大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・通学道中膝栗毛・47『よっしゃー!』

2018-04-26 12:04:52 | 小説3

通学道中膝栗毛・47

『よっしゃー!』 

 

 

 アケミさんの頼みにわたしは笑顔で応えた。

 はい、もちろん!

 

 だって、アケミさんのお願いは「モナミお嬢様の良いお友だちでいてください」だったから。

 アケミさんは、こうも付け加えた。

「簡単にやってらっしゃるようですが、いっぱいいっぱいなんです。栞さまに見ていただくために、お屋敷でも懸命にやっておられます」

 モナミは、わたしが興味を持ったゲームを毎日数時間やってはスキルを維持しているらしい。

「こんな頑張りはいつまでも続きません、できれば、栞さまの世界に引き込んで新しい世界を見せて上げて下さい」

「えと、モナミ、学校とかは?」

「アメリカで二つ、イギリスで一つ大学を出ておられます」

「だ、大学!?」

「今は、お屋敷に居ながらお仕事をなさっておられます、IT、AI、片手間に為替やトレーダーのお仕事なども……えと……わたしをお作りになったのもモナミさま……だと言えばお分かりいただけるでしょうか」

 そうだ、初めてモナミのお屋敷に行った時、アケミさんの首が取れて、それ直したのはモナミだったもんね。でも、なんだか凄すぎて「あ、そうなんだ」と間の抜けた相槌しか打てなかった。

 

「ねえ栞、リビングに初期のP3があったけど、使ってないの?」

 

 ハンカチで手を拭きながらモナミが戻って来た。

「ああ、あれ壊れてるよ、もう映像も出ないし」

 まだお父さんが居たころ、最初に買ったプレステ3だ。たしか60ギガしかなくって、ファンの音もうるさい。たわんだ棚の支えにいいもんだから捨てずに置いてある。

「じゃ、直してもいい?」

「うん、棚の支えさえなんとかなったら」

「よっしゃー!」

 軽くジャンプして、モナミは作業に取り掛かった。こういう仕草は、丸っきりの子どもだ。

 ポーチにホッタラカシにしていたプランターを真っ二つにして棚の支えにし、開けたプランターの正面は小物が入るように加工した。この作業が、わずかの十分。

 P3は、通電していることを確認すると「お任せお任せ」とニコニコしながら分解、クリーニングをして基盤を取り出した。

「おし、じゃあ、アルミホイルでくるんで……」

「はは、これがお芋だったらオーブンで焼いて食べられるかもね」

「そだよ、これからオーブンにかける🎶」

「オ、オーブンにかけるの!?」

 

 なんと、モナミはプレステ3の基盤をオーブンにぶち込んでしまった!

 

 

 

 

コメント
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