内容は、「関西人論」かと思いましたが、むしろ「都市文化論」的な色合いの本でした。
「鉄道の歴史」や「なんばパークスの生い立ち」、「関西のエンターテーメントの系譜」等々、実証的な記述で予想外に真面目な内容でした。
いくつか、なるほどと思ったところをご紹介します。
まずは、「バブル崩壊で大阪が栄えた」との話です。
(p170より引用) 90年代に入り、バブル経済は終焉を迎えたが、・・・不景気の到来によって制作費が縮小されたテレビは予算のかからないバラエティ番組、旅番組を増やす方向に走った。これもまた、大阪への注目を高める流れの後押しをした。・・・
大阪グルメの復活、お笑い人気、いずれも不景気が結果的にはプラスに働いたわけである。それをラッキーと捉えるか、必然と捉えるか、解釈は様々だろう。しかし、筆者としては、これもまた、なんばを中心とする大阪が潜在的に持つパワーの賜物であったと考えたいのである。
まあ、バブルが膨らもうが弾けようがどうであれ、大阪には「たこ焼き」はありましたし、「よしもと」もあったわけです。
B級グルメやお笑いの大ブレイクは、著者の言うように、まさに「大阪が生来持っていたポテンシャル」ゆえでしょう。
もうひとつ「なんばの街を守る」話です。
登場するのは、なんば?を代表する企業の社長2人。山中南海電鉄社長と吉野吉本興業社長です。
(p175より引用)
〔山中〕 なんば、道頓堀、千日前、吉本。それが大阪ですよ。
〔吉野〕 ・・・しかし、最近は道頓堀という伝統的な場所に東京資本が入ってきて、土地を買っています。・・・道頓堀の人たちは「道頓堀をどうしようか」といろいろと考えておられますが、ぼくは基本的には土地を手放してはいけないと思います。・・・
〔山中〕 単に自分のところの利益を上げるというだけでなく、大阪らしさを残す努力を大阪商人はしないといけない。大丸の奥田会長は心斎橋筋にケータイショップやドラッグストアばかりが並ぶのは困るといって、自ら心斎橋筋に土地を借りたり、購入したりして、自分のところの店を出しています。
〔吉野〕 街づくりについて、われわれ大阪商人は行政などに過大に期待せずに、自分から進んでやらないといけない。
街には「らしさ」が必要です。
ひとつの「コンセプト」に基づいた一定の「秩序」が都市景観には必要だと思います。
その点で、特に最近の東京の「ビル景観」は最悪です。
遠くから見ても近づいてもグロテスクな感じがします。ビルひとつひとつもそうですし、ビル群として眺めても美しさのかけらもありません。
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コテコテ論序説―「なんば」はニッポンの右脳である 価格:¥ 714(税込) 発売日:2007-05 |