きょうは仕事の関係で吹田市にでかけましたが、夕刻、ボランティアをしていた家内とお鮨屋さんで合流して、おいしいお寿司とお酒をいただきました。お隣は、入学式を終えたばかりの新高校生とご両親のお祝いの席。ほのぼのとした空気に包まれました。
ほろ酔い気分で帰宅して、ゴンタ爺さんのお世話をしたあと、PCの前に座ります。さてさてブログのテーマは何にしようかと思いつつ、とりあえずサンサーンスの「クラリネット・ソナタ変ホ長調」を聴きました。その間、長椅子に横たわってぼんやり眺めたのは季刊誌「考える人」2016年春号でした。
この季刊誌、近く創刊15周年を迎えますが、いつの頃からか私とは距離感が出てきてずいぶん失礼をしていました。それが今号からリニューアルするのだと。ページ数を抑え、それに伴って定価も従来の1400円から980円にダウンです。最近、雑誌が売れなくなっているようですから、起死回生を狙ってのリニューアルといったところでしょうか。
今号の特集は「12人の、『考える人』たち」でした。久しぶりにぱらぱらめくっていくと、意外と読み応えのある記事が載っています。最終ページの「編集部の手帖」には、本誌創刊号の一節が再掲されていました。
「たまにはテレビを消して、身の回りも整理して、一人の「わたし」に戻り、自分の言葉と生活を取り戻したい。溢れるモノや情報をいったんせき止めて、ひと息つきたい。思考する頭に新鮮な空気を送り込みたい。そんなあなたのために用意する、小ぶりの静かな部屋に季刊誌「考える人」はなりたい、と考えています」
15年前、ある種の衝撃をもって目にした「創刊にあたって」の一節でした。情報過多の時代、脳みそが硬直化してしまいそうになったとき、あるいは目の前に立ちはだかる壁の前で立ち往生してしまいそうになったとき、まずは身の回りの「モノ」を捨ててしまうことで強制的に頭の中を軽くしてしまう。真っ白にしてしまう。更地にしてしまう。すると、これまで見えなかった遠くの景色が見えてきます。地平線を望むことができます......。こういう時間と空間はぜったいに必要に思います。ブログ「心の風景」の底流にもこれに近いものがあります。日常の仕事言葉から距離をおいて、幼稚な自分の在り様を見つめなおしてみる。ある方は、これを断捨離というのだそうです。
そんな週の半ば、仕事帰りに環状線京橋駅界隈にあるツイン21で開催中の「ツイン21古本フェア」を覗いてきました。逆三角形のガラス窓の向こうに小さく大阪城を望むビジネス街の一画とあって、勤め帰りの方々が三々五々やってきては古本と睨めっこしていました。
この日手にしたのは、奈良本辰也の「歴史と風景」(400円)と「日本の知恵」(200円)の2冊でした。そのうち「日本の知恵」はタテ12センチ、ヨコ9センチという手のひらサイズで、翻訳から印刷出版とも英国、米国の生まれでした。ソメイヨシノに少し遅れて開花する山桜をテーマにした歌に誘われての衝動買いです。
あしびきの 山桜花 日並べて かく咲きたらば いと恋ひめやも(山部赤人)
For these few days The hills are bright with cherry-blossom. Longer, and we should not prize them so.
敷島の 大和心を 人問はば 朝日に匂ふ 山桜花(本居宣長)
Those eager voices Demanding the soul of many-isled Japan... Lead them to the mystery of cherry-blossom And the golden light Of morning over mountains.
この春は、お能の「吉野天人」に始まり、近所の公園、職場に隣接する市内の公園、通いなれた私鉄駅のプラットホーム、そして背割堤と、ずいぶん桜の花を楽しませていただきました。というよりも、これまで何気なく通り過ぎていた桜をじっと眺める心の余裕が出てきたということなんだろうと思います。
そういえば、小説家の玉岡かおるさんのブログに「伝統芸能にどっぷりウイーク」と題して、山本能楽堂で開かれた「なにわの歳時記 桜景色編」のことが紹介されてありました。上演中は撮影禁止なので、その風景の一部がご覧いただけます。ご興味のある方は以下のアドレスを覗いてみてください。http://tamaoka.blog115.fc2.com/blog-entry-501.html
今夜はゴンタ爺さんにお留守番をしてもらって夫婦で外食でしたので、帰宅するとご機嫌ななめでした。少し遅めのお散歩にでかけたり、おいしい夕食を差し上げたりしてご機嫌をとったり、「明日はお風呂に入れてあげるから」となだめたり。やっと納得してくれました。(笑)
ブルーベリーの花が咲き始める季節。明日は晴れそうですから、先日の風雨で散らかったお庭のお掃除でもしましょう。