大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・143『修学旅行・二日目』

2024-11-14 16:25:46 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
143『修学旅行・二日目』   




 初日の昨日は南禅寺の他にも定番のコースを回った。

 八坂神社、産寧坂、清水寺と定番の観光コースなんだけど、全員京都は初めてだったので面白かった。

「坂の向こうに見える八坂の塔、素敵ねえ……」

「写真撮ろ……ワ( ゚Д゚)!」

 カメラを構えた真知子がファインダーを覗いてつんのめった!

「危ない!」

 佳奈子が持ち前の運動神経で支えて事なきを得る。

「ありがとう、佳奈子。危うくお父さんのカメラ落とすところだった(^_^;)」

「いやあ、この坂で転んだら三年寿命が縮まるっていいますからねぇ」

「お産が軽ぅに済むとも言いいますねんよぉ(^○^)」

 ロコの脅かしをお土産屋のオバチャンが打ち消してくれる。

「アハハ、お産はまだまだ縁が無いですけどねえ(^_^;)」

「ほんなら、縁結びのお土産とかどないどすぅ」

 オバチャンのうまい営業に載って、お守り風の土人形やら清水焼の湯呑なんかを買ってしまう。


 日本人が思いきる時の引き合いというか代名詞の清水の舞台では「校舎の屋上ぐらいだねぇ」と夢のないことを佳奈子が言う。

「でも、ここからの景色は一級品だねえ」

「ほんとねえ、京都って空襲に遭ってないから、雰囲気よねえ」

 なるほどぉ……お寺とかの瓦屋根が多くて、目に見える範囲で高いのは京都駅近くの京都タワーぐらい。家並の向こうには西山がちょうど頃合いの背景になって、さすが千年の都。

「夕方になったら、この向こうに夕日が沈んで絶景なんだろうねえ」

「でもさ、ここは舞台なんだろうけど、ここで舞とかやっても、下からじゃぜったい見えないよね」

 たみ子が現実的なことを言う。

「それは、きっと、お日さまに見せるんですよ。一日無事に都を照らしてくれたお日さまに感謝の舞を捧げたんですよ。如来さまの偉いのを大日如来とか言いますからねえ」

「おお、さすがロコ、よく調べてるねえ」

「あ、いえ、これは単なる想像なんですけどね(^_^;)」

 これには斟酌せずに、みんなで傾き始めたお日さまと京都の景色を見ながら、思わず合掌してしまった。


 夜の宿舎でもいろいろあったんだけど、それはまたいずれ機会があったらね。


 今日は、北山の金閣寺や嵐山から嵯峨野に行ったんだけど、昨日のことを書いたらいっぱいになってしまった。

 では、また明日(^_^;)



☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ      
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
 
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!61『マユ、補講を受ける』

2024-11-14 09:03:50 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
61『マユ、補講を受ける』 




 かくしてルリ子と美紀はオモクロのメンバーになった。
 
 オモクロは略称こそ変わらなかったが正式名称は変わった。

 オモシロクローバーではない。

 想色(おもいろ)クロ-バーである。

 オモシロ系の色は一掃され、清楚とビビットが同居したようなアイドルグループになった。

 むろん、センターは奇跡のようにのし上がってきた吉良ルリ子である。

 マユが、このことを知ったのは、その週の日曜日であった。

 週末は拓美に体を貸してあるので、マユは魔界の補講である。



 その週の日曜日は、魔界の補講の初日にあたっていた。



 ああ気が重いぜぇ……(-_-;)。

 マユがオチコボレになっちまったのは悪魔論Ⅰを落としたからなんだぁ(-_-;)。

 悪魔論Ⅰは、悪魔にとっちゃ基本中の基本なんだけどなあ(-_-;)。

 前にも言ったけどよ、悪魔は、もともとは天使だったんだ。

 人間の救済方について、他の天使と意見が合わなくなちまってよ、ケンカになっちまったんだ。それがサタンてやつでよ。三位一体って理屈が天界にはあってよぉ、天使に盾突くことは神に刃向かうことと同じなんだってぬかしやがる(三位一体とは、父=神 子=キリスト 精霊=天使の三つが同じということ)。

 でよぉ……ああ、忌々しいヽ(`Д´#)ノ !!

 天使に楯突くことは父と子にも楯突くことにされちまってよ! 多勢に無勢、サタンは天界から出ざるをえなくなっちまったってわけだ!

 で、悪魔論には、サタン流の人間救済方の基本が示されてる。頭の良い小悪魔のやつらは、丸暗記して十三日間の実習をそつなくこなして、悪魔になっていきやがる。

 でもよ、マユは筆記試験の段階で落っこちまう。

 魔法のかけ方という問題で、いつも救済という点じゃなくて、面白いことに重点を置いて答えちまうからだ。

 たとえば、こんな問題があった。

 ◎IT時代における、悪魔的な人間救済について、八百字以内で答よ
 
 マユは、こう答えた。スマホの写メに同時進行機能の魔法をかける。なぜならば……以下略。

 デーモン先生は、この答で、マユの落第を決めやがった。

 写メに同時進行機能の魔法をかけると、写したものが現実の時間に沿って変化していく。ベッピンさんを撮って、数時間後に見てみればスッピンの寝顔が見えてしまう。おいしそうなスイーツを撮って、数時間後に見れば、消化されたそれなりの姿に見える。マユは、それに臭いの再生魔法をかけることもデコメ付きで答え、あまりの不真面目さに落第させられた。

 で、これは、人間界に飛ばされてから実際にやってしまった。その相手がルリ子だったんだけどな(^_^;)。

「そのルリ子に雅部利恵(天使名ガブリエ)がイッチョカミして、アイドル界を引っかき回しておる。マユ、おまえは人間界にもどって、なんとかしやがれ」

 デーモン先生は、きっぱりと言いやがった。

「でもよ、マユ、休日は拓美って幽霊に体貸してんだよ」

「ケルベロスのポチを貸してやる」

「え、マユ、ポチになっちまうのか!?」

「しかたないだろ。小悪魔が使えるアバターは一つだけなんだからな」

「そんな、片脚あげて電柱にオシッコなんて、ぜってえヤだ!」

「ポチには、変身能力もある。ポチの中に入ってから人間に化ければいいだろが」

「でも、先生。ポチってリアルだから、お風呂にも入らなきゃなんねえし、トイレにも行かなきゃなんねえし(>_<;)!」

「仕方ねえだろ。これがマユの試練なんだからな」

「そんなぁ、リアルトイレなんて考えらんねえし!」

「それなら、拓美と相談して、一つの体に同居することだな」

「もう!」

「それに、マユはフェアリーテールの世界もやり残したままだろがぁ」

「あ、あれは、バグっちまったから」

「バグは、いずれ回復する。取りあえずは、天使とタイマンはってこい!」

「タイマンっすか……」

「怠慢こいちゃだめだぞ」

「……オヤジギャグだし」

「来月の十三日は金曜日、悪魔の力がみなぎる吉日だ。存分に戦ってこいや! ガハハハハ……!!」

 不敵で無責任な高笑いを残して、デーモン先生は消えやがった。

 そんで、足もとでポチが尻尾振ってお座りしてやがった……(-_-;)。


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 上杉       オモクロのプロディューサー
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  

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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!60『パフェを二つ食べた大石クララ』

2024-11-13 16:12:10 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
60『パフェを二つ食べた大石クララ』 




 オモクロのミニライブを観ている中に黒羽がいる。筋向かいの喫茶店の二階席には、帽子を目深に被った大石クララの姿もあった。

 読者はお気づきだろうが、黒羽は先日、光プロの光ミツルの直感と道楽でつくられたAKR47のチーフディレクター。大石クララはAKRのセンターで、週末アイドルと銘打ったAKRの中で、ただ一人七日間全てをAKRに捧げているチームのリーダーである。

 パチパチパチ……!

