rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

ヴィヴァルディ:調和の霊感

2014-02-04 15:40:08 | 音楽たちークラシック

A. Vivaldi - L'estro armonico, Op.3, No. 8 a-moll

18世紀イタリア・バロック音楽のヴィヴァルディ作曲「調和の霊感」は、繊細で色彩豊かな音色が綾なす音楽だ。
彼の作品でもっとも有名なのは「四季」だが、この「調和の霊感」も彼の持ち味を十分に持った作品なのだと思う。
ヴィヴァルディも相当の多作家で、協奏曲・オペラ・室内楽・宗教楽など多岐に渡って700以上作品をなしたらしい。
しかし、彼の死後音楽の流れの移り変わりと共に忘却の時期を迎え、多くの作品は散逸の憂き目をみる。
ヴィヴァルディに限ったことではないけれど、人が作った美しいものが消えてしまうことに深い悲しみを感じる。
それは、人が万物の頂点に君臨すべき優れたものがなす業との驕りなどではなく、美しいものを作るより破壊し穢すことの多い人の業を憂うからだ。
宗教の神に仕えた司祭としてのヴィヴァルディは、音楽という美で神の国を説きたかったのか、それとも美の善性で人の心を浄化したかったのか、私には知る術もないが、自分としては後者の力を信じたい。
寒気に震える今宵、ヴィヴァルディの「調和の霊感」で魂を喜びに震わせてはいかがだろう。