つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

さてこれから

2025年02月03日 | 福井良之助展
立春とは名ばかりで、何だか季節が逆戻りしているかのようなお寒さです。

春や秋の展覧会とは違いますので、今回の展覧会には決して沢山の方々にお越しいただけないだろうと思っていましたが
それでも福井のお好きな方、また絵のお好きな方達がお立ち寄りくださり心温く過ごさせていただいています。

ただ福井は玄人好みというか、その核心を幾重にも重ねる筆の中に埋め込んでいく画家のように感じますので、この作品たちと出逢って2週間後のこれからが本当の私の「まなび」の時間だと、そう考えています。

実際、展覧会を始めさせていただいて、ご来店のみなさまとご一緒に作品を観させていただきながら、あの孔版画や静物や人物画と雪景色との温度差にこの一週間とても驚かされ、「なんだろう?まだまだ見えていないのか・・」と思うようになりました。

そういった意味で、昨日は少し作品の位置を変え明日からの展覧会後半で作品の見直しをしてみよう思っています。







後日またご紹介いたしますが、人物画にお約束をいただきましたので、以前から気になっていた「シャボン玉」を思い切ってお床に飾ってみました。




すると、しゃぼんだまを膨らませている少年ではなくて、しゃぼんだまがふくらんでいくあの時間の流れがみえてきます。

風船の下の方にシャボン玉液がたまって、くるくる動くかんじ。

それをじっと眺めながら、息をストローにおくりつづけるときの陶酔感。

その陶酔感は、少年の表情というより、ストローをもつ彼の左手の美しさに強く感じるのは私だけでしょうか。

画面上のピンクがどんどんみえてきて、少年のうしろの小さな水色がお花のように見えてきてどんどん楽しくなります。






福井のブルーが好きだと先日も書かせていただきました。
「青い音」という作品と、もうひとつ、この「冬」という作品を弥栄さんがお持ちの作品の画像の中から見つけたとき、実際に見てみたいと思いました。




最初に、通路のキャビネットの上に飾らせていただいて満足はしていたのですが、どうもピンとこないなぁと思いました。


私の撮影がまずいのですが、それでも。。
応接室に飾らせていただいてみると塔の上の十字架がひっそりと見え、その上の空が明るいということに気づきました。








私は佐橋の、まして弥栄さんの何千分?いや何十万分の一も恐らく作品の数をみていません。
ですから、一見で作品の良さを見抜く力にかなり欠けていると思います。

けれど、お通いくださるお客様方と同じように、同じ絵をどんな画商さんよりも長く見させていただいているように感じるのです。
皮肉にも一人でいる時間が長ければ長いほど、苦しいと思えることが多ければ多いほど、その時にはわからなくてもそのあとから、作品がどんどん本当の姿を見せてくれるように思っています。

そういう意味でも、弥栄コレクションは奥行きの深い、追い求めるにふさわしい作品たちばかりだと実感いたします。

一週間前のぎっくり腰も、まだ少し残る痛みもいまの私には、この仕事をつづけるということへの試金石かなと感じています。


とりあえず今日一日、明日からどのように福井作品が見えるかを楽しみに過ごしたいと存じます。

みなさまどうぞお寒さにお気をつけてお過ごしください。









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2025年02月01日 | 福井良之助展
画像はご覧いただいていても、まだご紹介をさせていただいていない作品が幾つかあるようです。




描かれているのは栗です。

金箔の扇面に、日本画、洋画の色々な画家が様々なモチーフを描く!といった企画を以前はよくデパートなどで催されたとお聞きしています。

扇面ですと、余白に限りがあるので描かれる作品の内容が弱くなるという事も
あると思うのですが、この作品はその扇面を生かし切って普段の福井のイメージより強く、明るく感じられます。

額の扇面の外は緞子。つまり贅沢にも光沢のある絹織物が貼り込まれ、その貼り込みの技術の高さも弥栄さんに教えていただくことができました。

画面に1972年と画家が記していますが、53年の経過を感じさせない作品内容、額装の状態で、お値打ちな作品だと思っています。


静物の最後のご紹介作品は10号のくわいです。
先日ご紹介いたしました作品より大きいサイズ、やはり青慈姑が描かれていて
サイズが大きい分、福井の地づくり?余白?背景を存分にお楽しみいただける作品です。