 ミニライブが終わると、黒羽は普通のオヤジファンのように目をへの字にして拍手。クララが待っている喫茶店の二階に上がった。

「どうだった」

 握手会に移ったオモクロたちを見下ろしながら黒羽は水を向けた。

「勉強になりました」

「そうか……それはよかった」

 二人の会話は、あらかじめ決まっている。黒羽が、そう決めたのだ。黒羽は、クララの「勉強になりました」の言葉の響きや、表情から反応を観察して、オモクロがAKRの、いい当て馬になるかどうかを見たかったのだ。

 クララの言葉には熱がなかった。論外なんだろうなあ……黒羽は、クララの反応をそう受け止めて伝票を掴んだ。

「あ、今の『勉強になります』分かりました?」

「5段階評価で3ってとこだろ?」

「あ、さすがです。でも、どうしてですか、わたし、思い切りポーカーフェイスだったと思うんですけど?」

「4とか5だったらパフェを二つも食ってない」

「あ、それは、黒羽さんがいくら食べてもいいって(#'∀'#)」

「分かってるよ、クララは他の子たちの倍はカロリー使わせてるからな」

「カロリーだけじゃないですよ」

「ほう」

「あの子たち、今度はアキバでやるらしいです。そっちも見てきていいですか?」

「あ、それなら……」

「黒羽さんは別に来てください」

「え、つれないなあ」

「わたしが、どこからどんな風に見てるかも見ていただければ勉強になります」

「え、アキバの広場だろ、見つけられるかなあ」

「それぐらいのオーラ、ヒカリの黒羽ディレクターが見つけられなくてどうするんですか」

「あ、やられたなあ(^_^;)」

「じゃ、お先に」

「おう!」


 ズズズ―

 すっかり温くなったカフェオレを飲み干して苦笑する黒羽。


 そして、その苦笑いを、路上からしっかり見ていた男がいた。


 オモクロのプロディユーサーの上杉である。

 上杉は、最初から黒羽の存在には気がついていた。黒羽の向かいの子が大石クララであることも気がついて地下鉄に下りていくクララの姿もしっかり見届けた。


――やっぱり、黒羽には勝てないか――


 そう思って、視線を落としたところで気がついた。いや、オーラを感じてしまった。ヒカリプロの二人に負けないくらい醒めた目。醒めながらも、全身から――自分ならもっとすごいぞ――と不遜と思えるくらいに漲るオーラを。

 気がつくと、二人の少女に声をかけていた。

「ちょっといいかなあ……」

 むろん二人の反応は、駅前であしらったデコボコニイチャンたちへの反応とは違っていた。

 二人の少女は、その足でオモクロの所属事務所に向かった。

 あっけないほどの展開である。

 それもそのはず、この出会いと展開をコントロールしていたのは、通行人に化けた雅部利恵である。利恵は、久々に天使らしい良いことができた……そう無邪気に喜んでいる。

 利恵は、こうやって、ルリ子と美紀をアイドルにすることに成功した。むろん白魔法で、アイドルをやれるだけの素養は付けてある。ほんとうは、ルリ子のグループみんなをアイドルにしてやりたかったのだが、オチコボレ天使の利恵には二人が限界だった。


 かくして、ルリ子と美紀はオモクロのメンバーになった。
 
 オモクロは略称こそ変わらなかったが、正式名称は変わった。

 オモシロクローバーではない。


 想色クロ-バーである。


 オモシロ系の色は一掃され、清楚とビビットが同居したようなアイドルグループになった。
 むろんセンターは、奇跡のようにのし上がってきた吉良ルリ子である……。



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 上杉       オモクロのプロディューサー
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  


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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・142『修学旅行・一日目』

2024-11-13 09:49:18 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
142『修学旅行・一日目』   




 毎朝、戻り橋を渡って昭和の宮之森に通っている。もう慣れっこになったけど、十秒ちょっとで五十年以上の時間を超えてしまうのはすごいことだ。

 京都駅で新幹線を下りて、二年生全員で改札に向かっているのは、ちょっとそれに似ている。

 乗ってきたのは0系で、テッチャンとかマニアが見たら大感激なんだろうけど、鉄道趣味じゃないわたしには普通の新幹線。ちゃんとホームドアもあるし、素っ気ないけど普通の新幹線ホーム。

 ところが階段を下りて跨道橋を中央改札に向かうと、あたりまえだけど昭和だよ。

 去年、万博で行った新大阪駅はあまり違和感は無かった。

 でも、京都駅は違う。

 ホームから駅ビルまでの跨道橋を渡る。床はコンクリ、壁と屋根は木造で鉄骨が剥き出しで、幅が宮之森の三倍ほどあるところを除けば同じコンセプト。

「あ、みんな、あれですよ、日本一長いプラットホーム!」

 ロコが窓の外を指さす。

「おお、果てしないねえ!」「うわあ!」「あれがぁ!」「すごいぃ!」

 富士山が雲に隠れて見えなかった反動なのか、みんな跨道橋の窓から見える日本一のプラットホームに感嘆の声を上げる。

「全長は558メートルもあって、列車が二編成並ぶことができるんです」

「「「「ホーー」」」」

「それで、あのホームは京の都を取り巻いた城壁の上にできてるんですよぉ」

「え?」「平安京に城壁?」

 たみ子と真知子が振り返る。歴史とか社会とかにかけては、この二人は姉妹みたいに反応する。

「ええ、文禄の駅で中国から来た使いに『なんだ、日本の都は羅城もないのか』って言われて、羅城っていうのは城壁のことなんですけど、それで、秀吉が一念発起して、都に羅城を作らせたんです『御土居』って言うんですけど、その名残です」

「へえ、昔のバレーに9人制があったぐらい不思議な話ねぇ」

「ええ、バレーって9人でやってたんですか!?」

「え、知らないの?」

「アハハ、スポーツの方は(^_^;)」

 佳奈子とロコは住んでる世界が違うんだけど、違っていても友だちでいられる。きっと、入学以来の付き合いだからだ。

『ちょっとぉ、あんたたちぃ!』

 花園先生が、いつになくおっかない声で注意する。

「いけない、みんな集合してる!」

 慌てて改札を出て集合場所へ。

 
 つつがなく点呼が終わると、とりあえずホテルに入ってお昼ご飯をいただいた。わたしたち前半組はホテルだったけど、後半組は少し離れた旅館。旅館組の方はバスの駐車場からけっこう歩かされたとか。

 お昼ご飯は、京都らしいものが食べられるかと思ったけど、ふつうのランチだった。


 昼からはバスを連ねて東山。


「あれですよ、石川五右衛門が『絶景かな絶景かなぁ~』ってやったのぉ」

 南禅寺の山門で、またもハイテンションのロコ。

「ええ、あれって創作じゃなかったんだ」

「いやあ、創作だと思いますけど、実在の南禅寺にしたところが観光誘致もかねていたというか、昔の歌舞伎もなかなかなんですよねえ」

「ええと、ごっつい煙管持ちながら言うんだよね、……世に盗人のネタはつきまじぃ。だったっけ?」

 う、佳奈子でも知ってるっぽい。つまり、わたしは知らん。

「石川やぁ、浜の真砂は尽きるともぉ~」

「世に盗人の種は尽きまじぃ~」

 アハハハハ(((´∀`)))

