普通よく手にする本とは全く感じの違ったものを読んでみました。
私も遥か昔、いくつかのアンデルセンの童話は読んだのですが、しばらくぶりのアンデルセンです。
形式は、若い絵本作家に月が語る33の短編集です。
内容は、童話というより、(童話的な書きぶりではありますが、)アンデルセンの体験に基づいたエッセイ集のような趣きがあります。
心優しい話もあれば、私が読んでも結構シビアなものもあります。たとえば、第十六夜のプルチネッラ(道化)の話や、第十九話の俳優の話などです。
そういえば、「童話」といっても必ずしもHappy Endが多いわけではないですね。アンデルセン童話の中でも最もポピュラーな「マッチ売りの少女」にしても「人魚姫」にしても悲しい話だと思います。
「絵のない絵本」のタイトルどおり、この本には「絵」はありません。読んだ人が各々その人なりの感性で「絵」を想い浮かべるのでしょう。でもこの本は「絵本」なのです。33の物語の一つひとつが、その語られる言葉そのものが、読む人の心に「絵」を感じさせるのだと思います。