次韻 蘇軾《驪山三絶句 其一》
京都嵐山三絶句 其一 [下平声八庚韻]
錦楓幽境秋氣盈、
錦楓(キンプウ)幽境(ユウキョウ) 秋氣盈(ミ)つ、
保津映容川面平。
保津(川) 山の容(スガタ)を映(ウツ)して 川面 平なり。
不負名人難靠近、
名に負(ソム)かざれば 人 靠近(チカヅキ) 難かろうに、
山中棋戦下音清。
山中の棋戦(キセン) 石を下(ウ)つ音清(キヨ)し。
註] 〇錦楓:紅葉した美しいカエデ; 〇幽境:世俗を離れた静かなところ;
〇保津:保津川; 〇靠近:近寄る; 〇棋戦:囲碁の対戦; 〇下:囲碁の石を
打つこと。
<現代語訳>
蘇軾《驪山三絶句 其一》に次韻す
京都嵐山三絶句 其一
楓はすっかり紅葉して山は静まり返り、秋の気配が満ちており、保津川の川面は波静かに、静かな佇まいの嵐山の姿を映している。嵐山という名の通りであるなら、この山には人は近づき難かろうに、この山中で囲碁を打つと、澄んだ石音が樹々の間をぬけて消えていく。
<簡体字表記>
次韻《蘇軾驪山三絶句 其一》
京都岚山三絶句 其一
锦枫幽境秋气盈、保津映容川面平。
不负名人难靠近、山中棋战下音清。
<記>
“嵐山”は、字面から“風吹き荒れる山”のように思われるが、山中に入るなら、木漏れ日が射す非常に静寂な雰囲気に包まれる。囲碁の澄んだパシッと響く石音が、樹々の間を抜けていく静寂な空気感で、心が洗われる思いのする幽境と言える。