 歌舞伎風にやるので、他のクラスの子にも笑われる。

「ああ、これこれ、水路閣っていうんでしょぉ!?」

「え、お寺の中でしょ?」

 たみ子が指差したのは、レンガ造りのローマの水道橋みたいなの。

 苔むして時代がかっているんだけど、お寺にはちょっと似つかわしくはない。

「これは、明治になって、琵琶湖の水を京都市内に取り入れるために作られた水道橋なんですよ。雰囲気があるんで『ザ ガードマン』とか『忍者部隊月光』とか、映画やらテレビのロケでも使われるんですよ」

「そういや、タイガーズのレコードジャケットにもあったみたいな」

「エメロンシャンプーのCMでも使ってた!」

 うう、令和のJKはついていけん。


 こっそりスマホで『水路閣』を検索……なるほどぉ、令和の時代でもいろんな映画やアニメに使われている。大好きな京アニの『けいおん!』とかにも使われてるけど、さすがに言えない。

 でも、スクロールすると、さらにいろいろと……。


「ね、すごいでしょ!」

「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」


 みんなに「もっといいところがあるよ!」と、水路閣の奥、水が送られてくる水路にみんなを案内。

 そこは、うっそうとした森の小道で、小道の中央をレンガ造りの水路が走っていて、なんだか、ドイツかイギリスの油絵の中の景色みたい。

 スマホには、逢坂山を抜けた京都疎水の分水と出ていて、インクラインという。船を市内の水路の高さまで引き上げるごっついレールや、日本最古の発電所とかがある。すごく雰囲気なんだけど、許された行動半径を超えるので行かなかった。

「すごいよ、グッチ、来たことあるの!?」

 みんなに感心されたけど、さすがに「まあね(^_^;)」としか言えない。

 どうやら、このコースは、この時代では、あまり紹介はされてないみたいだ。あまり見栄を張って墓穴を掘らないようにしないと。

 

 
☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ      
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
 
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!59『マユはOFFでルリ子はうさばらし』

2024-11-12 13:25:03 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
59『マユはOFFでルリ子はうさばらし』 





――おめぇにゃ関係ねえだろ――
 
 木で鼻を括ったみてぇな応えが悪かったのかもしれねえ。

 利恵とは、これまで、いろんなことでぶつかってきた。

 校長先生のカツラ事件。片岡先生の恋物語。知井子の件じゃ、狙ったわけじゃねえけど、マユの方が一歩リードしたカタチになってるしなぁ。

 あいつ、一瞬だけムッとした顔になって、それからデフォルトのエンジェルスマイルに戻って、腕組みしやがったぞ。

 めんどくさいことになりそうだけど、ほっとく。

 天使と小悪魔。元々が違う。デーモン先生も関わり持つなって言ってたしな。

 あ、ここからは、しばらくナレーターにやらせっから。

 マユは、ちょっとOFFにすっぞ。

 

「さて、どこ行こうか……」



 ハチ公前でルリ子が呟く。

 学校でのウザかったあれこれを忘れるために、美紀を連れて渋谷にやってきた。

 渋谷Tデパートにルリ子の父が出資しているブティックがあるので、そこで私服に着替えられ、遅くなれば、そのままブティックの事務所で泊まることもある。父親は道玄坂にホテルも持っているので、そこで泊ればいいというのだが、いちどもそっちで泊ったことは無い。

 渋谷の交差点は大げさにいえば谷底で、どこへ向かっても上り坂になっている。その上り坂の起点であるハチ公前。そこが子どものころからルリ子の渋谷冒険の出発点なのだ。

 その出発点の青信号を二回パスして考えている。

「あんまり悩んでると、家出少女みたいだよぉ」

 美紀が、モテカワ系のナリで続けた。

「そうだね……」

 と、応えたもののルリ子は決めかねた。今日のあれこれはナミのことでは収まりそうもない。いっそ、アキバか池袋か、それとも原宿か考えていると斜め後ろから声をかけられた。

「ねえ、よかったらお茶でもどうよ」

 遊びなれた感じの二人組。ルリ子は視野の端に入れただけでシカトした。

「ヒマしてんだろぉ。だったら、お互いヒマそうなコンビ同士だからさ、いいと思わない」

「あんたたちの相手してるほどヒマじゃないの」

 美紀が、軽くイナシた。

「とりあえず、北」

 ルリ子が言った。

「グーーーーーーーーーーゼン、オレたちも北!」

 背の高いほうのニイチャン。

「きた……ないのあんたたち」

「「ハ……?」」

 デコボコがそろって声をあげた。

「汚いのあんたたち」

「そういうこと」

 二人そろって横顔で応える。

「んだと……!」

 背高ニイチャンがルリ子の肩に手をかけた。

 ええ……!?

 背高は一瞬で天地がひっくり返った。

「気をつけてね、ホコリがたつでしょ……」

 ルリ子は、こう見えても合気道初段の腕である。ちかごろ稽古はサボっていたが、きれいにきまったので、少し気分がよくなった。

 デコボコニイチャンがボコボコニイチャンになって、ルリ子と美紀の足は、駅の西北のバスケ通りに向かった。

 バスケ通りは、センター街の一部であるが、チーマー・ガングロ・家出少女などを連想させてイメージが悪いので、地元の商店会でつけた名前。べつにバスケットボールができるわけでもなく。ルリ子としては、あまり気の向くところではない。つまらないデコボコが声をかけてきたし、そいつらをノシた勢いで、とりあえず交差点を渡ったのだ。

 しかし、ここで思わぬものに出会ってしまった。

 マックの前で人だかり。人だかりは、そのまま北に進み、突き当たって西へ。井の頭通り手前の三叉路のところに、荷台がプチステージになったトラックが止まっていて。人だかりの中心から五人の女の子たちがステージに上がった。

「あ、オモクロだ!」

「なに、それ?」

 ルリ子はオモクロを知らない。

「オモシロクローバー。いま売り出し中のアイドルグループだよ」
 
 ステージの上でミニライブが始まった。名前の通り、コントを交えた面白系の歌と踊りで二十分ほど。

「オモシロクローバー、これからもよろしくお願いしま~す!」

 いつものルリ子なら、こんなアイドルともイロモノともつかないハンパなものは十秒とは見ていられないのだが、このときは、つい最後まで観てしまった。

 え、なんでだろ?

 これが、天使の利恵が仕組んだものだとは、気づかないルリ子だった…。
 


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!58『女子トイレの後始末』

2024-11-11 07:16:59 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
58『女子トイレの後始末』 




 利恵の相手をしてるうちにトイレットペーパーのことはすっかり忘れちまった。

 で、次の休み時間、女子トイレからあふれ出たトイレットペーパーが発見されて問題になっちまった(''◇'')。

 前の休み時間、ルリ子たちは慌てて飛び出してきたところを目撃されていやがって、先生に呼び出され質問されたんだ。

「おまえたちか、あんなにトイレットペーパーを散らかしたのは!?」

「いや、あれは……(;'∀')」

 美紀が説明しようとした……。
 
 トイレットペーパーを使おうとして、包装紙を剥いてホルダーにかけ、用を足すと高速でホルダーが回り始め、次から次へと新しいトイレットペーパーが吐き出され、あっと言う間に個室に一杯になっちまって、美紀は大量のトイレットペーパーごと個室から吐き出された!