キャンバスむき出しの古い額ですが、妙に作品にあっていて素敵です。


まだ通路の雪景色をご紹介しきれていないかもしれませんが、新しい記事を書かせていただく機会に補足的にご紹介させていただきたいと思っています。

佐橋も私も皆様ご存知の通り、福井の作品は好きでずっと扱わせていただいてきましたが、弥栄さんもお若い時は「福井が一番好きだった。福井と薫とね。」と教えてくださったのが少し意外でした。そういえば、「あぁ、この作品が目の前からなくなると思うと寂しい」と初めて口にされたのがこの福井展の何点かの作品でした。

前をお通りになる方数人といつものお客様のどなたかが毎日お顔をお見せくださり光栄に存じます。ぎっくり腰で騒いでいる間に早くも一週間が過ぎ、一応の展覧会期日の半分が過ぎました。とりあえず明日の日曜日も営業させていただきます。よろしければお立ち寄りください。



「栗」 扇面 ◇
「くわい」10M ☆






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お納めのあとに

2025年01月31日 | 福井良之助展
年末にお納めした清方の「奴凧」を早速ご自宅にお飾りくださり、先週末その画像をお見せくださいましたので、私からお願いをしてこのブログにも掲載させていただくことに致しました。

佐橋がおりますときに一度ご来店くださり、この作品がとても良いとおっしゃってくださった素敵な女性のお客様。この作品の事をずっと覚えていてくださり、年末に「まだあの作品はお持ちですか?」とおっしゃってくださった時には、とても嬉しく感激致しました。そしてお客様もまた佐橋の不在に驚いてくださいました。


お若い方にこの作品の余白の清らかさ、「粋」をお感じいただけましたことは、日本画の好きな私には何よりの出来事でした。結局その作品のことをいとおしく、長く思ってくださっている方のお傍に自然と作品は嫁いでいくのだと、今回もしみじみと実感致しました。



ご家族でいらっしゃる黒猫さんも、新しい仲間を歓迎してくださったのか?ちょこんと作品のそばでいっしょに写真におさまっているのも微笑ましいかぎりです。


このところ、女性おひとりでいらしてくださるお客様が増えてきています。それだけきっとご家庭でもお仕事場でもきちんと独立したお立場をお持ちの方々がふえていらっしゃるのだと感じます。

「この清方の作品に見合う自分になれるよう頑張りたい」
そんなお言葉を私にお伝えくださるお客様は、この作品をお求めいただいた瞬間からもう「見合う」器をお持ちになっていらっしゃる方なのだろうと思います。ご家庭で社会でご自分を鍛えていらっしゃらなければ口にできないお言葉ですものね。





福井の展覧会もご覧くださり、一通り雪景色をご覧くださった後に、孔版画をお見せして今までご存じなかった福井の作品について少しお話させていただくと、「版画を見て、雪景色の見方も少し変わりました」とおっしゃってくださいました。
そして上の画像の孔版画をお求めくださいました。

外をお通りの方達の中でギャラリーの中に入ってきてくださるのは圧倒的に女性の割合が多いと山口薫展のときより今回特に感じます。ショーウィンドウいっぱいの雪景色のあたたかさに何かをお感じいただけるのでしょうか?

