拜訪龍門石窟 (上平声 真韻)
瞭望薰風楊柳新、
瞭望(リョウボウ) 薰風(クンプウ) 楊柳(ヨウリュウ)新(アラタ)にして、
懸崖万洞各仏宸。
懸崖(ケンガイ)の 万洞(マンドウ) 各(オノオノ)仏の宸(シン)。
龍門大仏無言坐、
龍門(リュウモン)の大仏は 無言に坐し、
脚下慢河寧静人。
脚下に 慢(ユルヤカ)なる伊河(イカワ)と寧静(ネイセイ)の人。
註] 〇瞭望:展望する、遠く見渡す; 〇寧静:安らかで
静かなこと。
<現代語訳>
龍門石窟を訪ぬ
見渡すと、快い春風が吹き渡り、麓の柳の緑が改まっており、断崖には無数の洞穴が穿たれ、それぞれが仏のお住まいとなっている。龍門石窟の弥陀の大仏は、ただ無言で鎮座して見守っており、足元には伊河が緩やかに流れ、行き交う人々は心安らかである。
<簡体字表記>
拜访龙门石窟
瞭望薰风杨柳新、悬崖万洞各仏宸。
龙门大仏无言坐、脚下慢河宁静人。
<記>
龍門石窟は、洛陽の南約13 km、黄河の支流伊河のほとりにあり、洞窟数:1,352個;大窟:西山28/東山7;仏像:97,306体とされている。
石窟の造営は、493(北魏)~中唐(玄宗)の間、300余年 を要しており、特に顔形にそれぞれの時代を表徴する特徴的な様式が見られる。
圧巻は、廬舎那仏(次ページ写真参照)であり、その造営には、則天武后が自ら寄進し、自分をモデルにした像を彫らせたとの説があるが、その真偽は不明である。
竜門石窟 廬舎那仏像