(p41より引用) 組織のエネルギーが無駄遣いされたり、不適切な方向に逸らされてしまわないようにする方法の一つは、何かを「やめる」ことだ。具体的には、もはや会社に付加価値をもたらさなくなった業務、プロセス、製品から手を引くことである。ドラッカーは、計画的撤退というコンセプトを世に広めた。組織の簡素化と同じく、これがエネルギーを解放し生産性を向上させるうえで重要な役割を演じている。
この場合、ドラッカーの提唱する「撤退の判断基準」は、
「もし、まだその事業・市場に参入していないとして、いま持っている知識から考えて、これから参入しようと思うだろうか?」
です。
これがまさに「選択と集中」の「選択」のメルクマールです。
ある種結果論のようでもありますが、「将来」に向けた「今」の判断としては至極当然なことです。
ただ実際は、基準に合致しているかどうかの判断もさることながら、その結果「撤退」の印がついた事業から本当に撤退するのが結構大変です。
これは「判断力」の問題ではなく「実行力」の問題かといえば、必ずしもそうとは言い切れません。
すでに実施している事業(サービス)には「お客様」がついています。このお客様へのケアをどうするかが、「実行」に至るもうひとつ前段階の「判断」になります。
・・・とはいえ、お客様の存在は当たり前のことですから、結局のところ、それらも含めた「実行力」の問題なのでしょう。
実行にあたってのリスクマネジメントやコンテンジェンシープランの策定は当然のことですから。