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コテージの室内 1886
言葉は いらないのかも知れない。 光りあふれる朝、 温かい陽ざし。 四角い窓と丸いテーブル。
ジュリーの白いドレスとテーブルクロスの白、カーテンの白… 港の風景、
このころ マネの影響から離れた。
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ダイニングルームで 1886 手を休める若いお手伝いさん (今回は 展示されていません 好きな絵はがきから)
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夢見るジュリー 1894
父(モネの弟)を失ったばかりの娘 ジュリーにむける優しい眼差し。
描いたのは、 女流画家 ベルト・モリゾ(1841~1895)
特に対象にとらわれない、 速写、 未完と思える塗り残しや余白、 画面全体を覆う伸びやかな筆遣い、 勢い。 画家は逸るきもちを抑えたか、 じっとしていない子供の 描きかけの片足、 バックの処理。 それらがとてもバランス良く、 いきいきとしていて、 完成を思わせる。
時間的な制約、 男性のように戸外に出かけて描くこともままならなかった時代、 思いをキャンバスにぶつけていった。 上品で優雅な静けさのなかに舞曲が鳴っている。 ゆるやかな線がやがて速くなり、 おなじ色も強く弱く、 長く短く、こころに響いてくる。 モリゾの絵は チャルダッシュ…
娘ジュリーがマンドリンを弾く絵もある。 白いドレスの少女、 金髪と楽器の色が呼応する、 音色… 室内からの風景や、 家族の絵が目立つ。
遺されたパレットに、 女性が描かれていた。
まるで、保守的な伝統に対抗するように。 後半にいくほど、 リズムは烈しく強くなっていた。 このタッチは印象派の先駆け、 むしろリードしていたモリゾだ。
絵を見て 心が穏やかになるのは、 やわらかな色調のせいだ。 (描きすぎはいけないと反省する。 面白味もなくなる。 かたちや輪郭にとらわれず 面で捉えることを、 もう一度学んだ)
(右写真) 1874年
第一回印象派展 紅一点のモリゾ。
「ゆりかご」 ほか出展
のちに 印象派 メアリー ・ カサット(米 1845~1926) も参加 (「オペラ座にて」 構図を思い出す)
(第4回(1879)から連続4回) 女性同士、 影響し合った
-☆- ・ 「猫を抱く少女(ジュリー・マネ)」 モリゾと夫 ウジェーヌが親しく交際していたルノワールに依頼した作品。 モリゾはこの絵がとても気に入っていたのだろう。 銅版やドライポイントで 模写している。
少女も猫も じつに愛らしい。
・ 「ブーローニュの森の湖の日没」 中央に画面を2分するように黒い木。 浮世絵の影響、 フォービスムの兆し。
・ 「ゴーリーの港」 漁村ゴーリー、 手まえに大きな漁船、 つり上げられる赤い網、 奥の埠頭。 人夫や人影。 クレーンなど。 動きのある良い絵。 印象に残った。
・ 「バラ色の服の少女」 娘の溌剌とした皮膚感 「ジュリーの肖像」 髪にピンクのリボン いずれも パステル ・ 「ジュリーの胸像」 ブロンズ、 ロダンやドガの助言を得て。 モリゾの繊細で細い指先が、 愛し子の頬をなぞった跡をたどる。
・ (姉) エドマ・モリゾによる 「描くベルト・モリゾの肖像」
モリゾについて 過去の記事
美しき女性印象派画家 ベルト・モリゾ展 詳しくは こちら 他の絵に会えます