2005年5月15日(日) 〈続き〉
100mあまり南の池廻薬師堂は、眼病に霊験あらたかのようで、境内に
メグスリノキの若木がある。
お堂横の斜面から湧き出る小さな池↑は水牢跡、この地を治めていた真
田伊賀守は勤労を奨励し、働かない者を戒(いまし)めのため、この水牢に
浸けたという。
薬師堂で折り返して東に向かう。酒徳利を抱えた双体道祖神の辺りで右
に曲がると、吾妻川左岸段丘上の広々した展望が開ける。
ツツジや淡いピンクのチューリップなどが咲く菅原から山根に進むと、対
岸の岩井堂砦の切り立つ岸壁がよく見える。
タンポポの穂が一杯の草地の向こうに、黄緑の柿の葉がやわらか彩りを見
せる。
眼下にりっぱなかやぶき民家を見下ろし、フジやレンゲツツジの花を眺め
ながら道上集落に入り、台地の中ほどへ下る。
11時50分、体育館や東村役場などと隣接する農村環境改善センターに
着いた。
Kさんが、昼食地として予め連絡し、休日だが開けてもらったもの。ホール
が「富永一郎あずま漫画廊」になっている。
すべて色鉛筆で彩色したという数十点の漫画を眺めながら昼食にした。役
場には、これから向かう箱島湧水の冷水器があり、まろやかな湧水をひと足
先にいただく。
昼食中ににわか雨があったが上がり、12時30分に出発。そばの奥田川を
渡り、東側を少しだけ急登して金原城跡に上がった。忠霊塔や桜があり、眼
下の原集落や北側の山並みなどの展望がよい。
原集落に下り、県道35号に沿った学童用通学路を東に進む。新しい千沢
大橋を渡り、東中の先で県道に分かれて南側の台地上、箱島の原集落へ。
原小付近からは、前方に赤城山が見えてきた。
原小の先で発電用のパイプが2本横断し、下の箱島発電所に向かって下っ
ている。太い方は4~5mくらいもあろうか。両側は桜並木になっていて、花
どきはよい花見の場所になりそうだ。小休止して水分を補給する。
近くに、ミズバショウが数株植えられた湿地があり、ホタル保護区になって
いる。
ほかにも保護区があるようで、ゲンジボタルは6月中旬~7月上旬、ヘイケ
ボタルは6月下旬から7月中旬に飛び、ホタルがこれだけ乱舞する場所は
国内でもそうないという。
地元野菜や草花など、手作り品販売の小屋の先で、流れの左岸の涼しい
針葉樹林を上がって行くと、太い杉木立の下から湧水が川のように大量に流
れ出ていて、すぐ下で滝になっている。
環境庁選定名水百選、「箱島の湧水」である。湧出量は一日3万トンとのこ
と、こんなに豊富な湧水を見たのは初めてだ。古くから「不動の清水」として、
村民や近在の人々に親しまれ大事にされてきたという。
滝の横から急な石段を上がると不動尊のお堂があり、こけむした台座の上
に愛くるしい表情の狛犬が並んでいる。
滝の横には、コンロンソウが白い清楚な花をたくさん開いていた。
雲が増え、日陰は涼しくなってきた。林道を手作り品販売所そばまで戻り、
近くの広場で休憩。そばの家の男性が出てきて声を掛けてきた。
明治40年(1907)生まれとか、間もなく百歳だがまだ80歳台の感じ。元気
をもらおうと交代で握手する。
Kさんのリードでストレッチ体操をして疲れを和らげ、出発した。
郵便局の横から県道の北に入り、上宿の甲波宿禰(かわすくね)神社に行く。
延暦4年(785)、水をつかさどる二神を祭ったとされる古社。平成7年に群馬
県 人口200万人記念映画、小栗康平監督作品「眠る男」のロケ地になった
ことで も知られる。
朱を交えた独特の彩色の趣ある社殿、境内に、何かを思わせるこぶ付きで
東村名木百選の太いケヤキや、社殿のような形の小さな石造物がたくさん並
んでいた。
金沢川を越え、早苗田の並ぶ柏原を抜けて岡崎交差点で国道35号に出る。
沼尾川を渡って国道に分かれ、左手の北部集落に上がった。前方の展望が
広がり、赤城山塊の複雑な稜線と、南面の広大なすそ野がよく見える。
雲が一面に広がり、北風がやや強まって冷えてきた。集落を抜けて段丘を
下り、15時53分、無人で片側ホームだけのJR吾妻線祖母島(うばじま)駅に
着いた。
着いたトタンにパラパラとにわか雨が落ちてきた。狭い待合室でミーティ
ングし、16時3分発高崎行きに乗る。
雨はほどなく上がり、車中からは赤城山を背に、にじが望まれる。それは、
新緑が一杯の吾妻川をたんのうした我々の旅の、フィナーレにふさわしい眺
めだった。
(参加 19人、天気 曇後晴、距離 16㎞、地図(1/2.5万) 金井、歩行地
小野上村(現在は渋川市)、中之条町、東村(現在は東吾妻町)、渋川市)
