rock_et_nothing

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朝と夜の白湯

2014-02-18 22:52:48 | 随想たち
この冬の始まりから、朝起きてすぐと夜寝る前に、白湯を飲むようになった。
以前は、朝はコップ1杯の水、寝る前は薄めのコーヒーときどき白湯が習慣だった。
しかし、加齢と共にもともと強くない胃腸の負担を減らさなくてはならないようになってきて、白湯へと転換したのだ。
こうしてキーボードを打っている間に、マグカップ1杯の白湯を飲みきってしまった。

時代物のドラマなどを見ていると、白湯はよく飲まれていたように演出されている。
平安時代に中国から伝わった茶は、貴族や僧など一部の限られた人だけのものだった。
茶を武士が飲むようになっても特別な意味合いが強く、庶民にいたっては茶の栽培が広まった江戸時代まで待たなくてはならなかった。
子供の頃、茶を飲む器を「湯呑み」という名称に違和感を持っていた。
もともとは、茶と共に伝わった碗だから茶碗とこの名称のほうが先だったのが、庶民には高価な茶が下る前に碗だけ先に使われるようになり、”湯”を飲んでいたことから”湯呑み”の名称が後付されたらしい。
そうと知ってから、白湯を飲むたびに古の人々を偲ぶことを愉しんでいる。

水を沸かしただけのシンプルな白湯は、人に優しい。
一番単純なものをじっくりと味わうと、生命の根源的愉悦でもって、ふるふると体が震える錯覚を覚えるのだ。