お求めいただいた孔版画もそうですが、福井は女性の存在をとても大事に思っていたのではないか、また女性が男性に求めるものをよくわかっていたのではないかと感じます。
女性にもまちがいなく深い孤独感があります。




腰はほとんど完治し、昨日からいつものように出勤させていただいています。
みなさまが「ちょっと寄ってみました」とお顔をお見せくださいますことが今までより増して心強く感じられております。

大変お寒い中ではありますが、よろしければ福井展、どうぞご高覧くださいますようお願い申し上げます。

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今日の佐橋美術店

2025年01月30日 | 福井良之助展
昨日、弥栄さんに少し掛け替えをしていただきましたので、雪景色のどの作品をブログでご紹介させていただいたかを思い出しながら💦(今までは壁ごとにご紹介をしてまいりましたので、記憶があいまいになりました)とりあえず今日の佐橋美術店の展示をご案内をさせて頂こうと思います。





縦の構図の「冬の教会」をギャラリーのなかに移動させましたので、エントランスには10M「雪の聚落」を飾らせていただきました。

真っ白な雪の作品が、雪景色の展覧会!を強く印象づけてくれるようで、この作品も一点でこの大きな壁面を支配してくれることに驚いています。










カウンターの上にありましたくわいのキャンバスに額をつけてくださる事になったので、孔版画の「愛 異性」をこちらに置きました。

よこの6号サイズの作品はチークのとても薄い額に入っています。
雪に埋もれている家屋の描写がデザイン的な作品だと思います。



27.2×41.4㎝ 冬 東美鑑  ☆彡 







この壁の作品は変わらずです。同じような作品なのに、表情が違っていて、しかも2点の親和性が抜群のように感じます。






中央に建物のある作品を通路脇に移動させました。掛け替えていただいた時はわかりませんでしたが、ここに飾り距離をとってみると、作品に奥行きが増して見えます。




そして近くで見るとその繊細で写実的な筆使いに驚かされます。




4号 冬の村 東美鑑  ☆彡 

4号サイズはこの一点だけになります。
画面中央に雪に埋もれた集落が描かれ、「冬の村」の〝村〟というイメージを強く残します。現代の道路の陥没には恐怖を感じますが、この村ごとどこか優しい夢の世界に沈んでいきそうな、そんな温かみを感じる作品です。












通路を挟んで反対側に「冬の教会」






シャンデリア側の壁に煙突のある風景が移動しました。

この二点の親和性もばっちりですね。



10M 雪景 東美鑑 ▢

煙突のある風景です。 
「この煙突が象徴的です!」というほどには強くなく、きちんと全体の風景に馴染みながら、なんとも言えない存在感があって、縦構図の作品と同じように全雪景色の作品の中で一番はじめに覚えることの出来た作品でした。








そして通路正面の作品は3号の作品です。


3F 「暗い日」 東美鑑 ☆彡 

お好みはあると思うのですが、この作品も写実的でとても良い作品だと思っています。「暗い日」というタイトルをどう思われるかも人それぞれでしょうけれど、冬は暗い日が多いのですものね。このタイトルも素敵だと感じています。



こうして一通り書かせていただきますと、案外ご紹介済みの作品を覚えているものだなぁと思います。


おそらく雪景色の作品はすべてご紹介できたのではないかと思います。
他のモチーフも含め、まだご紹介できていない作品を確認してまた記事を書かせていただきますね。









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アトリエ

2025年01月29日 | 福井良之助展


福井のアトリエの写真です。作品を思い出しながらアトリエを眺めてみると、なるほど!と思えたり、へぇ~と思えたり、やはり人間って不思議だなと思います。


今日も素敵なお客様とお話させていただき、とても嬉しく光栄でした。後日記事をかかせていただこうと思っています。


また当店の今までの展覧会に皆勤賞のiさんもお立寄りくださいました。いつも丁寧に作品をご覧下さり、その後ご案内ありがとうございましたと速やかに帰られるこのお客様を私はとても大切に思っています。

少し無理をしてでも人はやりたいことをやり、何か言い訳、大義名分を探してでも、やりたくないことから逃げようとする。

歳を重ねると根気や我慢がつづかなくなり、好きなことしかやらなくなるのかな?と思えてきました。

腰が痛くても、展覧会をつづけたいと思えるのはただ商売ということばかりでなく、私はこの仕事が好きなのかもしれないと初めて気づきました。

それならば、ある程度の我慢も覚悟もできそうです。


結局人は自分のこともなかなかわからないものなのかもしれません。


明日はまたもう少し元気になって皆様のご来店をお待ち申し上げます。






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