つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

入江ショック?

2022年07月16日 | 上村松篁
入江波光、上村松篁と作品のご紹介を続けてさせていただいたのは、このページを見つけたからです。

松篁は、12歳の頃より美術工芸学校に通い、成績も大変優秀であったそうですが、18歳となり京都市立絵画専門学校の本科に通い始めた頃、担当の入江波光にその写生を見せて「あんた、こんな概念的なものの見方をしてどうするんですか。赤子が初めて物を見、驚くでしょう、そのようなさらの眼で自然を見なさい」と厳しく指導されたとこのページには書かれています。

松篁は、絵の基礎をしっかり学び、写生の技術も身につけ卒業制作でも一席金牌を得ていたので、「写生を一生懸命にやっていたから技術はあると自負していました」と当時の心境をのちに告白したそうですが、この入江波光の厳しさも、それにショックを受けた上村松篁も、特に金魚の逸話を知った後の松篁のイメージからすると、それこそ!「作品が全てを語っている」とそう思えます。




松篁はこの波光の言葉が心に入ってきたのは、それから3年経ってからのことだと言い、叱られた直後は「入江先生はリアリズムとか、もっと写実的に、などと言わはるけど、先生ご自身は天人が裸になって空を飛んでる絵を描いてはるやないか。それがリアリズムなのか」などと心の中で呟いて反抗的な気持ちになったと述懐しています。


佐橋と私は、波光と松篁でしたら、やはり波光に軍配を上げるのです。
勿論、作品としてです。

松篁さんは、やはり二階のお母さんの影響を強く受けたのだと思うのですね。

「品よく」と。

その「品よく」が、松篁の本当の強さ、ヤンチャさを少し消してしまったように感じます。
品の良い形を求め続けたように思います。


絵というのは、実は描き方でなくて見え方なのだとこの頃考えます。

物をどう見るか?どう感じるか?ということです。

写実的にというのは、自然の産物たる人間という自分と、まさに大いなる自然、宇宙がいかに繋がり、共生をしているかという見え方の書きとりテストのような物だと思います。

そのつながりを屈託なく、純粋に描けることが大事なのです。

それが概念にとらわれない作品ということになるのではないでしょうか?

長谷川利行がその代表選手と言えるかもしれません。


そういった意味で、松篁の金魚には、松篁らしさが少し窺えるように思います。
もう少し、眺めてみて、松篁と当店の相性についても感じてみたいと思います。







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やっぱり大好き入江波光

2022年07月14日 | 入江波光
昨日、お客様のご来店に合わせ、ショーウィンドウとエントランスのみ掛け替えをさせていただきました。





酒井三良の鵜飼。

漁火の煙が、涼やかで優しい夏を演出してくれています。



ホッとします。






エントランスは同じ三良の帰漁。
こちらも癒しを届けてくれる作品です。


結構頭が疲れているのね、私⁉︎と気づかされます😅



そして、やっぱり抜群なのは











こちらです。

入江波光 「かにときす」 

何度もお声がけいただきながら、結局私達のところに居てくれる作品です。

でも、昨日はこの作品に真にうっとりできましたので、「やっと波光に近づいてこられたかな」と
思えました。


木曜日、皆さま、どうぞ良い一日をお過ごしくださいますようお祈りしています。












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お客様

2022年07月12日 | 日記・エッセイ・コラム
日曜日にご来店くださったお客様。

彼は当店のお客様であり、勤めていた画廊の後輩に当たりますが、こんなコメントを寄せてくださいました。





昨日は、お世話になりました。 作品を拝見して、そしてお二人とお話しさせていただいて興味深かったのが、「40代のお客さん」が新たな購買層の一部になっているということでした。 正直、同世代でこのあたりの絵画に興味を持っている人はかなり少ないだろうと思っていたので、非常に嬉しい話だと思いました。 興味はあっても、買わない(買えない)という人がほとんどである中、敢えて買う選択をするというのは、とても勇気のいる行為であると思います。 そして、こうした人々によって作品は守られているのだと思いました。





先日お納めのお約束をいただいた薫の猫も、原先生の秀品をお納めさせていただいたのも40代のお客様だという事をお伝えした事へのコメントでした。勿論、このコメントを書いてくださった彼も40代でいらしゃいます。

