毎回2日間、断片的に生放送してくれるのは有難いのですが、一番盛り上がる2日目夕食後の時間帯のどこかでせめて1時間くらい放送時間帯を入れてほしいです(よっぽどのことがない限りまだ終わっていません)。

 さて、9月9日に王座戦第一局がありました。ネットライブで棋譜が見られるので帰宅後、同時に並べて楽しみます。細かな分析は読んでいませんが、藤井九段はあまりいいところなく寄せられました。かなり早い段階で羽生名人は勝ちを読み切っていたのかもしれません。第二局も羽生名人なら一気に決まりそうです。藤井九段、ファンの期待に応えて一矢報いることはできるか。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )