大好きなクラシック音楽、本、美味しいお店、旅行などの記録です。
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ガーディナー/ORR「ブラームス 交響曲第1番~第4番」
〔ザ・スカイズ・ザ・リミット(2002)〕
ガーディナーは自ら立ち上げた「Soli Deo Gloria」というレーベルからバッハのカンタータ集などのライブ演奏をリリースしています。
先日、ドイツ・レクイエムに感動したブラームスについては先行して2007年~2008年に交響曲を録音、発売していました。
鮮やかなジャケットがまず目を引きます。これは1932年にイギリスで生まれたハワード・ホジキンという現代作家の作品(CDジャケットは作品のクローズアップ)を使用しているようです。グラモフォンやフィリップスなど大手の写真中心のジャケットやマイナーレーベルのマイナーなデザインのジャケットとは異なる斬新なイメージがいいです。
いずれも古楽器による非常に充実した響きの演奏です。分厚いドイツ風な響きではなく純音楽的で生き生きとしています。とはいえ装飾を排した無機質な演奏ではなくて、適度な装飾と劇的な盛り上がりもあります。
聴き慣れない古楽器サウンドなので何度も繰り返して聴いたのですが演奏は素晴らしい。初めは古楽器特有の音に関心がいき勝ちなのですが、途中から古楽器であることを忘れて聴き惚れます。
それでも特に美しいと感じたのは古楽器の響きを活かした楽章やメロディでした。ビオラやチェロの中低音のハーモニーが絶品です。特に緩徐楽章が印象に残りました。古楽器の枯れた音がブラームスのしっとりしたメロディに合います。知識がなくて、古楽器の演奏、響きの魅力をうまく表現することができませんがしみじみと感動を覚えました。以下は特に良かった楽章の紹介にとどめます。
第1番では第4楽章の歓喜のメロディが感動的です。
〔デジャブ、デジャブルー(2004)〕
第2番では第2楽章が美しい。
〔リアリズム(2001)〕
白眉は第3番の第3楽章。タワーレコードでここを試聴して感動したのですが、弦のしみじみとした響きは絶品です。
〔オールド・スカイ(1996-1997)〕
第4番は第2楽章の静かな旋律が他の激しい楽章を引き立てます。
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柳沢きみお「なんだかなァ人生」
2012年03月11日 / 本
以前から単行本化を待望していた週刊新潮に連載中の柳沢きみおのエッセイです。柳沢きみおは「翔んだカップル」や「特命係長 只野仁」などで知られる漫画家です。まとめて読んだことはないのですが最近はムチムチ女性にムンムンの男が絡むエロ系漫画家の印象がありました。
それが意外にも達筆です。軽薄な社会風潮を遠慮なく批判したり、子供の頃のノスタルジアを味わい深く回顧したりと話題がとにかく面白い。決して奢っているわけではなくて、自分も馬鹿だけど世間もおかしいぞと本音で吠えます。
表紙にアリが苦しそうにギターケースを運ぶ絵が描かれていて、横に「私はハタシテナニをやっているのだろゥ」とあります。なんだかなァ、とほほ、この表紙が内容を象徴しています。漫画の大ヒットで大金を手にしてきたけど、それ以上にヴィンテージギターやクラシックカーや近代アートのコレクションに嵌ってしまい散財して多額の借金を抱えることに・・・そして、バブル期には4億円もする欠陥住宅を掴まされて(競売価格は3千万円)破産寸前まで追い込まれる。
一方で気持ちいい散歩の目的地となる自分好みの鮨屋を探しまわったり、おいしくビールを飲むために生活をそれなりに律したりと日常的な飲食へのこだわりも並大抵ではない。ただ、いろいろと遠回りをしてしまうようで、思い通りにいかない人生を嘆きます。
要するに全て作者の嗜好であって、自分の趣味には意義があって他人の趣味は低俗だというこの手の主観は鼻につくことが多いのですが、どうしてでしょうか、楽しく読み進められます。作者はいろんな人物を軽蔑するのですが、おそらく読者の多くがいやアンタも変だよと笑えるからかもしれません。
堅実さと破天荒さが交わった作者の人生には羨ましいような、それにしても無駄が多いなと呆れたり、ちょっとどうかなと思いますが、とにかく興味深く読ませます。先日の手塚治虫の秘話漫画もそうでしたが特異な漫画世界への興味と柳沢きみおという人物の面白さです。
この本には2010年5月のスタートから震災直後の号までの分が収められています。連載は続いているので、それ以降についても期待です。
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