あるきメデス

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JR東日本「駅からハイキング」で城下町「一関」を歩く(岩手)

2012-06-29 13:21:05 | JR東日本駅からハイキング

 JR東日本「大人の休日倶楽部パス」を利用して、6月24日(日)から4日間、岩手
県と青森県の四つの町並みを歩く「駅からハイキング」に参加した。

 JR東日本の「駅からハイキング」は、事前申し込みが必要だが、今回参加したのはい
ずれも「期間設定コース」。開催期間中の受付時間内に直接受付場所に行けば、参加でき
るようになっている。

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 2012年6月24日(日)

 JR大宮駅8時22分発の東北新幹線はやて103号に乗り、10時21分に一ノ関駅
に着いた。


 駅構内には、災難よけの守り神「かまど神」↑や、夏祭りに舞われる「大龍神」が飾っ
てある。


 駅前の一関観光協会で「駅からハイキング」の受付を済ませ、10時36分に出発した。
 ちなみに、地名は「一関市」だがJRの駅名は「一ノ関駅」である。


 駅前ロータリーに、一ノ関藩の賢人だったという大槻三代の「三賢人像」が立ち、近く
には終戦直後に襲った二つの台風の洪水水位が記されていた。


 洪水水位の説明文によると、昭和22(1947)年9月のカスリン台風では一関の中
心部は一階が水没し、翌年9月のアイオン台風では市内の磐井川が決壊し、死者行方不明
573名にのぼる未曾有の大被害だったという。

 西に向かう駅前通の歩道には、一関出身の著名人の、業績を記したレリーフが幾つか並
んでいる。


 四つ目の信号で右折して中街通りに入ると、日本キリスト教団一関教会の教会堂が目に
つく。教会堂は昭和4(1929)年の建築、国の登録有形文化財である。


 隣は、かやぶき屋根の旧沼田家武家住宅で、一関市有形文化財になっていて一般公開さ
れている。


 建物は、江戸時代後期の一関藩家老職沼田家の住宅で、創建は18世紀初めから中頃と
推定され、約300年の歴史があるという。

 案内人の男性が居られたので室内に上がり、藩政時代の暮らしぶりや家の造り、家具や
記録資料などを見せていただき説明を聞く。


 簡素ながら緑多い庭園の、新緑とツツジが気持ちよい。


 同じ通りを進み、どっしりした石積みや白壁土蔵、レンガ造りなどの建物の並ぶ世嬉の
一(せきのいち)酒造へ。


 入口に、「酒林(さかばやし)」と呼ぶ杉玉の下がる土蔵造りの建物は、大正7(1918)
年に酒の仕込み蔵として建築されたもの。国の登録文化財で、現在は「酒の民俗文化博物
館」(有料)になっている。


 隣の建物にある売店でチケットを買って入館する。入って左手にある「文学の蔵」は無
料。日本一小さな文学館と記され、一関ゆかりの文人、井上ひさし、星亮一、中津文彦、
遠藤公男などの紹介と作品などが並んでいる。


 民俗文化博物館には、精米から麹づくり、仕込み、火入れなど酒造りの行程の紹介やそ
の用具、杜氏(とうじ)の生活を紹介する杜氏部屋の様子などが展示されていた。




 博物館に相対する白壁の建物↓は、もと製品倉庫で昭和24(1949)年から27年
まで映画館だったとか。当時中学生だった井上ひさしさんが、きっぷもぎりのアルバイト
をしていたという。


 ほかに、もとは精米所だったという砂岩のレンガを積んだ建物、酒蔵を改築してレスト
ランになっている建物など並んでいる。


 また中庭には、「酒造りの水」と呼ぶ湧水、直径2.4mの仕込桶(しこみおけ)、ミ
ニ水田、島崎藤村の歌碑などがあり、見どころが多かった。


 北側の通りに出て左折すると磐井川の磐井橋のたもとに出る。橋の手前に、松尾芭蕉が
奥の細道紀行で二夜を過ごした「二夜庵跡」の石碑と、同行した曽良の旅日記抄碑が並び、
奥の細道の旅程図もあった。芭蕉は、この付近の金森家に二泊したという。



 橋から磐井川の流れを見て引き返し、信号の先の三差路を入ったところには、ジャズ喫
茶「ベイシー」がある。


 質の良いサウンドを求めて全国のジャズファンが足を運ぶジャズ喫茶とのこと。カウン
トベーシーやHIFIスピーカーJBLの社長も訪れた名店で、渡辺定夫など多くの大物アー
ティストがライブを行い、マスターが保有するレコードは全部で25トンあるという。

 世嬉の一酒造の角まで戻って東に向かうと、150mほどで白壁の土塀に囲まれた浦し
ま公園がある。一関藩主田村家の迎賓館跡を利用した公園とのこと。


 「にしき庵」と呼ぶ茶室、石灯篭を配した池などのある純和風庭園は緑がいっぱいでツ
ツジも咲く。一巡した後、東屋で昼食をした。



 大町角バス停のところに出て、広い通りを駅方向の南に向かう。蔵造りの商店なども見
える通りは。電線を地中化してすっきりしていて歩きやすい。


 「新鮮館おおまち」というのが目についたので入る。中では、地元の新鮮野菜や気仙沼
の魚介類などを販売していた。


 歩道には、江戸時代に時刻を知らせるために用いた太鼓を主題にしたという、シンボル
タワー「時の太鼓」↓や、「大町の由来」を記した説明板がある。


 午前中訪ねた旧沼田家住宅が「駅からハイキング」のチェックポイントになっていたが、
スタンプを押し忘れたのでもう一度行き、押してくる。

 予定の新幹線にはまだ早いので南に回り、丘陵にある釣山(つりやま)公園に向かった。

 釣山公園は古代から軍事上の要塞で、坂上田村麻呂の陣地や安部貞任の弟、磐井五郎家
任のとりで、源頼義、義家親子の陣地などだったとか。現在は桜の名所として知られ、市
民の憩いの森として賑わっているようだ。


 緑あふれる公園内を一巡し、高台の展望台から眼下の磐井川や、一関市街地などを展望
する。


 最高点付近には、坂上田村麻呂を祭神とする田村神社があり、中腹には田村藩主の井戸
が復元されている。


 傍らの清庵野草園には、ノカンゾウ、ワレモコウ、オケラ、ヌマトラノオなど、約百種
の野草が栽培されていた。

 公園入口に戻って駅の方に向かう。公園近くの民家にも、いろいろな草花が並び、通り
行く人々の目を楽しませてくれる。

 駅前通りと中街通りとの角にある「やぐらの広場」に、江戸時代に時刻を知らせた「時
の太鼓」の太鼓やぐらが復元されていた。


 駅前通りを進み「芭蕉の辻」石碑前を通過し、一ノ関駅前には13時40分に戻る。観
光案内所でゴールの受付をしてもらい、初日の「駅からハイキング」を終わる。

(天気 曇後晴、距離 5㎞、歩行地 一関市、地図 「一ノ関駅前散策MAP」、
 歩数 10,600)



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