『夢の小筥』

再び廻り来る事のない、この刻(いま)を、そっと筥に納めてみました。

樋口一葉「十三夜」

2010-01-16 16:11:44 | Weblog

  

        

 昨年出来なかった古い本を整理していましたら、そう30年くらい昔の本が、顔を出しました。

 薄い文庫本で樋口一葉の短編集です。

 たけくらべ・大つごもり・にごりえ・わかれ道・十三夜など・・・

 十三夜はまたの名を、栗名月・豆名月などと言われ、愛でられたのに、この本の主人公「お関」は悲しすぎます。

 明治中頃、『十三夜』の主人公であるお関は、見初められて高級官僚「原田勇」の妻となって七年。がどうしても夫とうまくいかず、幼い息子をおいて実家へ戻ります。

 が、お関の父親は娘に婚家へ帰るようにいいます。それもその筈、実家では、原田から、さまざまの形で世話を受けていました。

 家族の為、夫との生活を続けることにしたお関でしたが、辛い選択でした。

 これも、一つの「家族の情景」でしょう。

 現在では考えられない生き方です。

 彼女の短い一生が素晴らしい文章になって、今でも読み続けられています。