よい絵とはどんな作品のことを言うのだろうといつも考えます。
私たちは絵画や美術品を商品として扱いますので、正直なところ絵画を収集される
コレクターのみなさんのお気持ちがよくわかっていないところもあると思うのです。
「だれもが買いたくなるような絵」
それさえ簡単にわかれば画商も苦労なく過ごせるのでしょうが・・どうも「買いたくなるような絵」と「よい絵」はまた少し違うのではないかしら?とも感じます。
藤島武二の作品をこの数年、多く取り扱わせて頂きました。
多く取り扱わせて頂くようになったのは、この絵が最初だったように思います。
葉書きほどのとても小さな作品ですが、この絵には力があり、近くで見るとき、遠くで見るとき、見る人の位置によって作品の印象がどんどん変化していきます。
お名前は存じ上げないけれど・・このご婦人は“いつもにこやかに生き生きと小粋に”額のなかにいらして、絵画の魅力を存分に伝えてくれています。
この“生き生きとおしゃれに”
女性を描き切ることのできた洋画家は近代日本ではやはり藤島だけであったようも思えます。
少しの偏見も迷いもなく、藤島は女性の美しいところだけを鮮やかに描きとります。
女性はただ女性であるだけで美しいのだと優しいまなざしを送りつづけます。
藤島の作品は今も高価です。高価だけれど、藤島作品だけの持つこの美しい気品が美術品を愛する方たちの間で高い評価を受けていることに、私たちは安心と希望を抱きます。
※藤島武二「婦人像」は納品のため画像を削除させていただきました。