OMOI-KOMI - 我流の作法 -

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イノベータの気概 (イノベーションの作法(野中郁次郎・勝見明))

2007-07-08 19:51:30 | 本と雑誌

Iemon_1  以前、同じ著者による「イノベーションの本質」を読み、このBlogでもいくつかのポイントをご紹介しました。

 本書でも、前作と同じようにイノベーションを起こした「商品/サービス」を材料に、綿密な取材を通した「成功の要諦」を野中理論に当てはめつつ丁寧に解説していきます。

 本書で明らかにされている野中氏/勝見氏の一貫した主張は、「イノベーションの起点は『主観的な当事者意識』だ」という点です。
 その「当事者の暗黙知」をスタートにして、形式知への転換/共有化等のイノベーションのプロセスが駆動されるのです。

(p52より引用) 今、問題なのは、分析は得意でも、傍観者のスタンスで仕事に関わり、主体的な当事者意識が欠如した人間が日本企業の特にミドル層に非常に増えていることだ。
 「自分は何をやりたいのか」「何のために存在しているのか」と問い続け、自らの主観的な思いを原点に置き、その主観的な思いを言語化し、概念化して他者を説得し、巻き込み、イノベーションを起こしていく。当事者意識の塊のようなイノベーターの生き方に目を向けるべきだろう。

 野中氏は、昨今の米国流の分析万能思想・ロジカルシンキングの浸透に疑問を呈しています。
 全否定ではありませんが、「イノベーション」には不適との考えです。

(p332より引用) 論理的思考は、練習さえすれば誰でもある程度はできるようになるが、論理は論の形式を問うため、その人間の生き方は問われない。最悪なのは、自分の生き方を持たないまま、借りてきたような論理を振りかざし、リスクもとらなければ、責任も負わないパターンである。

 イノベーションは「無機質な論理」からは生まれない、「意思をもった人間の生き方」が生むものだと考えています。

 「意思」が重要です。
 この意思は「自分はこうありたい」という確固たる思いです。この「自分の未来に対する思い」が、自分の過去や現在を規定するのだと言います。

(p385より引用) 来たらんとする未来において、「自分はどうありたいのか」「どうありうるのか」という可能性が見えたとき、能動的に先駆して覚悟を決め、過去の経験に意味を与え直し、現在を直視して生きる。過去が今を決めるのではなく、未来によって主導されて過去が意味づけられ、再構成されたとき、現在の新たな生き方が切り開かれ、今、ここ(=here and now)の刻一刻が生き生きと刻まれていく。

 本書では、何人もの「意思」をもったイノベーターが紹介されています。

 「伊右衛門」を世に送り出したサントリーの話です。

(p64より引用) そうした型破りが可能だったのも、サントリーに「やってみなはれ」の文化があったからだろう。過去にどこもやっていなくても挑戦を認める。ただ、沖中にいわせれば、「“やってみなはれ”は、その前にわれわれ自身の“やらせてください”の精神があって活きてくる」という。

 サントリーのDNAは、当事者意識あっての「やってみなはれ」だということです。

イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学 イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2007-01

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