昨夜のこと。
テレビでは、卓球混合ダブルスの決勝。
金メダルに、王手。
チューハイ片手に、そんな大一番の試合を見ていたら、同じ部屋にいた娘が、スマホ片手に突然こう尋ねてきた。
「ねぇ、“北斗の拳”、読んでた?」
何だよそれ。今、訊くことか。
TPOをわきまえない質問。
最初は無視しようと思ったのだが、タイミングよく試合が1セット終わった直後だったので、
「ああ、読んでた」と、律儀に答えてしまった。
「全巻読んだ?」
ああ、読んだ。
「いつ?」
高校の時だよ。
「うちには、ないの?」
ないよ。
お父さん、「北斗の拳」は買ったことがない。
友達ん家とか喫茶店で全部読んだ。
もう訊いてくるな。試合が再開する。
あと、もう1セット。
1セットで、金メダル。
試合スタート。
初っぱなから怒濤の進撃。
中国ペアをどんどん引き離す。
しかし、相手も諦めていない。
粘る粘る。追いつく追いつく。
さすが、王者・中国。
やはり、勝利の女神は簡単には振り向かない。
「ねぇ、面白かった?」
まだ訊いてくるか。
うるさい。こんな白熱した試合を前にして、もうそんな愚問に答えている暇はない。
北斗の拳といえば、経絡秘孔。
押したら、瞬時に喋られなくなる秘孔ってなかったっけ?
こめかみとか、脳天とか、そのあたりに。
娘よ、もしもその秘孔があったら、お父さんはケンシロウばりに押してたぞ。
そうこうしていたら、試合が中断した。
一瞬、試合終了かと勘違いしたが、どうやらテーブルに汗が落ちたらしく、それを係員が拭き取るために中断したようだった。
「面白かったよ」
ワタシもバカなのだ。
試合中断でこっちの緊張の糸も切れたのか、またまた律儀に娘の愚問に応えてしまった。
「お前、読まない方がいいぞ。けっこうエグいシーンが多いから・・・というか、ほとんどそういうシーンばっかりだから」
「そうかぁ・・・ワタシ、ちょっとしか知らない。一コマしか知らない」
「ほぉ、どこ知ってるんだ?」
試合再開。
ここで、試合に夢中になってまったく飲んでいなかったチューハイを、乾ききった口に流し込んだ。
その瞬間、娘がこう続けた。
「“汚物は、消毒だぁ~!”ってとこ」
盛大に、吹き出した。
口からチューハイを。
「“汚物は、消毒だぁ~!”ってとこ」
盛大に、吹き出した。
口からチューハイを。
そして、咽せて、咳き込んで、鼻水垂らして、大爆笑。
「北斗の拳」は、名作だ。
登場人物は個性的だし、ストーリーもバツグンに面白く、記憶に残るセリフも多く、名シーンは枚挙にいとまがない。
しかし娘が挙げたそのシーンは、そんな「北斗の拳」の中で、あってもなくてもどうでもいい、ストーリー展開に全く支障がない雑魚キャラのシーンだった。
だがその一方で、「北斗の拳」を熱心に読んでいた読者なら誰もが知っているカルト的なシーンでもあった。
ほとんど忘れていた30数年前のマンガのことを、20歳そこそこの人間が話題にし、しかもカルトな告白のオマケ付き。
ほろ酔い気分も相まってか、ワタシは床にへたり込んで笑い転げてしまった。
そうこうしていると、テレビの中からひときわ大きな歓声が・・・。
どうやら、日本が勝ったらしい。
「北斗の拳」は、名作だ。
登場人物は個性的だし、ストーリーもバツグンに面白く、記憶に残るセリフも多く、名シーンは枚挙にいとまがない。
しかし娘が挙げたそのシーンは、そんな「北斗の拳」の中で、あってもなくてもどうでもいい、ストーリー展開に全く支障がない雑魚キャラのシーンだった。
だがその一方で、「北斗の拳」を熱心に読んでいた読者なら誰もが知っているカルト的なシーンでもあった。
ほとんど忘れていた30数年前のマンガのことを、20歳そこそこの人間が話題にし、しかもカルトな告白のオマケ付き。
ほろ酔い気分も相まってか、ワタシは床にへたり込んで笑い転げてしまった。
そうこうしていると、テレビの中からひときわ大きな歓声が・・・。
どうやら、日本が勝ったらしい。
なんということだ。
記念すべき歴史的な瞬間を、こんなしょーーーもない会話で見逃してしまった😭
娘よ、お前はもう、死んでいる。
〈補足〉「汚物は消毒だぁ〜!」に興味を持たれた方は、各々で検索してみて下さい(笑)
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