 真実だけども、だれも信じてはくれなかったぜ。

 その光景を目の当たりにしたルリ子も説明はできねえ。

 マユがトイレットペーパーを投げ入れてから少し間があったし、だいいち、トイレットペーパーを示して、「マユ、それ……」と、言ったのはルリ子自身だからな。

 涙目になって説明をくりかえす美紀を制して、ルリ子が言った。

「わたしが、始末します」

 六時間目が始まっても、ルリ子は教室にもどってこなかった。

「あたしたちにも手伝わせて」

 そう言う美紀たち。

「さっさと、教室にもどんなさいよ。後始末は、あたし一人で十分だから」

 で、ルリ子一人トイレに残って、散らばったトイレットペーパーの後始末をやっていやがったんだ。

 マユは、美紀たちの思念から、そのいきさつを読み取っちまった。

 気持ちが落ち着かねえ。

 無意識とは言え、マユがやったことだ。ちょいワルとはいえ、ルリ子はリーダーとして責任を感じて一人で後始末……マユは、ルリ子を見なおして後悔したぞ。

 十分ほどしてルリ子がもどってきた。

 なにか行き違いがあったみてえで、六時間目の島田先生は、ルリ子が遅れてきた理由を知らねえ。

「どこ行ってたんだ、吉良!」

 島田先生は、頭ごなしにルリ子を叱った。

 普段から島田先生はルリ子たちをこころよく思っていねえ。頭ごなしは二分ほど続いた。

 マユは混乱して、やっと島田先生の怒りを収める魔法をかけようとした。

 するとルリ子は、ポケットから、生活指導の指導票を出して、島田先生も、やっと事情を飲み込んだ。

――しかし、もともとは自分の不始末じゃないか――

 島田先生が追い打ちをかけるのを、やっとマユは魔法で止めたぜ。

――マユ、あんた、なんか絡んでんの?――

 魔法に気づいた雅部利恵の思念が突き刺さってきやがった……。



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・141『朝礼とゼロックス』

2024-11-10 10:27:44 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
141『朝礼とゼロックス』   




 タタタタ パタパタパタ タタタタ…………

 
 一時間目の教科書やらノートを揃えていると廊下を走る音がする。

「時雨みたいですねぇ(^_^;)」

 いっしょに一時間目の用意をしているロコがうまいことを言う。

 時雨のいくつかはうちの教室にも入って来て、照れくさいような当惑したような顔をしながらも、席に着いたりロッカーの出し入れをやったり。

 わたしたちの『お願い』や教頭先生の『先生方へのお願いのプリント』の効き目があって、1/3くらいのクラスで朝礼をやるようになった。

 朝礼をやると、当然、同時に出席もとるわけで、遅れてくると遅刻を取られる。それがかなわないので、朝礼を始めたクラスの生徒は廊下を走るわけ。

「これで不満が出ないというのは、つくづくうちの生徒は羊だなあ」

 ガチャン

「加藤君、行儀悪い」「「アハハハ」」

 足でロッカーを閉めた10円男が佳奈子に叱られて、後ろのたみ子と真知子に笑われる。

「たしかにね、クラスによってバラバラだと不満が出るかもね」

「まあ、半歩前進。変化があるというのはいいことでしょ」

 キンコーン カンコーン……

 たみ子と真知子がまとめたところでチャイムが鳴る。

 パタパ パタパ パタパ パタパ……

 上履きの音だけでそれと知れる我らが担任がやってきて、きょうも一日が始まる。

「……よし、全員出席。ということで連絡なんだけど、明後日からの修学旅行、健康保険証の番号、必ず控えてきてね。ゼロックスしてもらえるといいんだけど、高いし、とれるところも少ないからね。番号写す時は、二三度確認。間違えたら、いざって時に保険効かなくなっちゃうからね。それから、明日は四時間目全体の説明会が体育館であって、午後は下校して旅行の準備。じゃ、今日も元気でねぇ」

 早口で説明すると、そそくさと出ていく花園先生、一時間目はよそのクラスで授業だから急いでいるんだ。で、先生の説明で分からないところを横の佳奈子に聞く。

「ねえ、ゼロックスってなに?」

「え?」

 女バレの名セッターは、審判がホイッスル吹いた時みたいに固まってしまう。

「あ、えと……複写のことよ。大きな文具屋とかでやってくれる。高いから、あんまり使ったこと無いけど」

「あ、ああ、そうだったそうだった(^_^;)」

 この時代、コピーの事をゼロックスって言うんだ。

 でも、なんでゼロックス? ガンダムのロボットみたい。

 で、ちょっと困った。

 この時代で使える健康保険証なんてうちの家には無いよ。

 休み時間にお祖母ちゃんに電話したら『ああ、それなら、メグリのカバンにコピー入れといたから。ちゃんと、昭和46年仕様だから、安心して提出しな』と返事。

 次の休み時間に提出しにいくと、メチャクチャきれいなゼロックスだと職員室で評判になってしまった(^_^;)。

 
☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ      
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
  
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!57『ムクれてないもん!』

2024-11-10 07:49:53 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
57『ムクれてないもん!』 





 キーンコーンカーンコーン……♪


 授業開始の予鈴がのどかに鳴って、お行儀のいい聖城学院の生徒は昼休みの中庭やキャフェテリアから、ゆっくりと教室に向かい始めたぞ。

 トイレットペーパーの山に埋もれたルリ子たちを残していくのは気がひけたけど、授業に遅れるわけにはいかねえ。魔法で片づけるのは簡単だけど、超常現象を起こすわけにもいかねえしな。ルリ子のグループが教室に戻って、トイレが空になるのを待って直すことにしたぜ。


 教室に入ると、微妙な変化を感じたぞ。


 一つは、午後だというのに日差しが心地よく、いつのまにか秋の気配が忍び寄ってきてること。

「クシュ!」

 豚草アレルギーの沙耶が品よくクシャミをしたことでも、秋の気配は確実だ。

 もう一つは、知井子とマユに注がれる好奇心……少しウラヤマシイ気持ちもそこには混じっていやがる。

 そうだ、今日の昼「笑ってイイトモ」にAKRが初めてテレビに出たんだった。

 むろん週末アイドルであることが売りだから、直接出演したのはリーダーの大石クララだけだったけどよ。レッスンのビデオが流れてる。当然浅野拓美に体を貸したマユも出てるし、選抜メンバーの知井子も映っているはずだ。

 昼休みにスマホで観たやつもいて、その真新しい記憶がマユの頭にも飛び込んできたっちゅうわけだ。

 知井子観てたやつが多いなぁ……ウラヤマ好奇心が、あちこちから湧いてきてやがる。

 みんなお行儀がいいから、直接見たり、こそこそ話すやつはいねえけど、意識はしてやがる。

 おやあ?

 その中で、一番強いウラヤマ好奇心を持ってやがったのは……オチコボレ天使の雅部利恵だ。視線を感じて視界の端でとらえると、慌てて首を黒板に戻しやがる。

――アイドルになってしまうなんて……魔法使ったでしょ!?――

――んなことねえよ。知井子は自分の力でアイドルになったんだぞ。それも不可抗力だしな――

――ウソよ! だったらなんで、あんたまでいっしょになってアイドルやってんのよ――

――落第天使には分からねえ事情があんだよ――

――落第は余計でしょうが!――

――ああ、悪りぃ。マユも落第だから、親近感からだよ、親近感――

――小悪魔の親近感なんかいらないわよ!――

――なんだ、ムクレんなよ――

――ムクれてないもん!――

――ムクれてる――

――ムクれてない!――

――ムクれてる!――

 本鈴が鳴って授業が始まってもこんな調子だった。

 まあ、かってにヘソ曲げてりゃいい。

 マユはその程度に思っていたけど、利恵の対抗心は収まらなかったぜ。先生が赤いチョークで、板書にアンダーラインを勢いよくひくと、マッチをすったように火が点いてしまった。

 ボ!

