昨年出来なかった古い本を整理していましたら、そう30年くらい昔の本が、顔を出しました。
薄い文庫本で樋口一葉の短編集です。
たけくらべ・大つごもり・にごりえ・わかれ道・十三夜など・・・
十三夜はまたの名を、栗名月・豆名月などと言われ、愛でられたのに、この本の主人公「お関」は悲しすぎます。
明治中頃、『十三夜』の主人公であるお関は、見初められて高級官僚「原田勇」の妻となって七年。がどうしても夫とうまくいかず、幼い息子をおいて実家へ戻ります。
が、お関の父親は娘に婚家へ帰るようにいいます。それもその筈、実家では、原田から、さまざまの形で世話を受けていました。
家族の為、夫との生活を続けることにしたお関でしたが、辛い選択でした。
これも、一つの「家族の情景」でしょう。
現在では考えられない生き方です。
彼女の短い一生が素晴らしい文章になって、今でも読み続けられています。