気付けば私達はもう60代ですので、以前可愛がっていただきました各お客様方とのお付き合いも、次の世代、そのご子息さま方へと移り変わりました。

先代さまがコレクターさんで、そのご子息さまもコレクターさんというのは非常に稀ですので、次の世代のお子様達には、作品をお出しいただくという事が多くなります。


ですから、現在当店にお通いくださる40代のお客様は新規のお客様という事になるのですね。

まだまだ割合は少ないのですが、皆さまとてもお勉強熱心で、しかもご自分の好きな物をご自身でよくわかっていらっしゃる事に感心
致します。



美術品に魅力をお感じくださる、また当店の評価している作品をお求めくださるお若いお客様がいてくださることは私達にはとても光栄なことで、ご予算など出来るだけご相談を承り、できましたら日本の美術品の新しいバトンランナーとして、これからを歩んでいただきたいと思います。

そして、そうした皆さま方に当店にお通いいただきながら、美術館や画集、ネットの情報などをお分けいただき、私達のこれからを助けていただきたいと願っています。というか、既に皆さまに助けていただいております😅

今週は、2人それぞれの仕事をする一週間になりそうです。

またブログも書かせていただきますね。









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2022/07/07

2022年07月07日 | 佐橋美術店の展示・展覧会

いつもお通いくださるお客様が、ご来店のご予約をくださいましたので、

実際に作品をご覧になる前の、画像だけの印象を私から無理矢理お聞きすると(藤島武二、長谷川利行について)

以下のような文を戴く事が出来ました。







藤島の空の淡いピンクの一筋の線は藤島らしさが出ていて魅力的ですね。

堂々とした晩年の藤島が感じられます。

若いころと異なり下半分はもうどちらでもよくなってしまう強弱が晩年の良さとも言えますよね。

細かく書いてバランスを取らず、空一点に目を向けさせる。

色々な意味で力のある画家です。

 

愛すべき長谷川利行は佐橋さんの考えに近く、もらえた絵具で無邪気に書く。

その無邪気な作風と人なりの逸話がさらに魅力を引き立てますね。

まさに美術館級でしょう。

 

欲しい!毎日見ていられる?でしょうか。

すごく楽しみにしています。




〜🪷〜🪷


近代日本洋画の流れを理解され、しっかりご自分のスタンスをお持ちになって作品をお集めくださるお客様。

お人柄通り、無駄なく配慮の行き届いた文章に、時々ブログを代わって書いていただきたいなぁと思ってしまいました。


お客様、ご協力、誠にありがとうございました。
ご来店を楽しみにお待ち申し上げます。



当店には、こうした論客が多くいらしてくださいます。

皆さま、大変お優しく、謙虚でいらっしゃるのでなかなかその才能を表に出してくださいませんが、また私がご紹介しきれていませんが、
皆さまにコメント欄などに、ご登場いただけると大変嬉しいです😆

ご紹介を忘れている作品もありますので、続けて書かせていただこうと思います。
少し後になるかもしれませんが、引き続きお読みいただければ幸いです。







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2022/07/06

2022年07月06日 | 佐橋美術店の展示・展覧会


乞巧奠、七夕飾りをショーウィンドウの竹内栖鳳作品とともに飾らせていただきました。
気候のせいか、自分の狭量のせいか、七夕の頃の心🎋、短冊に想いを馳せる心を失いかけているように思います。

嬉しい時におおいに喜ぶ、悲しい時にはおおいに涙を流す。

その間の揺れ動く人の心を、季節の行事はうまく流し、堰き止め、消化させてくれる。

日本人が長い時間をかけて生み出してきてくれた知恵を、なんとか自身の身体の奥に問うてみたい。

そんな気がしています。


展覧会前半は、

圧倒的に!利行に関する男性のお客様からのご連絡。


圧倒的に!女性のお客様の実際のご来店。

に終始致しております😊

よい利行だ。買ってみようか。いくらぐらいするのだ?とお思いになってくださるのが
男性のお客様がたの美術品に対する愛、当店への愛。


あぁ、これが利行の作品なのねぇ〜とご覧くださり









私はこれね!とおっしゃって、島田章三の小品をお求めくださったり、


清方を可愛いぃ💕と熱心にご覧になってくださったりするのが女性のお客様です。




そして、今圧倒的に女性のお客様がたに人気をいただいているのが、この印象の「晴雪」なのですね。

近代日本画の行方は、これからの〝おばあちゃん〟世代に託されているのかもしれませんね、、私も含めて😅






作品は、売れることにこしたことはありませんが、そして自信の作品を並べておりますが、
今回は「特に」売ろうとはいう強い気持ちはありません。

10日の日曜日も営業させていただきます。
どうぞ、お気軽に作品をご覧にいらしてください。





















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