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「洪水」家人からのメール

2019-08-20 23:51:21 | 空・雲・星・太陽たち
4時あたりから、雲行きがかなり怪しくなっていた。
職場より北のほうは、真っ黒な雲が空を覆い、時期にこのあたりに迫ってきそうだ。
そろそろ退勤時間、帰る私宅をしていると、あっという間に窓の外は暗くなり、風が強く吹いたかと同時に灰色の雨粒の壁が真横に猛スピードで押してきた。
鉄筋の建物内でなければ、とても眺めていられるかんじではないくらい恐怖をもよおすものだ。
小さい人の迎えを少し後へとずらすため、メールを打つ。
気がつけば、小さい人からメールの着信があり、「4時25分、嵐がおきている」とのこと。
お互いに頑丈な建物内にいるので、焦らない。
約30分間、どうにか嵐は過ぎ去ったようだ。
5時に退勤して車を走らせる。
西の空には雲の切れ間から青空が覗いて、嵐も収束が近い。
無事小さい人をピックアップした帰り道、メールの受信があった。
家人からのメールには一言、「洪水」とだけ記されていた。
小さい人と唐突なその文言に、笑ってしまった。
川もなく、高台の我が家でなぜ「洪水」なのか。
いくら家人がメール嫌いと入っても、大げさで謎なワード、ありえないだろう。
帰宅した私たちを家人が出迎える。
「洪水って、どうしちゃったの?」
「うそだと思ってるでしょう?でもほんとなんだから。今その始末をしている最中だよ。」
「えっ?!いったいどういうこと?」
「ともかく家に入ろう」
すると、義母も開口一番、「こんなこと初めて。あまりにも恐ろしくてとても二階の窓を閉めにいけなかったんだよ。」
義母たちの居間、応接間になにやら洗面器が置いてあり、どうやら雨漏り?があったようだ。
しかも、ありえないところで。
家人の説明では、二階の台所と洗面室の北向きの窓から大量の雨が横殴りに入り込み、それが階段を流れ落ち、ところによっては床や壁の隙間を伝い流れて雨漏り状態になったらしい。
実際、二階の台所の食器棚や壁に飾ってある額縁もびしょ濡れになっていた。
信じられない光景だ。
家人は、竜巻でも起こったかのように、雨粒が真横に飛んできて視界が奪われ、家が大きく揺れて、家の中も外もどこもかしこも逃げられる気がしなかったと、その時を表現する。
今まで、災害にはほぼ無縁でいられたのが、どれだけ幸運だったと、再び思い知った嵐だった。


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