「せ、先生の情熱ってスゴイっすね(^_^;)!」

 すかさず、マユは賞賛してごまかした。化学の内田先生だったので、なんとかごまかせた。

「ど、どうだ、これが化学の力だ!」

 マッチチョークもすぐに消えたんで、内田先生を得意にさせて事なきを得た。

――あんまし熱くなんなよ――

 注意したけど、利恵はなんにも応えねえ。バリアーを張って、なにか対抗手段を考えていやがる。

――おい、なに考えてんだよ?――

――フン!――

 それっきり利恵はバリアーを開かなくなっちまった。

 やれやれ……。


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
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  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
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  • デーモン     マユの先生
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  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
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  • 大石 クララ   オーディションの受験生
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  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  
 


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銀河太平記・257『エマージェンシーっす!!』

2024-11-09 13:57:17 | 小説4
・257

『エマージェンシーっす!!』 ツナカン 




 ガピーーーン!!


 もし、モニターに擬音を付ける機能があったら、そういう音!

 そんな感じでココちゃんの1号艇はブイに引っかかって、二時の方角に飛んで行ってしまったっす!

「エマージェンシー! ただちに救命艇を出せ!」

 艦長が鬼のように叫ぶっす!

 その救命艇が始動する前に、すぐ後ろを走っていた2号艇が牽引ビームを撃って接弦したっす。

『シゲです、ココちゃんは2号艇に収容して先に帰します。怪我の具合はわかりませんが、意識がありません。自分は1号艇に乗って戻りますので、2号艇の収容を最優先でお願いします』

 落ち着いた声で伝えてくるシゲさん、いや茂仁殿下っす!

「ココちゃんのバイタル出せ!」

「出しました!」

 ツナカンがモニターに出したバイタルは、血圧が少し低い以外はノーマルっす!

「ボートはオートで帰って来る、収容準備! 医務長、至急中央医務室へ! 医療班待機! それから……ん? だれだ、ひとりで飛び出した奴は!?」

 モニターにランドセル(パーソナルロケット)を背負って2号艇を迎えに行く……サンパチ殿が見えたっす!

「さすがサムライ、黙っていても行動が早いぜ!」

「男は黙ってレスキュー一番ってか!」

「カッケー!」

「オレタチもいくぞ!」

「あたしも!」

「おれも!」

「「「「オオ!」」」」

「勝手に動くな! 受け入れ準備急げえ!」

「左舷二番ゲートの方が一分早く収容できます!」

「救急室も左舷二番が早いです!」

「よし、二番で応急措置! できしだい中央医療室に移送! 取り舵フタジュウ、二番ゲートを2号艇に正対させろ!」

「艦長!」

「なんだ!?」

「1号艇、亜光速で三時方向に飛んで行きます!」

 ええ( ゚Д゚)!?

 ブリッジのみんながビックリしたっす!

 ココちゃんの2号艇ばかりに注意がいって、シゲさんが乗り込んだ1号艇には注意が行ってなかったっす!

「1号艇、光速を超えて突き進んでいきます! 地球の軌道方向です!」

「2号艇の収容急げ! 収容でき次第1号艇を追うぞ! なんで、内火艇が光速なんだ……」

 ヤバイ……自分らが、勝手にチューンしたのが裏目に出たっす。

 ただただ、ココちゃんに一等賞取らせてあげたいって気持ちからだったっすけど、裏目に出まくってしまったっす!

「1号艇進行方向に漢明の輸送艦隊!」

「まずい、急げ!」

「2号艇の収容が済んでいません」

「急げえ!」

「収容まで5分」

「もっと早く!!」

 ああ、船長キレかけ……(-_-;)

「サンパチ殿が取りついて後ろから押してます! 1分縮まります!」

「でかしたサンパチ!」

「しかし、間に合いません!」

「グヌヌヌヌヌ!」

「1号艇から通信『2号艇の収容を優先されたし』です」

「…………………」

 ブリッジに船長の無言の怒気が満ちて、乗員は、ただただ船長の直近の指示とエマージェンシーアクトに従って行動したっす。

 結果、ココちゃんは無事に収容。手当てが早かったので、あくる日には元気になったっす。

 ただ、1号艇は通りかかった漢明船に収容されて、シゲさんを取り返しには行けなかったっす。



 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 重要事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟

 

 
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!56『あっちのバグとこっちの女子トイレ』

2024-11-09 09:15:13 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
56『あっちのバグとこっちの女子トイレ』 




 さあ、あそこから飛び立とうと、森の出口を出たところでマユは一人になっちまったぞ。

 あれ?

 振り返ると、ドロシーたちは出口までほんのちょっとというところでフリーズしてやがる。

「お、おい、みんな!」

 マユが声をかけても、だれも反応しねえ。

 やべえ、また時間を停めちまったか……?

 いや、ここで時間停める理由ねえし、停めた自覚もねえぞ。

 以前、片岡先生を助けてやろうと無意識に時間を止めちまったことがあるけど、デーモン先生にこっぴどく叱られて、もう時間を停めるなんて簡単にはできねえはずなんだぞ。

「おい……」

 かかしもブリキマンも駆け足のまま停まってやがる。ライオンは太陽がまぶしくてくしゃみをする寸前、ドロシーも、スキップして、ちょうど両足が地面から離れたところで停まってやがる。ドッキリかなんかで停まってるふりしてるわけじゃねえ。


――バグか……?――


 そう思ったとき、目の前にレミの上半身が浮かんだぞ。

『ごめん、ちょっと緊急事態なの』

 レミは、眉をひそめて上半身だけで、こっちに寄って来やがった。

「ここにきてから、十分すぎるぐらい緊急事態なんだけど」

『このまま話を進めるのは問題が大きすぎるの。たとえて言うと、サーバーの処理能力を超えてしまったみたいな』

「どういう意味……ちょっと暑くなってきたぞ?」

『……ちょっと、いろんな問題がいっぺんに開きすぎちゃって』

「マユのせいじゃねえぞ」

『分かってる、マユの耐性が大きいものだから、それに甘えて、いろんな問題がいっぺんに開いちゃったみたいで』

「やべえ……ブロックノイズが入ってきたぞ……」

『ああ、もうだめ……ごめん、強制終了するわねええ(>▢<)!!』


 レミが叫んだかと思うと、あっという間に空も森も草原も……消えて……女子トイレの便座にマユは座っているぜ。


 トイレのドアが開いて何人か女子が入ってきた気配がした。


「なんだ、開くんじゃない。美紀、使えるよ!」

 ルリ子が叫んだ。

「よかったあ、二階のトイレじゃ間に合わないとこ……ううう……漏れそう!」

 美紀は一番手前の個室に入って、ルリ子は、洗面台の鏡を見ながら髪をとかした。すると、鏡に写っていた一番向こうの個室が一瞬揺らめいたように見えた。

「え……?」

 ルリ子が不思議に思うと同時に水の流れる音がして、個室から出るとルリ子と目が合っちまった。

「あ、マユ……」

「なに……?」

「え……!?」

 鏡に映った個室がグラっとしたようにルリ子は感じ、振り返って個室を順にながめやがる。

「さっきまで、個室が六つあったような気がしたんだけど……」

「なに言ってんだ、女子トイレの個室は、どこでも五つだろ」

 洗面台で手を洗いながら答えた。平然と答えたつもりだけど、ルリ子は、まだ不審げにマユを見てやがる。

「いま気がついたんだけど、トイレでマユといっしょになったの……初めてだよね」

 一瞬ドキっとしたぞ。

 小悪魔はトイレになんか行かねえんだ。

 美紀はチョイ悪グループだけど、だてにリーダーをやっていない。勘は鋭いみてだ。

「そうか、たまたまだろ……」

「ねえ、ちょっと!」

 一番手前の個室から美紀の叫び声がして、トイレのみんながビックリしたぞ!

