今日の朝刊一面の記事下広告。
まだもう暫くは、又吉ブームは続くというか、出版業界は続かせようとしているんだなぁ、と寝ぼけ眼でぼんやりと紙面を見ていたら、携帯電話が鳴った。
実家の親父からだった。
「おはよう」とあからさまに寝起きだと分かるような口調でワタシが電話に出ると、「朝からすまんな、実はの・・・」と、親父がいきなり本題を話し始めようとした。
只ならぬ予感がした。
親戚のおじさんかおばさんが亡くなったか?
それとも、自身の体調で何か異変があったか?
それとも、お袋の方に何かあったか?
親父75歳、お袋71歳。
何があっても、もうおかしくない。
「実はの、前々から話そうと思っていたんじゃが、この前の・・・」
言葉を選びながらゆっくりと親父が話を続ける。
ワタシは親父の息子を、もう45年もやっている。
だから、分かる。
親父がこういう口調の時は、自分の身の上話をする時だ。
受話器の向こうから聞こえる声は、なかなか本題の核心にたどり着かない。
年齢を重ねるに連れて端的かつ早口で喋ることができなくなってきたこともあるが、どこかしらまだ迷いながら話しているようにも思えた。
遠回りをしながら話す親父の言葉を耳にしながら、自分なりに推測した。
おそらく、ここ数年で悪くなった腰のことではないだろうか?
数年前に骨粗しょう症が原因で背骨を圧迫骨折をして以来、親父は足腰で苦労している。
それらを完全に治すには手術すべきなのだが、50代の時に大病をしてガリガリに痩せてしまった親父には、その手術は負担が大きいらしい。
最悪の場合、車椅子の生活になるかもしれなかった。
それでも、手術をする気になったか?
もしするなら、暑さがピークを越えた9月頃か?
元気に快復すれば何も問題ないが、もしも車椅子の生活になったら、どうする?
とりあえず、実家の玄関は段差があるからリフォームしなければいけないだろう。
介護保険も考えなければいけないかもしれない。
考えたりしなければいけないことが山のようにあるぞ・・・。
そんなことを考えていたワタシに、受話器越しに親父が尋ねた。
「芥川賞を獲った又吉、知っとるか?」
はぁ?
あまりにもアサッテの方向の話に、思わず声が裏返った。
「この前、あの本を買って読んだんじゃが、ダメじゃ。ワシには、どこが面白いのか、さっぱり分からん」
はぁ・・・。
「お前、読んだか?」
いや。
「孫らは?」
いや。でも興味はあるみたいだけど。
「じゃあ、やるけぇ、また取りに来い」
それで、電話は切れた。
何なんだ・・・?
眠たかった頭はすっかり目覚めたが、その代わりに消化不良のようなモヤモヤが身体の中に生まれた。
とりあえず、娘に祖父との電話の話を伝えた。
すると、やりぃ!といった表情でピースサインをした。
あ、なるほど。
そういうことか。
ワタシの娘と息子が読書好きのお笑い好きだということは、祖父である親父もよく知っている。
たしかに、又吉の本は、そんな孫たちには打ってつけだ。
近所に住んでいると言えども、最近は部活や塾で子ども達が実家へ顔を出すことが少なくなっていた。
親父にしてみれば、孫たちの顔を見るきっかけが何でもいいから欲しかったのかも知れない。
とどのつまり、又吉の「火花」は、孫たちに会うための撒き餌なのだろう(笑)
夕方、娘と実家へ行ってきます。
↓
↓
↓
↓
・・・というわけで、借りてきました。
まだもう暫くは、又吉ブームは続くというか、出版業界は続かせようとしているんだなぁ、と寝ぼけ眼でぼんやりと紙面を見ていたら、携帯電話が鳴った。
実家の親父からだった。
「おはよう」とあからさまに寝起きだと分かるような口調でワタシが電話に出ると、「朝からすまんな、実はの・・・」と、親父がいきなり本題を話し始めようとした。
只ならぬ予感がした。
親戚のおじさんかおばさんが亡くなったか?
それとも、自身の体調で何か異変があったか?
それとも、お袋の方に何かあったか?
親父75歳、お袋71歳。
何があっても、もうおかしくない。
「実はの、前々から話そうと思っていたんじゃが、この前の・・・」
言葉を選びながらゆっくりと親父が話を続ける。
ワタシは親父の息子を、もう45年もやっている。
だから、分かる。
親父がこういう口調の時は、自分の身の上話をする時だ。
受話器の向こうから聞こえる声は、なかなか本題の核心にたどり着かない。
年齢を重ねるに連れて端的かつ早口で喋ることができなくなってきたこともあるが、どこかしらまだ迷いながら話しているようにも思えた。
遠回りをしながら話す親父の言葉を耳にしながら、自分なりに推測した。
おそらく、ここ数年で悪くなった腰のことではないだろうか?
数年前に骨粗しょう症が原因で背骨を圧迫骨折をして以来、親父は足腰で苦労している。
それらを完全に治すには手術すべきなのだが、50代の時に大病をしてガリガリに痩せてしまった親父には、その手術は負担が大きいらしい。
最悪の場合、車椅子の生活になるかもしれなかった。
それでも、手術をする気になったか?
もしするなら、暑さがピークを越えた9月頃か?
元気に快復すれば何も問題ないが、もしも車椅子の生活になったら、どうする?
とりあえず、実家の玄関は段差があるからリフォームしなければいけないだろう。
介護保険も考えなければいけないかもしれない。
考えたりしなければいけないことが山のようにあるぞ・・・。
そんなことを考えていたワタシに、受話器越しに親父が尋ねた。
「芥川賞を獲った又吉、知っとるか?」
はぁ?
あまりにもアサッテの方向の話に、思わず声が裏返った。
「この前、あの本を買って読んだんじゃが、ダメじゃ。ワシには、どこが面白いのか、さっぱり分からん」
はぁ・・・。
「お前、読んだか?」
いや。
「孫らは?」
いや。でも興味はあるみたいだけど。
「じゃあ、やるけぇ、また取りに来い」
それで、電話は切れた。
何なんだ・・・?
眠たかった頭はすっかり目覚めたが、その代わりに消化不良のようなモヤモヤが身体の中に生まれた。
とりあえず、娘に祖父との電話の話を伝えた。
すると、やりぃ!といった表情でピースサインをした。
あ、なるほど。
そういうことか。
ワタシの娘と息子が読書好きのお笑い好きだということは、祖父である親父もよく知っている。
たしかに、又吉の本は、そんな孫たちには打ってつけだ。
近所に住んでいると言えども、最近は部活や塾で子ども達が実家へ顔を出すことが少なくなっていた。
親父にしてみれば、孫たちの顔を見るきっかけが何でもいいから欲しかったのかも知れない。
とどのつまり、又吉の「火花」は、孫たちに会うための撒き餌なのだろう(笑)
夕方、娘と実家へ行ってきます。
↓
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・・・というわけで、借りてきました。