稚内から礼文島へ向かうフェリーより、利尻島の利尻富士を臨む
幸運に開けた青空
雨雲が覆う稚内から、朝一のフェリーで礼文島に向かう。
稚内のノシャップ岬を遥か後方にするころ、フェリーの上空には青空が広がってきた。
天気予報では曇り時々雨だったから、この束の間の青空は、北端に向かう旅行者へのちょっとした贈り物のように思われた。
そうこうするうちに、前方左手に島影が水平線上に現れた。
利尻富士を頂く利尻島だ。
30年以上前に、行ったことのある島だ。
山の右側に、白い筋があることから、残雪の可能性がある。
ここにあげた写真の前のもののほうが、山頂までよく見えて、白い筋もくっきりしていたが、全体のバランスがいいものを選んだので山頂に雲がかかり始めたものとなっている。
海上の風は強く、しかも冷たい。
時々船内へ戻って体を温めてから甲板へ出るの繰り返しをしていると、進むにつれて空に雲がかかり、利尻島は灰色の世界の奥に隠れてしまった。
もちろん、礼文島は、すぐ近くになるまで待たなければその姿を見ることができないほど、霧がかかっていた。
フェリーが接岸し上陸すると、観光バスへと乗り込んで、礼文島周遊をする。
礼文島は、南北に細長い島で、その東海岸沿いに道路が走る。
いくつかの名所、見内神社(みないじんじゃ)、日食観測記念モニュメントなどを車内より確認して、西側にある澄海岬へ移動する。
その途中、日食記念モニュメントを過ぎたあたりから一区間だけ、すっきりと晴れているところがあった。
礼文岳(490m)に西よりの湿った空気が阻まれて、そこだけ晴れているのだろう。
その影響が及ばないところへ進むと、また霧雨の降る世界へと戻っていった。
澄海岬には、強く湿った風が吹きつける過酷な中でも咲く、エゾカンゾウ(ニッコウキスゲ)、ミヤマオダマキ、チシマフウロ、オオハナウドなど、健気で可憐な花たちが居た。
晴れて視界が開けていたら・・・と思いつつ、まだ雨が酷くないだけでも幸運なのだと言い聞かせては、一期一会の面持ちで、この景色と空気を自分に刻み込もうとしていた。
澄海岬(すかいみさき)にて
澄海岬に咲く花々
澄海岬の入り江
この続きは、礼文島固有種のレブンアツモリソウと、穴あき貝などを織り交ぜておくりたいと思う。
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