川合玉堂については過去に幾つかの展覧会を鑑賞しておりますので、今までに観たことのある作品が並ぶのだろうなぁと思いながら、松坂屋さんに出かけました。
確かに画集に載っているような名作もズラッと飾られていましたが、記憶というのは曖昧なものです
過去に確かに観たであろう作品を「初めて観るわぁ」と感激してみたり、「こんな作品があったのねぇ」と驚いてみたり・・今年は今年の、今日は今日なりの新しい発見があるのですね。
玉堂の描くのは、今まさに私たちが手放そうとしている自然そのもので、昔なら日本中いたるところに見ることのできた風景です。
「現代には古臭い絵画なのか?」
玉堂作品に触れるとき、いつも自問いたしますが、やはり今回も「絵は人なり」という思いを強くし、その作品は決して古臭いものではないという確信を得ました
私にとっての玉堂の魅力は、その筆使いです。とくに縦にひく玉堂の線は大変素直で伸びやかで、美しいと思うのです。
玉堂展を見終えたあとのこの清涼感は、大観や春草、御舟、古径などの日本画展を見終えた印象にはないものだと感じます。
生き生きとのびやかに、美しい世界。
玉堂のとらえるこの日本の自然風景のなかにこそ、日本人の心が育まれてきたのだろうと思わずにはいられません。
今回の展覧会の私の一番は下の昭和9年「宿雪」という作品です。
80号、額装で大変迫力ある画面です。
※川合玉堂展 描かれた日本の原風景 松坂屋美術館 10月10日まで
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