大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・通学道中膝栗毛・38『足止めを食う・2』

2018-04-06 13:05:59 | 小説3

通学道中膝栗毛・38

『足止めを食う・2        

 

 

 アラレちゃんみたいなナリはしているが淹れてくれたお茶は絶品だ。

 

 わたしもメイド喫茶でバイトをするようになってから多少は分かる。

 カップを事前に温めることや、お茶ッパを入れる時にも二人分であるにもかかわらず三杯入れる。

 呪文のように小さく呟いているのが――one for you. one for me. one for the pot.――であると知れる。

「家の者は、紅茶にはスコーンだって言うんだけど、わたし的には芋清さんの……おお!」

 アラレちゃんは芋清の紙袋を開けて目を丸くする。

「すごい! ほんとにじゃがバター始めたんだ!」

「気に入って頂けたらうれしいです」

 変な子だと思っていたけど、芋清のお芋を素直に喜ぶ様子はアドバンテージだ。

 部屋は十二畳ほどだけど、コンピューターやモニター、イコライザーみたくフェーダーが一杯ついたのやら、電子機器としか、わたしの知識では分からないものが中心に、小さな旋盤ボール盤、3Dプリンタと思しき機材。棚や机の上にはゲーム機が二三十台、天井まであるラックにはゲームやフィギュアやロボット。

 ソファーの周囲だけはカーペットが見えているが、それ以外のところは黒いケーブルが縦横無尽に走り回っている。ハッキリ言って超ド級のオタク部屋だ。全てのモニターが起動していて、テレビスタジオの副調整室みたい、一つのモニターで四つの動画を流しているものもあり、SNSの画面になっているもの、テレビ画面になっているもの、たくさん点いているいるので目がチラチラしてしまうが、ゲームの中継らしいものにおのずと行ってしまうのは、ライトではあるけど、わたしも同類の証かな?

 部屋の様子に気を取られていると、アラレちゃんはタブレットになにやら打ち込んでいる。

「おいちゃんにメール打っといた、ルイザがバグってあなたが出られなくなっちゃったって」

「どうもありがとう」

 おいちゃんと呼ぶのはお馴染みさんの証拠だ、ということは外に出かけることもあるのかなあ……少なくとも商店街の芋清にはいくんだろう。いや、それもずっと前のことで、いまは引きこもってるんだろうか?

「いろいろ興味を持ってくれたみたいね栞ちゃん」

「え?」

 わたしのこと知ってるんだ。

 ちょっと不気味になってきた……。

 

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高校ライトノベル・フケモンGO・01・捕獲第一号で~す!

2018-04-06 06:50:41 | 小説5

高校ライトノベル・フケモンGO 01 捕獲第一号です!

 あたし白瀬亜美はスマホゲームに興味はない。

 だからポケモンGOのゲームアプリをスマホに入れたりはしない。それが…………なんでー!!

 メールをチェックしようとしたら入っていた。

 ポケモンGO……ん?……フケモンGO?

 夕べのニュースで「ポケモンGO」の紛い物が出回っていて、へたにインストールなどするとえらい目に遭うと注意していた。
 だから、朝食のトーストを齧りながら削除した。
「よいせっと」
 朝食の食器を重ね、ガチャリと流し台へ、右へ一歩蟹さん歩きして冷蔵庫に貼りつけた百均の鏡。玄関から外に出て恥ずかしくない顔になっていることを0・5秒で確認。通学カバンをつかんで玄関。
「ってきまーす!」
「ってらっしゃーい!」
 左手でドア開けて、同時に右手でカバンを肩に。

 走れ光速の~帝国華撃団♪ 唸れ衝撃の~帝国華撃団♪
 
 ここのところマイブームの「サクラ大戦」のサビを口ずさみながら五歩で四つ辻、市道の通勤通学路の流れに乗る。
 さすがに「サクラ大戦」はハミングにトーンダウン。
「おっとぉー!」
「………………」
 前を歩いていたサラリーマン風が急に立ち止まるのでぶつかってしまう。勢いがついているので、もろに我が美乳がサラリーマン風の背中に当たった……のに、そいつは無言でアサッテの方角に。

 歩きスマホはダメなんだからー!

 一睨みすると、そいつは、画面見たままガッツポーズ。あーポケモンGOだ。

 角を二つ曲がったところで公園を斜め横断。駅へのショートカット。
 そこで、ポケットのスマホがブルブルと振動。こんな朝から誰が電話してく……え!?

 スマホはカメラモードになっていて、公園の一角を映していた。
 で、画面の桜の木の下に、今時学習院か女学館でしかお目にかかれないようなセーラー服の女生徒が立っている。
 それも、ゲームかアニメに出てくるコミック風。
――あ、見つかっちゃった!――
 女生徒は口に手をあて内股のままジャンプ。まるでアニメのワンシーン。

 で、画面から顔を上げると、桜の木の下に画面のコミック風をリアルにしたような女生徒が立っていた。

「わたし那比気芳子(なびげよしこ)。記念すべきフケモンGOの捕獲第一号で~す! よろし……」

 あたしは発作的にスマホの電源を落とした。すると、目の前の女生徒も消えた。

 でも、あたしのフケモンGO生活は始まってしまったのだった……。 
 

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