rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

静かな、あまりにも静かな一日

2012-03-22 23:20:23 | 随想たち
天気予報では、昼あたりからぐんと気温が上がるはずだった。
しかし、灰色雲越しの薄日射すひんやりとした一日になった。
風すらそよとも吹かず、こんなに静まり返った日は、いつ以来だろうか?

彼岸の最中、今日も義母方のお墓参りに行く。
この先50年たっても変わることがないだろうと思われる景色の中を、自動車は進む。
お墓にお線香を供え、このお墓に血の縁ある人々の平安を祈った。

それから、少しだけドライブを兼ねて、自動車を走らせる。
もし、この景色が変わるとすれば、家の形が時々の流行になり、跡継ぎの絶えた廃屋が荒れた庭とともに佇んでいるのだろうと夢想した。
ある集落の神仏混合に祭ってあるお寺に寄ってみた。
江戸時代にいくつかあったお寺と神社を合祀したのだと、石碑に印されている。
境内には、遅れた梅の花が満開となり芳しい香りを控えめに漂わせ、ゲートボールの興じるお年寄りの方々の溌剌とした声が響き渡る。
お墓参りの人たちもちらほらみえた。
時が止まったかのような空間。

家の庭では、ねこがいつもと違う様子で枯れ芝の上に丸くうずくまっていた。
「にゃぁ」と声をかけても、応答がない。
幾度か繰り返して、やっと返ってきた。
具合でも悪いのか、それとも内側に篭っていたいのか。
いつものように寄ってこなく、庭をうろうろ家事のようで行き来するワタシが仕事に切りをつけ家に入るときになって、ようやくのたりのたりとエサをねだってきた。

動くものは、家の住人と、上空を横切る旅客機のみ。
木々も鳥達も、風もなにもかも、今日は静まり返っている。
ぽかりと異空間に落ち込んだような、不思議な感覚。

珍しい、静かな、あまりにも静かな一日だった。

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