大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・通学道中膝栗毛・40『結果オーライ』

2018-04-08 16:08:17 | 小説3

通学道中膝栗毛・40

『結果オーライ        

 

 

 モナミで覚えてくれたら嬉しい。

 

 ルイゼ、アケミ、コマツの三人(三台?)のロボットと共に見送ってくれて、カラリとアラレちゃんは言った。

「あ、そうだね。なんだか、イメージがまんまだから、あやうくアラレちゃんで覚えてしまうところだった」

「大久保萌奈美というのが戸籍上の名前、でも画数多すぎだからモナミ。ちおう番号の交換とかしといていいかなあ?」

「うん、もちろん」

 スマホとパソコンのアドレスを交換して門を出ようとした。

「タロウとハナコも紹介したいんだけど」

「ロボット?」

「うちの番犬、慣れておいた方がいいし」

「モナミさま、二頭ともメンテですが」

「栞さまのことでしたら、あとで情報を並列化しておきますが」

「うん、犬の方は、それでいいんだけど、栞にも慣れておいてもらったほうがいいし」

「そうですか、それでは……」

 アケミさんがこめかみに手をやる。通信するときの姿勢のようだ。

 やがて、日本家屋の方からガチャガチャと音が近づいてきた。

 

「わ!?」

 

 動きは普通の中型犬なんだけど、前進金属のスケルトン、でもってコアになってる頭は歯がむき出しで、正直おぞましい。

 ワンワンワンワン!

 スケルトンが犬がましく尻尾を振るのも、ちょっと不気味。

「今日は外皮のメンテなもので……日ごろは、ちゃんと毛皮を着ておりますので」

 カチャカチャカチャ……。

 二頭のスケルトンがプリンターのような音をさせながら口から紙を吐き出した。

「えと……」

「あら、新機能。名刺みたい、受け取ってあげて」

 二頭はソレソレというふうに首振って促すので、恐る恐る受け取る。

「わ、ホログラム!?」

 ちゃんと毛皮を装着した姿が3Dで浮かび上がる、二頭とも秋田犬のようで、尻尾がクルリンと巻いて立ち上がっているサマなど、今日からでも渋谷の駅前で銅像になれそうだ。

 

 岡持ち持って芋清に戻ると、オイチャンもオバチャンもちょっと済まなさそうな顔をしている。

 

「楽しかった、夏鈴が居なくなって、ちょっぴり寂しかったけど、近所でいい友だちができたって感じ!」

 そう答えると、二人とも正直にホッとした笑顔になる。

 どうも、この出前は二人に仕込まれたような気がした。

 でも、結果オーライ。

 いそいそと家に帰ると、さっそくプレステ3のコントローラーの修理にかかるのであった。

 

 

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高校ライトノベル・フケモンGO・03・え……!?

2018-04-08 06:47:11 | 小説5

高校ライトノベル・フケモンGO 03 
 え……!?


 どうやら無くしたものを見つけるアプリのようだ。

 フケル=逃げる、姿をくらます、てな意味が検索すると出てくる。

 だから、フケモノとは無くなったものと理解することができる。椿本先生が無くしたチケットが出てきたのは、そういうことなんだ。
―― んーーーーま、今はそう言う理解で良いわ ――
 スマホの中から那比気芳子が声だけで答えた。
「わ、無精ね、声だけ?」
―― バッテリー切れかけ! ――
 なるほど、画面に出ている電池のマークがエンプティーになっている。

 教室のコンセントに充電器を差し込んで、とりあえず十分ほど充電した。

 もっと充電したかった亜美だが、冷房が切られた教室にそれ以上いると熱中症になってしまいそうだったのだ。
 いつもなら教室横の階段を下りて昇降口にいくのだが、少しでも涼みながら帰ろうと、亜美は渡り廊下に出た。
 四階部分の渡り廊下は吹きっさらしになっていて心地よい。
「あ~蒸れる~」
 夏期講習中の放課後で、学校には人気が無い。亜美はスカートを摘まんでパカパカした。

「お……!」

 という声が足許からした。これから試合にいくらしい野球部のメンバーが地上から見上げている。
「むーーーー」
 一声唸って、亜美は昇降口下りる階段に駆け込んだ。
―― だいじょうぶ、お日様が眩しくてスカートの中までは見えてないから ―― 
「だって……」
―― これごらんなさいよ ――
 スマホの画面に、下から見上げた亜美が映っている。たしかにスカートの中は暗くて分からない。
「でも、操作したら見えちゃうんじゃないの……てか、なによ、この映像は!?」
―― あの野球部たちポケモンGOをやりながら歩いてたのよ。で、亜美の気配でカメラモードにしたのね ――
「や、やだー!」
―― 大丈夫よ、このスマホに映ってるということは無くなってる。つまり消去済み。キャプテンの子が気づいて消去させたのよ ――
「そ、そうなんだ(^_^;)」

 下足に履き替え、昇降口の外に出るとスマホが振動した。

 画面はナビモードになっていて、学校の敷地が地図になって映っている。校庭の隅に!マークが震えている。
「……なんだろう?」
 校庭に進んでいくとカメラモードになり、校庭隅の草むらで等身大の!マークが跳ねている。
「これは……」
 亜美は!マークが跳ねているあたりの草むらをかき分けた。

「え……!?」

 そこには黒光りするピストルが落ちていた……。
 

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