ブルルンブルルン、ダッダッダッと大きな音がするので親分に付き添われて表へ。
すると前の道をバイクが数台上ってきている。
見過ごすと、行き止まりのこの道をぐるぐると走り、結局出られないわけだから
騒音が小一時間、長いと数時間は森を騒がすことになる。
獣生き物鳥たちに迷惑であるので、手をあげて制止した。
すると先頭を走ってきたライダーは素直に止まり、エンジンを切った。珍しい。
たいていは無視して走り去り、迷子になってずいぶんたって道を尋ねに来たりする。
ヘルメットからのぞき穴みたいに見えているその若い人の目は涼やかで、落ち着いていた。
この道はぐるっと回って、この家の右のこの道路へ続いているので、一周して戻って
くるのです、だからつまり行き止まりで、それにここは私道なのです、
どこへ行かれますか?
そう言うと、行き先は答えず、ああ、そうか行けないんですか、とつぶやくような
声で言った。この道は戻るしかないってことですか? と困ったような顔をして言う。
国道へ戻って、どう行ったらいいんでしょうか、‥‥。
だから、あんたはどこへ行きたいのさ? とは言わなかった。
なにせライダーと言っても、彼らのバイクは新車らしくピカピカで、ウェアも真新しい。
ヘルメットを取った顔はまだ少し少年の風情が残っていたのだ。
先頭の青年が後ろを振り向き、道間違えちゃいましたーと少し大きな声で言うと、
皆、同じようにバイクから降りて向きを変えようとした。乗ったまま、片足をついて
方向転換するような技は使わないのであった。
しずしずと、静かなライダーたちが気の毒になったので、国道へ出る近道を教えた。
先頭にいた青年は、それを復唱し確認すると、頭を下げて礼を言った。
他の男たちも、すこし会釈みたいにヘルメットの頭を下げてバイクにまたがった。
なんだか青春だなあ、ほんとの青春だなあ、と思って後ろ姿を撮ったのである。
水を蓄える森、東京ではゲリラ豪雨と呼ばれているような雨が、ここでは丸一日
降り続ける。例年のことなので驚かない。
雨の合間、ひと休みしているような樹々と草が伸びた土の上に、靄がかかって美しい。
窓から眺めていると、ほんとうにこの地に来てよかったと思う。
すると前の道をバイクが数台上ってきている。
見過ごすと、行き止まりのこの道をぐるぐると走り、結局出られないわけだから
騒音が小一時間、長いと数時間は森を騒がすことになる。
獣生き物鳥たちに迷惑であるので、手をあげて制止した。
すると先頭を走ってきたライダーは素直に止まり、エンジンを切った。珍しい。
たいていは無視して走り去り、迷子になってずいぶんたって道を尋ねに来たりする。
ヘルメットからのぞき穴みたいに見えているその若い人の目は涼やかで、落ち着いていた。
この道はぐるっと回って、この家の右のこの道路へ続いているので、一周して戻って
くるのです、だからつまり行き止まりで、それにここは私道なのです、
どこへ行かれますか?
そう言うと、行き先は答えず、ああ、そうか行けないんですか、とつぶやくような
声で言った。この道は戻るしかないってことですか? と困ったような顔をして言う。
国道へ戻って、どう行ったらいいんでしょうか、‥‥。
だから、あんたはどこへ行きたいのさ? とは言わなかった。
なにせライダーと言っても、彼らのバイクは新車らしくピカピカで、ウェアも真新しい。
ヘルメットを取った顔はまだ少し少年の風情が残っていたのだ。
先頭の青年が後ろを振り向き、道間違えちゃいましたーと少し大きな声で言うと、
皆、同じようにバイクから降りて向きを変えようとした。乗ったまま、片足をついて
方向転換するような技は使わないのであった。
しずしずと、静かなライダーたちが気の毒になったので、国道へ出る近道を教えた。
先頭にいた青年は、それを復唱し確認すると、頭を下げて礼を言った。
他の男たちも、すこし会釈みたいにヘルメットの頭を下げてバイクにまたがった。
なんだか青春だなあ、ほんとの青春だなあ、と思って後ろ姿を撮ったのである。
水を蓄える森、東京ではゲリラ豪雨と呼ばれているような雨が、ここでは丸一日
降り続ける。例年のことなので驚かない。
雨の合間、ひと休みしているような樹々と草が伸びた土の上に、靄がかかって美しい。
窓から眺めていると、ほんとうにこの地に来てよかったと思う。