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ニコラ・ド・スタールは、ロシアの亡命貴族の子息。
南仏に流れ着いて描く絵は、地中海の明朗軽快な色彩に彩られている。
だから、描いた画家がロシア人とは思いもよらない。
同じロシアの亡命作家に、ポリアコフやシャガールがいる。
フランスに移り住むと、彼らは明るい色彩の虜となるみたいだ。
あたかも、土地の力を身に受けて育つ樹木のよう。
そして、画家は、絵筆を持ったシャーマンになるのかもしれない。
大地に両足をしっかりと踏み込み、そのエネルギーを召喚して、キャンバスに塗りこめる。
この時、色彩は、その魔力を存分に発揮して、画面に命を吹き込んだ。
ド・スタールは、繊細な青いシャーマンとなり、土地の息吹を画面にしるした。
彼の絵がにおわせる線の細い儚い香りは、ある物悲しさを観る者の心に染み入らせる。
そう、地中海の海の色の蒼さが、明るさの中に冥府の冷たさを隠しているように。
吸い込まれそうな海に感じてしまう、やりきれない哀しみを。
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