「紙がないのよ、トイレットペーパー!」

「ドジ子だね、美紀は……」

 トイレットペーパーは、マユの洗面台の近くにあった。

「マユ、それ……」

「うん……いくよ。キャッチしろよ」

 そう言って一巻きのトイレットペーパーを美紀の個室に投げ入れてやった……ちょっと力が入りすぎたような気がした。

「サンキュー♪」

 という声がした。

「どういたしましてぇ」

 お気楽にトイレを出た。

 その直後……。

「ギャー!!」

「ウワー!!」

 美紀とルリ子たちの悲鳴がした。振りかえると、個室から美紀が軽トラ一杯分ぐらいのトイレットペーパといっしょに吐き出されてくるところだったぜ。
 
 マユは、フェアリーテールの世界の影響か、自分のミスか判断がつきかねたぞ……。


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  

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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・140『先生方へのお願いのプリント』

2024-11-08 11:17:37 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
140『先生方へのお願いのプリント』   




 それでも教頭先生は小さな手を打ってくれた。

『先生方へのお願い』と題したB5の小さなプリント。

――一時間目の授業に行かれた先生は出席簿をもとに呼名点呼をしていただけると助かります。呼名点呼で心身に不安を感得できる生徒がおりましたら、授業終了後担任または当該分掌長までお知らせください――

 という穏やかな内容。

 あのあと教室に戻って真知子たちと話して、MITAKAで話してくれた6組の小野さんに「6組だけでもやったらどうでしょう」と担任の田辺先生に提案してもらったんだ。

「俺たちも着いて行こうか」

 10円男とかが言ったけど、徒党を組んでると思われると逆効果(先生たちも学園紛争にはヘキエキしてたしね)なので、あえて小野さん一人に行ってもらった。

「それはいい考えだね」

 田辺先生は共鳴してくれて6組が始めることになって、うちの花園先生も加わってくれたんだけど、いつも始業時間ギリギリに出勤してる先生は気持ちがあってもなかなか実行できないみたい(^_^;)

 それで、教頭先生が『先生方へのお願い』という緩いプリントを配ったというわけ。


「なんだ、まだ来てないのかぁ」


 一時間目、教室を覗いて声をかけてきたのはグラマーの妹尾先生。

 一時間目は原告の杉野先生なんだけど、例によって顔を出さない。予備校でバイトしてて、それで朝は来れない。で校長先生からも注意されたって、これも噂だけどね。

「じゃあ、僕が出席をとろう、出席簿は……」

 出席簿は日直が取りに行くか一時間目の先生が持ってくるかだけど、二年になってからは先生が持ってくることが多い。

「無いか、じゃあ……そうか、3組は座席表があるんだった」

 座席表を見ながら取り始めた。

「井上……辻本……」

 と出席簿を見ながら出席をチェック「ああ、ここはMITAKAのメンバーが多いんだ」と途中で脱線する。

「学園紛争はろくでもなかったけど、ああいう自主的な仲間というか集まりはいいもんだね。僕らが旧制高校にいたころと同じ気風を感じるよ、加藤」

「は(''◇'')!?」

 いきなり呼ばれてオタつく10円男。

「君も、以前とはちがっていい目をするようになったな」

「は、は……」

 あんまりいじらないでやってほしい……と思ったら次の点呼に移る。

 そのあとも、メンバーのところにくると、いろいろ脱線。とうとう一時間かけて出席点呼して帰って行った。

 最後にひとこと呟いた「杉野もいいかげんにしなくちゃな……」というのが不気味だった(^_^;)

 
 
☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ      
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!55『ドロシー・ニッシー・マユシーでサンシ―だ!』

2024-11-08 08:29:04 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
55『ドロシー・ニッシー・マユシーでサンシ―だ!』 




――こんなものが、あちこちにあるようじゃねえ――

――こんなもの、だれが仕掛けたのかしら?――

 ドロシーは不安げに周りを見渡した。マユは透視魔法で探ってみたぞ。

――まだ、この家の中に五つはあるぞ――

――いいえ、十五個よ――

――分かってて、ほうっとくんですか!――

――うん、だれが仕掛けたかということも含めてね――

 ニッシーは、それ以上は答えてはくれねえ。思念のやり取りも長引けば無言になっちまって怪しまれる。それに、ドロシーは正直にプンプン丸の顔に成っちまってやがるしな。

「フフ、ドロシーっておいしいお茶を飲むと真面目な顔になるんだ」

「え?」

「ああ、もう可愛いなあ!」

「あ、ちょ、やめてくらふぁいよ~(^~^;)」

 ドロシーの頬っぺたを手で挟んでモミモミするするニッシー。誤魔化すのもなかなかの魔女だぜ。

「ねえ、いいこと思いついた!」

「え?」「なんでふかぁ?」

「今日の記念に、この三人をサンシ―って呼ぼう!」

「「サンシ―?」」

「うん。わたしがニッシー、マユがマユシー、そしてドロシーで3シーだろ(*^^)v!?」

「「ああ、なるほどぉ(^▽^)!」」

「そうだ、エイ!」

 ニッシーが指を振ると、ティーカップに添えられたスプーンが一瞬でバッジになったぞ。

「まあ、かわいい。ハートが三つくっ付いてる!」

「じゃ、がんばって、ホウキを完成させるか!」


 庭の草むしりと薪割りが終わったライオンたちが戻ってくると、西の魔女は、あっというまに仕上げて、ホウキをくれた。ライオンたちがランチを食べている間に、今度は薬を調合してやがる。

「困ったときに、お飲みなさい」

 ニッシーは、そう言って二つの薬をくれたぞ。

「どういう時に使うんですか?」

 ドロシーは、不思議そうに二つのポーションを見つめてる。

 ……マユもニッシーも思わず見とれちまう。

 ほんとにムダに可愛い奴だぜ!

「困ったときよ」

 西の魔女は、ニヤリと笑って答えに換えやがった。


「じゃ、お世話になりました」


 ドロシーは、そう言うとホウキを肩にかついでお礼を言った。



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!54『西の魔女と女子会』

2024-11-07 15:46:56 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
54『西の魔女と女子会』 




 ヒエーーーーー(((;゚Д゚)))(((,,ºΔº,,*)))(((;゚;Д;゚;))) !!!


