りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

机上の空論。

2013-10-19 | Weblog
今朝の地元の中国新聞に載っていた。



広島市の原爆資料館のリニューアルに合わせて、館内にある被爆者の人形を
撤去することがほぼ正式に決まったらしい。

広島市が話す理由としては、リニューアル後の展示資料を、遺品や写真などの
「実物」中心とするためだそうだ。


正論だと思う。


世界で唯一、“ヒロシマ”を訴える場所なのだから、後世に伝え継ぐべき貴重な
資料をしっかりと揃えて、もっと見やすく分かりやすい展示をしてもらいたい。

だからと言って、この人形を撤去するのはどうなのだろう?

ワタシが初めて原爆資料館に訪れた7歳の時、最も衝撃を受けたのは、この人形だった。
そのリアリティとブースの横に小さく付けられていた「生死をさまよう」というタイトルが
瞬時に脳裏に焼きついて、言葉にできないほどの恐怖感を植えつけられた。
大人になっていろんな人と原爆資料館について話す機会があったが、そのほとんどの人が
初めて人形を見た時には強い衝撃を受けていたようだった。

遅かれ早かれ、広島で被曝を体験した方々がいなくなる日は確実にやってくる。
それを境に、“ヒロシマ”は“過去の出来事”から“歴史の出来事”に変わってしまう。

被曝した方々から見れば、実際の光景はこの人形どころではなかったのだということは、
戦後生まれのワタシたちでも重々承知している。

でも・・・というか、だからこそ、この人形は残すべきなのではないか?とワタシは思う。

実物と偽物の間に杓子定規に境界線を引いていたら、“原爆の惨禍を後世に伝え継ぐ”と
いう原爆資料館が持つ本来の目的から逸脱してしまうのではないだろうか。

どうも・・・。

どうもこの一件からは、机上の空論の匂いがする。



中国新聞「被爆再現人形15年度末に撤去」
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201310190048.html
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする