想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

末っ子の領分

2009-06-12 09:37:27 | Weblog
(6月の神事、夏越祓でいただく和菓子、水無月。
氷にみたてた外郎の上に小豆をのせ三角に切ったものです。小豆は悪魔祓い、
氷の替わりはもちろん暑気祓いで、これから向かう夏へ向かって無病息災を
祈願します。あ、もちろんこれまで半年の身の穢れを省みて禊祓いの後にです。
お茶会定番だけれど水無月は神事と関わりのある和菓子、しみじみと頂いた)

先日の〈ちょっとバタバタしてたもんだから‥〉にひっかからなかった母は、
受話器をとってすぐに実際には何と言ったかというと、
「あ、オカサンハ イマ オフロ ハイッテタモンダカラ」と言いました。
ザンネン!
そんな時間でもなかったんですけれども、油断も隙もあったもんじゃない
さすがの母であります。
湯冷めするといけないので、つまらないイタズラ電話はすぐに切りまして
改めてかけなおした次第。
で、かけなおしての話題は6月になると全国津々浦々の家庭で(特に西日本か)
行われるであろう梅干し作りについてであります。
産直で取り寄せたりデパ地下でブランド梅干しを買いますわという方が増えて
いるかもしれないけれど、この時期になるとスーパーマーケットでは梅1キロ
という張り紙と、そのそばには漬け込み用のガラス瓶などもみかけるように
なります。

梅の木を見上げると、大粒の青梅がついているのを発見したわたくしは、
今年こそは自前の梅干しを作るべく、年季の入った母に作り方を尋ねたわけです。
で、まだ熟していないからダメよ、採るのはもちっと色づいてからよと言われ、
この一、二日は梅の木をじーっと観察したのでありました。

浅漬けならともかく、わたしが梅干しをつけようと考えるとは、そりゃ青天の霹靂
と一番上の姉貴はおもったのか、あぶねえあぶねえと案じたのか、その後
「母さんに聞いたんだけどファックスするわ」と作り方詳細を送ってくれました。
口頭で聞いて、ふんふんカンタンじゃん、と思っていたけれど、よく読むとやはり
色々と抜けておりました。ありがたいことです。

姉妹とはいくつになっても、相手の三つ子の魂の部分でつながっているのだと思います。
歳をとったのだから少しはマシになったわけですよ~といくら言っても、そんなものに
説得力はないのです。
わたしは永遠に〈な~んもできん末の妹〉、それはそれでラクチンであることよなあ。
と、大人になると許されることの少ないラクチンな立場にしばし浸りながら、
ファックスで黒くつぶれてしまった写真を眺め、ま、了解了解、字は読めるからと
いつになくゆったりした気分でありました。

末っ子というのは、一番最期にオトナになるわけで、つまり先に歳を取った子供が
わかることをわからないでいられるということです。
わたしは姉たちが見聞きした大人の事情を理解せずに、ただ感じていただけの頃が
あったわけで、理解しなかったことで救われていたのだなあと思うのです。
感じていたアレコレを大人になって考えて理解するのは、余裕がある分、受け止め
方に大きな違いがあるのですから。

貧しかった子ども時代、貧しさの意味など知らないぼんやりと明るい世界に片足を
残していた妹と、同年の子どもよりずいぶん先に大人にならざるを得なかった姉。
わたしは末っ子で恵まれていたのだと思うのでした。
妹の気分は少し幸せで、少し切なくもあります。











コメント
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