昨日の”盛りバラ”的花の絵をどれだけ描いたのだろうか、アンリ・ファンタン=ラトゥール。
19世紀後半フランスで花の絵や静物画などを中心に描く。
強い個性や主張を排してそつなく美しく描かれたこれらの絵は、ブルジョワの家庭の部屋を品良く華麗に飾ったことだろう。
写真のごとく写実的な出来栄えは、芸術信奉者にとって物足りなさを与えてしまう。
しかし、ありのままに自然を描写したかのようなその抑制された表現が、透徹な知性を感じさせる。
ジェームズ・ホイッスラーとアルフォンス・ルグロらとともに絵画理念に共感したもの同士「三人会」というものを結成したという。
そう聞けば、ホイッスラーと共通する雰囲気を漂わせているかもしれない。
寓意とか象徴の助けを得ずとも、身近なものの中に隠されている普遍で崇高な感覚を表すことができる、一歩先にある精神感応の世界。
抽象度がいっきに増した絵画理念を、彼らは認識していたのか。
アンリ・ファンタン=ラトゥールは、おそらくホイッスラーよりも誤解を受けているのではないかと思うようになった。
なぜならば、先ほどまでの自分がそうであったから。
今回のこの発見の素人の感覚だけの意見ではない、彼の研究者の見方を知りたいと思うようになった。
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