 ライオンは驚いて木の陰に隠れ、ブリキマンとかかしは抱き合ってガシャガシャワシャワシャ震えやがる。

 でも、ドロシーとマユはちっとも怖くなかったぞ。

 西の魔女は褐色の瞳で顔の彫りも深くて一見おっかない魔女だけど、表情は穏やかで人のいいおばさんて感じだ。

 まあ、悪魔とおんなじで、最初は身についたデフォルトの表情になっちまうんだろうな。
 それを分かってか、トトなんかちぎれんばかりにシッポを振って魔女のところに行きやがった。

「まあ、かわいいワンちゃんね、お名前は?」

「あ、トトって言います」

「ワン、ワン、ワン(''◇'')」

 トトは犬らしく魔女に甘えやがる。トトの正体はまだよくわかんねえけど、ひょっとしたらいちばんのくわせものかもしれねえ。

「そちらは、かかしさんとブリキマンさん。木の陰にいるのは……ライオンさんね。シッポが見えてるわよ……あなたは……」

「ドロシーっていいます。カンザスに帰るために……」

「分かってるわ。で……もう一人のあなたは…………女子高生みたいななりだけど……」

「小悪魔のマユだ。エルフの王女のレミに頼まれて、この世界にきたんだ」

「まあ、あなたね。こないだからこの世界を面白くしている人は(^○^)」

「アハハ(^_^;)」

「みんな、よく来てくれたわ。とりあえず楽しくランチにしましょう!」

「あ、わたしたち、さっき食事を済ませてきたところなんです」

「フフ、食べたのはドロシーだけでしょ」

「あ、そうだった。でも、どうして分かるんですか?」

「一応、西の魔女ですからね。それに、わたしのランチは、お腹が空いている人だけじゃなく、心が空いている人にも効きめががあるのよぉ。じゃあ、あなたたちもお願いねぇ」

「「「「「「「「「「「「ハーーイ、喜んで(^▽^)!」」」」」」」」」」」

 いつのまにかミナカタたちもメイド服に着替えてマユたちの後ろに集まっていて、ワチャワチャと賑やかにランチの用意にかかったぜ!

 西の魔女の指示に従って、庭のレタスやキンレンカを採りにいったり、パンを切ったり、バターを塗ったり、パスタをゆでたり、ケーキを焼いたり、みんなよく働きやがる(*^^)。あ、マユだってお皿を並べたりしたんだぞ(''◇'')。

 そして、あっと言う間にランチを作って、西の魔女の「いただきまーす(^〇^)/」の音頭でガッツく、いや、食べる。ほんとうに心がホワホワしてきたぜ。

「こんなに心がユッタリしたのは久々です。お礼に、なにかやらせてください」

 かかしが提案しやがる。このソツの無さ、元はどこかの営業マンかぁ?

「そうね……わたし、ここに来て間がないから、庭の手入れが出来てないの、薪割りとかもあるから、やってもらおうかしら」

 西の魔女のお願いで、ライオン、かかし、ブリキマンは広い庭に行ってミナカタたちと仕事にかかった。

「トトも、お庭で遊んできたら?」

 トトは、キョトンとした顔になった。

「あのねぇ、トトくん、わたしは、この子達と女子会がしたいの」

「ワン、ワン(''◇'')」

「だめだめ、あなたがオスで人間の言葉が喋れるぐらいのことは分かってるわよ」

「ちぇ、しかたねえなあ」

 そう言うと、スコップをかついで外股の二本足で庭に行きやがった。


 それから三人の女子会になった。


「……というわけで、ドロシー、あなたが最初のお客さん。まさか小悪魔さんがいっしょだとは思わなかったけど」

「アハハ、落第生だかけどな。でもよ、なんでおばさんはこんなとこにいるんだ?」

「西の魔女って、お城にいるものじゃないんですか?」

「冷え性なのよ」

「「冷え性?」」

「うん、石のお城って寒いでしょ。それに、へんぴなとこにあるし、いろいろ不便でね。まあ、ここも人里からは離れてるんだけど、時どきは、こうやって訪ねてきてくれる人もいるしぃ」

「失礼ですけど、西の魔女さんて、寂しがりやさんなんですか?」

「ええ、そうよ」

 ポン

 かわいい音がして、西の魔女の頭にウサギの耳が生えたぞ。

「あ、ウサ耳!」

「おお、西の魔女はケモミミ族だったのか!」

「そうよ、お父さんはウサギ族でお母さんはハムスター族」

「あ、両方とも『さみしいと死んでしまう動物』です!」

「あ、なんかラベルが付いてんぞ」

「あ……」

「わたし、取ります!」

 西の魔女は、ちょうどティーカップを持ったままだったので、ドロシーが手を伸ばして取ってやったぞ。

「ん、ドン・キホーテ エメラルドの都店?」

「アハハハ、ハローウィンの時にミナカタに買ってきてもらったんだ(^_^;)」

「アハ、西の魔女さんてお茶目なんですね(^▽^)」

「あ、わたしのことはニッシーでいいわよ。いちいち西の魔女って微妙に長いでしょ」

「「ニッシー?」」

「うん、西の魔女だからニシ、親しみを籠めてニッシー」

「ニッシー、くだけてていいなぁ」

「でしょ」

「ドロシーも言ってみ」

「あ、えと……わたしはニシさんと呼ばせていただきます」

「カテエなあ」

「いいわよ、それでも。そうだ、お近づきのしるしにホウキを作ってあげよう!」

「え、魔法のホウキですか?」

「そうよ、すぐには使いこなせないだろうけど、持ってりゃきっと役に立つから」

「え、あ、ありがとうございます!」
 
「でも、少しお話してから。むろん、あなたたちが急ぐんなら、今すぐに持っていってもいいわよ。あんなもの半日もあれば作れるから」


 それからはニッシーがホウキを作るのを見ながらお喋りが続いたぞ。


 マユは魔界でのことや、人間界で修行させられている苦労や、このファンタジーの世界に来てからも、なかなか思い通りにならないことなどをグチった。

 ドロシーは、早くカンザスに帰りたいことや、いかにカンザスでの生活が楽しかったかを話した。

 西の魔女は、ハーブティーを飲み干すと、手を休めてこう言った。

「マユのお話は、無意識の誇張や思いこみがあっておもしろい。まさに修行中の小悪魔さんね」

「ええぇ、マユはなぁ……」

「ほら、マユが、この世界に来てやったことが出てるわよ」

 ニッシーは、パソコンを操作して、モニターに今までの記録を出した。

「ああ、やめてぇ(>▭<)!」

「白雪姫も赤ずきんも、サンチャゴのライオンのこともグチャグチャね」

「アハハ」

「笑うな!」

 思わず、ドロシーを張り倒そうとしたけど、意外な敏捷さでかわされちまった。

「熱くならないの。世の中には『一石を投じる』ってこともあるのよ。マユがやったことの結果は、まだまだ先にならないと分からないわ」

「でもなあ、ニッシー……」
 
「こう言っとくわ『買わない宝くじは絶対当たらない』って」

「アハハ、マユのやったことって、宝くじ並みの確率しかないんですかぁ」

「ドロシー!」

 今度は、手を上げる前にかわされた。

「ドロシー、あなたの方が深刻だと思うわよ」

「え……?」

「隙あり!」

「エ、キャ!」

 すかさず、マユの左パンチが……これは避けきれずに、ドロシーはギンガムチェックのスカートをひるがえして、ひっくり返りやがった。

「アイテー……なんでですか。わたしはホウキをもらって、オズの魔法使いに渡したら、ミッションコンプリート。めでたくカンザスに帰れるんじゃないんですか?」

「ドロシーの意識の底には、もっと厄介なものが潜んでいるわ。それはマユがやったことよりもすごい影響を自分にも、このオズの世界にももたらすようなこと……」

「わたしが、そんなことを……」

「そう、でも、これ以上は言えないわ……ほら、こんなとこにも……」

 ニッシーは、床に落ちていたドングリを拾い上げると、テーブルの上に乗せ、ナイフで一刀両断にした。

 ドングリの中味は、こまかい電子部品で一杯……それは高性能盗聴器だった!

