あなた
お陽さんは出ていますが、吹くともなしに頬を撫でる風が冷たい。
白のクロッカスが楚々として咲いています。
まだ芽が生え揃わない…
花畑がガランとして、妙に広く感じる。
そこにポツンと…少々淋しげに…咲いて。
「早く仲間が出て来ないかなぁ…」って待っている様子。
午後陽射しが強くなり冷たい風は何処かへ行っちゃって…
ようやく「麗らかな春」です。
再び巡り合えた喜び…。
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほひける 紀 貫之
ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しづこころなく はなのちるらむ 紀 友則
麗らかな陽気に誘われ…
この様な和歌が頭を過ぎります。
ただ、ボンヤリとカーテン越しに庭を眺めていると、 ふと、カッタンの事思い…
あの子はあれで思春期の真っただ中、何かに躓き…悩み、藻掻き苦しんで…いるのでは、
なかろうか?
平静を装っていても…まだ14歳…そんなふうに思うと急に可哀想になって…
あなた
カッタンを見護ってね…
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