2014.10.8 5:21
黄昏どきの雲の美しさに思わず佇んだ。 ひとは 落日に心を奪われ思いを重ねる。 一日の終わり、荘厳なしらべを感じて こころが洗われる瞬間だ。
先日奈良のHさんから写真が届いた。 (↑ 写真)
「落日を背に二上山のシルエットが浮かびあがる
天武天皇の死から一か月を経ず、686年10月3日、大津皇子は桜井市訳語田(おさだ)で死を賜りました。
時に24才。 今は二上山に眠っています。」
Hさんはご主人が残された 「山の辺の道から 二上山に夕陽が沈む日程表」(これは以前拝見している。精しく調べられた時刻とポイントが記されていた) を参考に、 穴師山の中腹からレンズを向ける。 15分ほど景行天皇宮跡に立って捉えた落日です。
「夕焼けはいきもの…」 一瞬に いのちをかけたご主人を偲ばれていた。 撮影のむずかしさも伝わった。
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写真は写す人のこころまで取り込むようだ。 西方浄土への入り口と言われた二上山の夕陽、 Hさんが大津の皇子に寄せる思いが作品に昇華されている。
さっそく「山の辺の四季 疋田 勉写真集」(東方出版)を開いてみた。
二上山夕景 (9月下旬) 疋田 勉
衾田陵から望む中山古墳と二上山の落日(10月下旬) 疋田 勉
(スキャンした作品は、 とうてい原画の良さに及ばないです。
お許しください)
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津田さんのエッセイも思い出された。 (万葉集の「大津皇子竊(ヒソ)かに神宮に下りて」…
姉と弟に焦点を当てる。 学ぶ楽しみがふくらんだ、 そのことが何よりもうれしいです。
この本がきっかけとなり 「山の辺の道から 二上山に夕陽が沈む日程表」を送っていただいた。
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一日の仕事のあとの水色の空、そして夕やけが美しいレース編みで西の空を飾ること。
もう、とほい思ひ出はいらなくなつた。 (立原道造)
夕やけを しみじみ眺めたくなる。
このような写真を拝見する幸せ.。繰り返し味わっています。舞台が、夕日の名所の二上山ですもの。
大伯皇女、大津皇子姉弟の悲しい歴史を思い浮かべるとき、夕焼け空の哀愁が一段と深くなります。
一度だけ、もう少し早い時間の二上山の夕焼けを見たのを思い出しました。
感動的な写真をありがとうございました。
朝一番に頂いたのに お返事遅くなりました。
山の端いと近うなりたるに…
ほんとうに チャンスを逃さない、 素晴らしい作品に哀感も一入ですね。 二上の雄岳と雌岳。 二峰は悲しみの姉と弟。 撮影秘話を伺って、 写真を撮られたご夫妻にも思えました。 臨場感あふれる作品です。
夜間はだいぶ冷えてきました。 どうぞご自愛ください。