台風16号が和歌山県田辺市に上陸。ラジオの臨時ニュースが伝えます。田辺といえば7月におじゃました街。南方熊楠が眠る高台の墓地から太平洋を望みましたが、風雨が海上からまともに吹きつけているのでしょうか。ここ大阪でも風雨が強くなってきた昼下がり、ぼんやりとブログの更新を始めました。
この連休は、雨にたたられ遠出ができないでいますが、毎日お家の中に閉じこもるのは辛いものがあります。と言うわけで(週末に旅行にでかけるためでもありますが)、お彼岸の入りといわれる昨日、雨の合間を縫って京都・知恩院にお参りに出かけました。御影堂はまだ工事中ですので、まずは阿弥陀堂にお参りし、そして法然上人御堂に向かいました。 お彼岸になると、堂内に観無量寿経(観経)に説かれる内容を絵画化した「観経曼陀羅」が掲出されます。阿弥陀三尊を中心に極楽浄土の風景が描かれている曼荼羅ですが、一心に南無阿弥陀仏を唱える浄土宗と、四国遍路で出会った般若心経とは趣を異にしています。私のなかでは未だに仏教の宗派の違いがきちんと理解できていません。(観経曼陀羅の写真は知恩院HPから)
運よく大降りになることもなく、お参りがすむと平安神宮に向かいました。家内いわく、敬老の日は神苑が無料開放されているのだと。桜の季節でも、菖蒲の季節でもありませんが、それでも秋の風情を感じる苑内でした。
次に訪ねたのは、友の会会員でもある京都国立近代美術館。企画展はしていなかったのですが、この日が最終日だった第3回コレクション展を覗きました。クリムトの素描を興味深く観ました。少し時間をかけて眺めたのは写真展「水俣」でした。撮影者は、ユージン・スミスさん。水俣の人々の苦悩、生きざまが1枚1枚の写真の中から浮かび上がってきます。そのとき、ふと思いました。能楽に近い世界を。
1年前だったか、石牟礼道子さんに焦点を当てたNHKテレビ「戦後史証言(日本人は何をめざしてきたのか)」を見ました。学芸総合誌「環」2000夏号の特集「日本の自然と美」に掲載された、鶴見和子さんと石牟礼道子さんの対談「魂と”日本”の美~水俣から学ぶ」も、改めて読み返して、このブログにアップしたことがあります。また今月のNHKテレビ「100分de名著」は、石牟礼道子さんの「苦海浄土」を取り上げています。 対談の中で鶴見さんは、「アニミズムをつきつめていくと、多様なものが、多様なままにまとまりをつける論理というものが必要になるの。それが曼荼羅ではないかと考えているの。私は。」と言います。最近頭の片隅から離れない、「もの」と「こころ」の統一、科学と人文との融合、そんな遠大なテーマに繋がっていくような気がします。
話は変わりますが、数日前、畑の片隅でバッタの親子に出会いました。子供が必死に親の背中にしがみついている?待てよ。これから寒い季節を迎えるのに子どもバッタはどうなる?ネットで調べてみると、これは親子ではなくカップルでした。大きい方がメス、小さいほうがオスなんだと。寒くなる前に子孫を残そうという生き物の自然の姿なんでしょう。ヒトにかぎらず地球上に生きる多くの生物が必死に生きようとしていますが、バッタさんには宗教ってあるんでしょうかねえ。ないとすれば、なぜヒトは宗教を創りだしたんでしょうね。