複数のコンサルティング会社に勤めた経験のある著者が、自らの実体験をもとにコンサルタントの実像・虚像を綴った著作です。
サブタイトル(「集金マシーンの赤裸々な内幕を語る」)どおりの内容でした。
著者が所属していたコンサルティング会社のトップマネジメントの内輪話はともかく、コンサルティングサービスを受けるクライアント企業側の問題は、これこそよく指摘されているところです。
本書でも、至るところで登場します。
(p114より引用) スタッフにやる気と能力があり、与えられる指示も適切なら、組織構造なんていくら不細工でも、きちんと機能するものなのである。一方、やる気もなく、指示もいいかげんで、能力もないスタッフの手にかかれば、どんなに賢いコンサルタントが素晴らしい組織構造を作ってあげたところで、ろくな仕事はできない。
最近は少なくなっているとは思いますが、マネジメントの丸投げは言わずもがなです。
(p177より引用) そもそも企業をちゃんと運営するなんてことは経営者としての彼ら自身の仕事なのであり、彼ら自身がその給料にふさわしい仕事さえしていれば、コンサルタントに何百万も払って自分の仕事を肩代わりさせる必要などないのである。
さらに、
(p225より引用) 要するに筆者の経験からして、優秀な経営陣は自ら経営する。コンサルタントを雇うのはまれで、しかも、特定の目的のみにかぎられている。一方、問題のある経営陣はしょっちゅうコンサルタントを雇い、それに頼り過ぎるのである。
もちろん、クライアント企業とWin-Winの関係で終了したプロジェクトも少なからずあったようです。
そういった「成功例」に共通しているのは、「目的が明確な限定プロジェクト」だったということです。
(p206より引用) もちろん、中には参加できたことを心から誇りに思う大成功もあった。そういう企業は、特定の業務の遂行のために一定期間だけコンサルタントを雇い、その終了と共にコンサルタントを退去させることが多かった。
私自身もここ10年ほど、BPRやIT案件、ヒューマンリソースマネジメント案件等でコンサルティング会社とお付き合いしています。
著者の以下のコメントは、気にしているつもりではありますが、常に意識して思い起こさなくてはなりません。
(p273より引用) もしもコンサルタントが本当に優秀なら、彼らはクライアントの重大な問題解決に協力して、それで終わりである。あるコンサルタント会社がクライアントのところに長くいればいるほど、コンサルタントはその会社に「現地化」し、その会社の考え方や仕事の仕方を身につける。そして、コンサルタントがクライアントに似てくればくるほど、新しい刺激的なアイデアを持って来れなくなる。コンサルタント会社が長く居座れば居座るほど、クライアントの経営陣はコンサルタントに頼るようになり、重要な決断はコンサルタント任せとなる。
とはいえ、私の周りには、知恵を絞り体を酷使して、クライアントのためにいい仕事をしようとしているコンサルタントの方がたくさんいます。
クライアント側の「思い入れの強さ」が、プロジェクトの成否のカギを握っているのです。
コンサルタントの危ない流儀 集金マシーンの赤裸々な内幕を語る 価格:¥ 2,310(税込) 発売日:2007-03-09 |