――こんなものが、あちこちにあるようじゃねえ……――

 最後の一言は思念で伝えてきやがったぜ。


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
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  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
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  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・139『校長室の前で能力を使う』

2024-11-06 11:47:07 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
139『校長室の前で能力を使う』   




 二時間目が終わると階段を下りて、今日二度目、校長室の前を通る。


『……まだ予断を許しません、発表は控えておきましょう』

『そうだなぁ、元々お通夜も葬儀も断っておられたからなあ』

 ビンゴ、例の件だ!

 校長室は事務室の隣なので、掲示板を見るふりをして盗み聞き。

 魔法少女の能力で、壁一枚向こうの会話なんて楽勝で聞ける。神経を集中したら中の様子を見ることだってできる。あんまり品のいいスキルじゃないからめったに使わないけど、今回は特別だ。

 教頭先生と校長先生が佐伯さんの件で話をしてる。

 御神楽さんが裏技とか奥の手を使って、黄泉の国に足を踏み入れる寸前の佐伯さんを引き戻したのが一昨日。ご両親からは、その日のうちに「葬儀はやらないことになりました」と連絡があったみたい。

 生き返りはしたけど、まだ医学的には大丈夫とは言えないので、そういう言い回しになったんだ。

『しかし、長時間心臓も脳波も停まっていたんだ、元通りになるかどうか……おそらくは植物人間なんだろうねえ』

『いや、戦地ではこういう状態で生還する例がありましたよ、校長』

『そうか、僕は内地で終戦だったからなあ……あ、それと、生徒会から申し入れのあった件だけど』

『それは、やっぱり運営委員会を経て職員会議にかけませんと』

『とりあえず、暫定的にやってみるというのは、ダメかな?』

『なし崩しの管理強化ととられますよ、うちは組合が強いですから』

『そうか、まっとうな提案だと思うんだけどねえ……』

 学校というのはまどろっこしいなあ……と思うと、壁を通して教頭先生が予定表の黒板に向かっているのが見えてきた。

『同感です……ええと、今月は、ああ、修学旅行がありますから、月末になりますねえ』

 あ、そうだ、文化祭やら佐伯さんのことやらですっとんでたけど、修学旅行があったんだ!

 二つ同時にものを考えるのは苦手だけど、これは、両方ともゆるがせにはできないよ。

 ええと……でも、とりあえずは佐伯さんのことだ。

 いや、神さまでも魔導士でもないから治癒魔法なんか使えないけど、例の朝礼と終礼、放っておくと12月まで放っておかれるよ。

 よし!

 拳を握ると、わたしは一段飛ばしで階段を上がって教室に向かった。

 
 
☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ      
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  

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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!53『WEST48に案内されて』

2024-11-06 08:21:58 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
53『WEST48に案内されて』 




 
 言うまでもなく行き先は「西の魔女」の城だ。


 五人でイバラの森にさしかかったとき、西の空から一クラス分ほどの空飛ぶ猿たちが飛んでくるのが見えた!

「来たあ、最初の関門だ。みんなドロシーがさらわれないように気をつけて! ペコン! ポコン!」

 かかしが言うと、ブリキマン、ライオン、それにトトはドロシーを真ん中にして、フォーメーションを組みやがったぞ!

 ……といえば、頼もしいドロシー親衛隊ができたように思えるが、みんな足が震えてやがる。

 ガシャガシャ ワシャシャ フワフワ

 ブリキマンはガシャガシャと町工場の機械みてえな音、かかしはわら布団をもみくちゃにするような音、ライオンは空気みたいな音をさせやがる。

 賑やかなんだけど、めちゃくちゃ頼りねえ!

「マユ、あなたの魔法でなんとかならないの……」

 ドロシーは、トトを抱き上げるとかわいいヘタレ眉になって注文を付けやがる。

「ちょ……あの猿たち、なんだか様子が変だぞ」

 マユが呟くと、猿たちは行儀良くマユたちの前に下りて整列しやがった!

 バシ! 

 ヒ(((( ゚Д゚))))

 勢いのいい音がして、一瞬ビビったけど、二列目の猿たちが横断幕を広げる音だったぜ。

 熱烈歓迎!ドロシー御一行様!!

 もみもみもみ……

 センターの猿がもみ手しながら出てきやがった。

「これはこれは、ようこそいらっしゃいましたぁ。わたしたちは西の魔女の先触れとしてご挨拶にうかがいましたWEST48で、ございま~す。まずは歓迎の歌と踊りを!」

 そういうと、選抜メンバーらしい16匹が前に出て、クルンと一回転するとAKBみてえな女子ユニットになって「ああ、言いたかった!」を歌い踊り始めやがった。

 ♪やっと気づいた 本当の気持ち! 正直に言うんだ! たった一つキミだけが好きだよ……♪

 マユもドロシーたちもガックン……ときたぜ。

 16匹……16人のパフォーマンスに気を取られているうちに、猿たちは、みんなAKB風の女の子に変わっちまってた。マユは一瞬AKRのみんなが懐かしくなったぜ。

「あの……なんだか様子がちがうってか、勘狂っちゃうんだけど。西の魔女って、わたしたちの……カタキなんだけど」
 
 ドロシーがそう言うと、センターにいたポニーテールに大きなリボンのやつが前に出てきやがった。

「前任の西の魔女は定年で辞めました。オズの魔法使いは、次の西の魔女を公募したんです。で、書類選考で残った5人を、オズの住人で総選挙をやって、今の西の魔女が選ばれたんです。おかげで、わたしたちも猿の姿から本来の姿にもどることを許されたんです。さあ、西の魔女がお待ちかねです。わたしたちがご案内します。どうぞついてきてください。ちなみに、わたしはリーダーのナミカタです。よろしくお願いします!」

「「「「「「「「よろしくお願いしまーす(^▽^)!!」」」」」」」

「あ、でも、わたしたち空は飛べないわ」

 ドロシーがナミカタに言うと、すっかり立ち直ったライオンが手を挙げた。

「ボクは、ハングライダーで飛べるし、マユのストローハットは飛行機になるから大丈夫だお("^▢^")/」

 うんうん(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)♪

 ライオンがフォローしてマユ以外全員がうなづきやがる。

「ああ、飛んできたのは演出です。今の西の魔女は、もうイバラの森のお城にはいません。今はこっちの方です! さあ、参りましょう!」

 ナミカタたちはマユたちを挟むようにしてにぎやかに歩き出しやがった。

 イバラの森の彼方に先代西の魔女のオドロオドロの城が見えた。そっちに向かう道は封鎖されていて、一行は左手に延びる小道に入ったぞ。
 軽自動車がなんとか入れるぐらいの小道だ。楓(かえで)の木が、両側から枝を伸ばしてトンネルのようになっていやがる。

 そのトンネルを抜けて「へ」の字に曲がった道を曲がって緑に囲まれた遺跡みてえな門柱を通ったぞ。

 おお……

 すると、意外に開けた庭に出た。

 庭の真ん中には大きな木がゆったりと立っていて、その周りを囲むように草花や庭木がきれいに並んでやがる。


「あれが、西の魔女のお家です」


 ナミカタが指差した方向には、質素だけど清潔に手入れの行き届いた二階家があったぞ。

「いい感じだなあ……あ?」

 振り返ると、WEST48のみんなは居なくなっていた。

「え……?」

 みんなも、そう思って、もう一度振り返ると、二階家のポーチのところに魔女が立っていやがる。

 褐色の大きな瞳に、半分白くなりかけたブルネットの髪をドラゴンテールにしやがって、いかにも引退した大物魔女の風格だぜ。

 その西の魔女が、アマゾンのトレードマークみてえにニヤリと笑いやがった。


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • 西の魔女
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  


コメント
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