大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・通学道中膝栗毛・46『撃墜帝王モナミ』

2018-04-24 10:22:50 | 小説3

通学道中膝栗毛・46

『撃墜帝王モナミ』 

 

 

 モナミは毎晩やってきてはゲームの世界を広げていく。

 

 わたしはゲーマーなんだろうけど、ライトがつく。

 週に二三度コントローラーを握って、一年で数本のゲームしかしない。おもにRPGで、最初のコンフィグで設定はユルユルのイージーにしておく。パズルとかラビリンスとか、むろんゲームの中でのね、そこで躓いたら投げ出してしまう。

 うーーーん、ゲームと言うよりはストーリーを追っていると言ったほうがいいのかもね。

 ラノベ読んだりアニメや映画観るのと同じ。違いは、自分の意思とペースで進められること。

 この頃は広大なオープンワールドのゲームが主流になってきて、ものによってはストーリーを追いかけないで自由気ままにマッタリ生活するようなゲームもある、オブリビオンとかグランドセフトオートとかウィッチャーとか。それはそれで面白いんだけど、やっぱりストーリーはあったほうがいい。わたしが求めているのは自分のペースで進められる映画とかアニメに近いのかもしれない。

 モナミは違う。

 ゲームと名前が付けばなんでもあり。

 毎晩違うゲームを持ってきては披露する。

 むろんメインはわたしのファイナルファンタジーなんだけど、一段落するとモナミの独演会になる。

「ここで捻りこみ……かける!」

 バックを取られていたゼロ戦が縦ループの頂点で捻りこみの急降下を掛け、手品のようにグラマンのバックに着いた。

 ダダダダダ ダダダダダ

 二連射十発の射撃音がして、グラマンのキャノピーが粉砕される。

「グラマンの防弾版は7・7ミリじゃ抜けないんだけどね、パイロットはパニックになって機動が甘く……なったところを20ミリ!」

 ドドド ドドド

 あっという間にエンジンを撃ち抜かれてグラマンは撃墜される。

「これが坂井三郎の撃墜法! 滞空時間さえ確保出来たら五機くらいは墜とせるんだよ」

 

 コングラッチレーション! 撃墜帝王の称号を獲得しました!!

 

 画面いっぱいに花火やらキンキラのエフェクトが満ちる。

「すごい、三百機も撃墜したんだ!」

「な~に、軽いもんよ~♪」

 ほかにも『電車でゴー』『グランツーリスモ』『パイロットになろう』『A列車で行こう』などなどシミレーションものを見せてくれた。ほかにもゾンビ系やら無双もの、乙女ゲーまで見せてくれる。

 わたしにもコントローラーを握らせるが無理強いはしない。モナミのペースでやっているようだけども、わたしのモチベーションに気を配ってくれているのが分かる。

 モナミはイイコだし、モナミの後ろでニコニコとアケミさんが微笑んでいるのもいい。

 

 でも、ときどき思うんだ。モナミ、学校とかはどうしてるんだろう……。

 

 でも、それはモナミから言い出さない限り、わたしから詮索していいようなもんじゃない。

 モナミは気を遣いながらも子供のように楽しんでいる、わたしも程よく楽しめている。むろんテスト前とかになったら考えなきゃならないけど、今はこれでいい。

「ちょ、オシッコ!」

 ロボゲーで瞬殺の新記録を叩きだすや、モナミは階下のトイレに直行した。

「栞さま、ひとつお願いがあるんですが……」

 アケミさんがニコニコ笑顔のまま、真剣なまなざしを向けてきた……

 

 

コメント
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