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どちらかといえば大人たちが感傷的になる、「ヒューゴの不思議な発明」

2012-11-14 16:03:24 | 映画
マーティン・スコセッシ監督「ヒューゴの不思議な発明」を、家族で観た。
映像美に凝った、1930年代のノスタルジックなパリを温かなセピア調で描いている。
黒髪にコバルトブルーの瞳を持つ少年ヒューゴは、この世界に迷い込んだ天使のよう。
ヒューゴは、人知れず壁の中で、時計のネジを巻いて油を差し、今は亡き父との唯一の絆である機械仕掛けの人形の修理をする。
やがてそれがきっかけとでも言うように、小さな歯車が動き出し、大きなうねりとなって、ぎこちなく頑なになった人の心を再び立ち上がらせるようになるのだ。

中盤過ぎまでほとんど進展しない物語に、小さい人はすっかり飽きてしまった。
ところが、後半になるあたりから、物語は急にスピードを上げ進んでいく。
あたかも、小さなネジでぜんまいを巻き上げ、その動力が大きな歯車へと伝わり、順に小さくなっていく歯車に動きが移っていくように。
ヒューゴは言う、「どんな機械でも役目を持って生まれてきている。壊れたままなんてかわいそう。その機械が動けなくなったら修理するのが僕の役目。おとうさんもそうしてきたから。」
彼の真摯な姿勢が、やがて彼を取り囲む人々の強張り失くした自信を蘇らせ、人生の孤児院から救い出すことになる。
中くらいの人は、最後まで見ていたが、難しいといっていた。
それもそのはず、まだ人生を踏み出したばかりで、彼の前には選び取れる未来がたくさんあるのだ。
人生80年まで生きられるとして、その半ばを過ぎた大人たちにとっては、じんと切なすぎるものがあった。

この映画に登場する第二の主人公で実在の人物映画作家ジョルジュ・メリエスがいる。
しばしば映画の中に流れる、彼の代表作「月世界旅行」は、すばらしいエンターテイメントであり、芸術作品でもある。
映画の黎明期の溢れんばかりの希望に満ちたこの映画を、いつかじっくりと観てみたい。

30年後、人生半ばを過ぎた中くらいの人が、「ヒューゴ・・・」を再び観ることがあったなら、どう感じるのであろうか。
あのときの両親の複雑な心境を思い出して、苦笑いするのかもしれない。






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