100mあまり南の池廻薬師堂は、眼病に霊験あらたかのようで、境内に
メグスリノキの若木がある。
お堂横の斜面から湧き出る小さな池↑は水牢跡、この地を治めていた真
田伊賀守は勤労を奨励し、働かない者を戒(いまし)めのため、この水牢に
浸けたという。
薬師堂で折り返して東に向かう。酒徳利を抱えた双体道祖神の辺りで右
に曲がると、吾妻川左岸段丘上の広々した展望が開ける。
ツツジや淡いピンクのチューリップなどが咲く菅原から山根に進むと、対
岸の岩井堂砦の切り立つ岸壁がよく見える。
タンポポの穂が一杯の草地の向こうに、黄緑の柿の葉がやわらか彩りを見
せる。
眼下にりっぱなかやぶき民家を見下ろし、フジやレンゲツツジの花を眺め
ながら道上集落に入り、台地の中ほどへ下る。
11時50分、体育館や東村役場などと隣接する農村環境改善センターに
着いた。
Kさんが、昼食地として予め連絡し、休日だが開けてもらったもの。ホール
が「富永一郎あずま漫画廊」になっている。
すべて色鉛筆で彩色したという数十点の漫画を眺めながら昼食にした。役
場には、これから向かう箱島湧水の冷水器があり、まろやかな湧水をひと足
先にいただく。
昼食中ににわか雨があったが上がり、12時30分に出発。そばの奥田川を
渡り、東側を少しだけ急登して金原城跡に上がった。忠霊塔や桜があり、眼
下の原集落や北側の山並みなどの展望がよい。
原集落に下り、県道35号に沿った学童用通学路を東に進む。新しい千沢
大橋を渡り、東中の先で県道に分かれて南側の台地上、箱島の原集落へ。
原小付近からは、前方に赤城山が見えてきた。
原小の先で発電用のパイプが2本横断し、下の箱島発電所に向かって下っ
ている。太い方は4~5mくらいもあろうか。両側は桜並木になっていて、花
どきはよい花見の場所になりそうだ。小休止して水分を補給する。
近くに、ミズバショウが数株植えられた湿地があり、ホタル保護区になって
いる。
ほかにも保護区があるようで、ゲンジボタルは6月中旬~7月上旬、ヘイケ
ボタルは6月下旬から7月中旬に飛び、ホタルがこれだけ乱舞する場所は
国内でもそうないという。
地元野菜や草花など、手作り品販売の小屋の先で、流れの左岸の涼しい
針葉樹林を上がって行くと、太い杉木立の下から湧水が川のように大量に流
れ出ていて、すぐ下で滝になっている。
環境庁選定名水百選、「箱島の湧水」である。湧出量は一日3万トンとのこ
と、こんなに豊富な湧水を見たのは初めてだ。古くから「不動の清水」として、
村民や近在の人々に親しまれ大事にされてきたという。
滝の横から急な石段を上がると不動尊のお堂があり、こけむした台座の上
に愛くるしい表情の狛犬が並んでいる。
滝の横には、コンロンソウが白い清楚な花をたくさん開いていた。
雲が増え、日陰は涼しくなってきた。林道を手作り品販売所そばまで戻り、
近くの広場で休憩。そばの家の男性が出てきて声を掛けてきた。
明治40年(1907)生まれとか、間もなく百歳だがまだ80歳台の感じ。元気
をもらおうと交代で握手する。
Kさんのリードでストレッチ体操をして疲れを和らげ、出発した。
郵便局の横から県道の北に入り、上宿の甲波宿禰(かわすくね)神社に行く。
延暦4年(785)、水をつかさどる二神を祭ったとされる古社。平成7年に群馬
県 人口200万人記念映画、小栗康平監督作品「眠る男」のロケ地になった
ことで も知られる。
朱を交えた独特の彩色の趣ある社殿、境内に、何かを思わせるこぶ付きで
東村名木百選の太いケヤキや、社殿のような形の小さな石造物がたくさん並
んでいた。
金沢川を越え、早苗田の並ぶ柏原を抜けて岡崎交差点で国道35号に出る。
沼尾川を渡って国道に分かれ、左手の北部集落に上がった。前方の展望が
広がり、赤城山塊の複雑な稜線と、南面の広大なすそ野がよく見える。
雲が一面に広がり、北風がやや強まって冷えてきた。集落を抜けて段丘を
下り、15時53分、無人で片側ホームだけのJR吾妻線祖母島(うばじま)駅に
着いた。
着いたトタンにパラパラとにわか雨が落ちてきた。狭い待合室でミーティ
ングし、16時3分発高崎行きに乗る。
雨はほどなく上がり、車中からは赤城山を背に、にじが望まれる。それは、
新緑が一杯の吾妻川をたんのうした我々の旅の、フィナーレにふさわしい眺
めだった。
(参加 19人、天気 曇後晴、距離 16㎞、地図(1/2.5万) 金井、歩行地
小野上村(現在は渋川市)、中之条町、東村(現在は東吾妻町)、渋川市)